【切ない心霊】夜の峠道で見た、崖下を見つめる男→後日、悲しい事実が判明…

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夜にカーブが多い峠道を走行中、崖下の1点を見つめる男に気付いた投稿者。
異様さを感じたため声をかけることはやめ、一旦通り過ぎることに。その後振り返ると───



もう四、五年前の事になるか。あれが幽霊というものならば、俺は一度だけ見たことになるのかも知れない。


俺が当時通勤に使う道の内、途中峠のような道を通る。道幅はそれなりにあるが、カーブが多くて見通しがあまりよくない。ガードレールも有る所と無い所がある。
しかし、地元の人間くらいしか使わないから交通量は少なく、あまり事故があったとは聞かない。

俺は朝と晩にその道を通る。
その晩そこを通ったのはもう深夜に近かった、夕方まで小雨が降っていた、夏の晩の事である。


カーブの出口の所で、白い半袖ワイシャツを着た男がガードレールに手を突いて崖の下のどこか一点を見ていた。
周囲に車は無い。
俺は徐行して、どうしたのか聞いて見ようとした。


だが思いとどまる事にした。状況から考えて、この夜中に街灯もロクにない山道を歩いてここまでくる者は普通いない。
俺は徐行したままその男の後ろを通り過ぎ、10m程移動した後、そっと後ろを振り返ってみる。

思った通り男はいない。
数日前朝ここを通った時に、この場所にパトカーが数台停まっていた事を覚えている。ガードレールがかなり大きくヒシャゲテていた。
先程彼が手を突いていたガードレールは、やけに白く光った真新しく張り替えられた物だ。



家に帰ると俺は寝ている妻を揺すり起こし、今し方見てきた次第を話した。彼女は多分、半信半疑だったろう。
同時に、話している俺自身も今し方目にしたことが実は夢ではなかったか、そう思い始めていた。
月末の連日残業が続く中、たとえ運転中であったとしても、ほんの一瞬ウトウトして幻覚を見たとしてもけして有り得ない話ではない。


だが二、三日の後、それがけして夢とも言えない事を知らされた。その話を持ってきたのは妻だった。

やはり、あの場所で数日前に事故があったそうである。車は、ガードレールに乗り上げ、下の林の中に転落したそうである。
但しその現場には遺体、或いは運転者がいない。そしてあろう事か、その車の持ち主は妻の友人の夫だった。


妻の友人は、なんの連絡もなく夫が帰ってこない。翌日の午後、会社に出社の有無を確認した後、警察に捜索願いを出したそうである。
しかし、それよりも早く、車はあの現場で発見されていたそうである。

社内の書類から車の持ち主はすぐに判明した。現場の状況からして、運転を誤ってカーブを曲がり切れずに転落した、そう判断するのが妥当だろうと思われた。


ただ、当の運転者本人が見つからない。薄暗い林の中を、警察は下草を分けながら捜したが、やはり何も見つからない。
家族にとっても、警察にとっても、捜索人本人が見つからねばそこより先に進めない。
一時は蒸発、あるいは偽装サツ人説まで出たそうである。



俺があの時彼を見たのは、事故の発生から四、五日してからの事になる。

俺が妻にその話を聞いたのは、漸く遺体が発見された、事故から十日ほどしてからの事である。
夏の盛り、木々に葉が生い茂る季節、その木の一本に遺体は引っ掛かっていたそうである。転落時に、ドアから外に放り出されたのだろう。
これで、あきらめもつき、葬儀も出すことができると、妻の友人が近況と通夜の日時を知らせてきて、そこで初めて知った事実である。


今もあの場所には、定期的に花が供えられているそうである。
警察も、或いは夜にあの場所に行っていれば、もう少し早く彼を発見できていたのかもしれない。



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