整骨師「あんた、死相が出ているよ」真っ暗な公園に蹲る子供を見てから、おかしな事が起き始めた・・・

恐怖 1件
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夏の深夜、住宅街の暗い道を歩いていた男性はふと、公園内に蹲る幼い子供をみつける。その子の身を案じた彼は警察へと向かう。
ほどなくして警察官と共に公園に戻った彼の前にはもう子供の姿はなかった。
しかし後日、妻が奇妙な事を言い始めて───



2007/09/12
普段では有り得ない場所や時に意外な者に出くわす事がある。そんな時は用心した方がいい。 
彼の体験した話こうだ。

 
その日、都心の職場から自宅のある東京郊外の駅に着いたのは深夜零時を回った頃だった。タクシーは既に列が出来ており、彼は家まで30分の道のりを歩く事にした。 
東京の外れだから、駅から15分も歩けば、自宅までは街灯も少なく、歩いている人もいない。 


夏も終わろうとしているちょうど今ぐらいの時期で、道の暗がりのあちこちから虫の声が聞こえる。 
パス通りから住宅街に入る少し手前に交番がある、無人ではなくいつも一人は警官がいる。 

住宅街の暗い道を入りしばらく行くと小さな公園がある。 一応遊具はあるのだか、誰も乗る者のいない今は少しうらぶれて見える、街灯も少なく暗い。 


その暗い公園に、何か白い物がうずくまっている。 彼は目をこらしてよく見てみた、細い腕がある。 
彼は一瞬ギョッとした、深夜の公園に子供がいる。 

知らず知らずの内に、彼は子供に近付いて行った。 確かに子供だった、肉感のある生身の男の子。年の頃は小学一年生くらいだろうか。 
地面にしゃがんで、木の枝で砂に何かを書いていた。 

今の時代、母子、父子家庭も多く、彼の子供達の通う学校にも、そういう家庭が増えていた。あるいは母親は深夜まで働いているのか。部屋に一人でいるのが淋しくて、親がこの道を通るのを待っているのだろうか。 


それにしても… 
彼は話しかけてみた、が返事はない。 
子供はちらりと彼を見上げただけで、また地面に何かを書いている。 

わかった、じゃねっ。とその場を立ち去る訳にもいかず、辺りを見回す。住宅街の中にはコンビニも公衆電話もなかった。
当時、まだ携帯電話が出始めたばかりで、彼はまだそれを持っていなかった。 

仕方なく、彼は元来た道を引き返し、通りに面した交番へと小走りで向かった。事情を話すと、警官が自転車を押して付いてきてくれた。 
道々、警官に、次回からそういう事があったら無理にも立たせて連れてきてくれと嫌味をいわれた。 
確かに尤もだと、今さらに気が付いた。 


公園に着くと、子供はいなかった。 
警官は苦い顔で彼を見ると、割合あっさりと、彼から子供の身なりを聞くと、無線で付近のパトカーに連絡をとってくれた。 
無線の会話の中に例の公園と言う言葉が聞こえた。 今までも同じ事があったのか? 



翌朝、彼は昨夜の出来事を妻に話そうとも思ったが、自分の迂闊な行動をあの警官の嫌味のように避難されるのもバカらしいので言わずにおいた。 

それから数日して、彼の妻は変な事を言い出すようになった。昼間、居間にいると階下の廊下を誰かが歩く音がする、と。 
彼の住まいはテラスハウスと言う、いわば二階建ての三軒長屋みたいなもので、彼等の部屋はその真ん中。そして台所と居間が二階にある。 


彼はまず、玄関の施錠を尋ねた。すると妻が言うには、ペタペタとした子供のような足音なのだと言う。
他にも、閉めたはずのトイレのドアが開いていたりして、誰かこの家に、も一人いるような気がして、気味が悪いと。 

彼の部屋の両脇とも入居者はいるが、いずれも子供はいない。彼の家には子供はいるが、昼間は学校に行っている。 


彼はその時はあまり気にしてなかったが、その後妻の方は昼の内に買い物をし、PTAの友達をお茶に誘ったりして気を紛らしていた。 
不思議に、子供達が帰ってくるとそれらの事はなくなるのだとも言う。しかも不振な事や音がするのは階下でだけなのだとも。 


 
それから二週間ばかりして、彼は不注意から駅の階段を五、六段踏み外し、足首を捻挫した。その日は金曜の夜だったので、土日の内に足首の痛みは軽くなったが、スネの辺りが少しヘコんでいた。 

病院に行って、ギプスなぞされるのも避けたかったから、月曜日は休んで、近所の柔道整骨院に行くつもりだった。 


施療室に入ると、机に向かって何か書き物をしていた整骨師は、診察台の上に足を出して座った彼の方を振り返ると、足よりも、まず彼の顔を暫く見ていた。 

やがて施術も終わり、幸い、足の方はヒビが入ったという事はなく、ギプスも必要ないそうだ。 
だが骨が少しヘコんでしまったから、湿布薬とスネにつける小手のようなものを着けてもらった。暫くは定期的に来るようにと言う。 


帰り際、整骨師は再び彼の顔を見ると、ボソッと 
あんた、死相が出ているよ。 
と言った。 

歳は七十に近いだろう、しかし昔、講道館柔道の高段者だった整骨師は、でっぷりと太った、如何にも貫禄のある体躯をしていた。 
昔、人相見も学んだことがあるそうだ。 
いきなり死相が出てると言われれば、やはりいい気持ちはしない。彼は死相とはどんな相なのかをを聞いてみた。 


相手の言うに、死相とは顔であり、触覚であり、臭いだそうな。病気で亡くなる人、起死念慮に憑かれた者、皆、常の人と少し違うものだと。 
人の顔色を確認しながら、体を押したり引っ張ったりしていると分かってしまうものだと。 
人相見も達者になると、不慮の事故による死すらも当てる事があるという。 
そんなような意味の事を言った。 

ただ、あんたはそれらと少し違う、とも。なんだか、実際より、顔が体に比して小さいように見えると。しかも首が左に曲がっている、何となく、一見、折れているようだよ。 
そう言った。 


彼は不愉快に思うよりも、急に、この土地で生まれ、そこで開業している、目の前の老整骨師に聞いてみたくなった。あの公園の事を、あの子供の事を。 
そしてあの晩の一部始終を話し始めた。 

一通りの話を聞いた後、整骨師が話した内容は以下の通りである。 


まず、前にあの公園で子供が遊びの最中の事故で、亡くなっているそうだ。そんな昔の事ではない、ほんの七、八年前の事だそうである。 
そしてさらに話を続けた。 
 
あの辺り一帯、五十年程前までは、所謂、忌み地のようになっていて、公園の先の坂を少し上ると、焼き場があったそうである。 
そして更にその上には、結核の隔離病棟があったそうだ。 

当時あの公園はなく、一体は昼でも薄暗い森だったそうだ。さすがの後の講道館の猛者も、子供の頃は夕暮れ以降、あの辺りを通る事は出来なかったそうである。 


整骨師は最後にこうも言った。 
霊を信じる、信じないは別として、住む世界が違うものが、あまり長いこと一緒にいるのはよくないと。気になるのならば、一度お祓いに行くのもいいだろう、とも。 


越してきて、まだ三年程の彼には始めて聞く事ばかりだった。 

現在はあの辺りには家が建ち、病院は大きな総合病院となっている。しかし、あの公園はネットで隔たれてはいるが、奥にドブ川が流れていて、更にその奥は林。 
越してきたばかりの頃、子供とよく散歩に出かけたが 、昼でも少し薄暗く、あまり遊んでいる子を見かけたことがない。 


 
家に戻ると、買い物にでも行ったのか、彼の妻はいなかった。たまの平日の休み、彼はビールでも飲んで、のんびりと過ごす事にする。 


昼近くになった頃、本を読んでいると、階下をペタペタと歩く音がした。妻の言うとおり、歩幅の狭い子供の歩く音。 
彼はソッと階段を降りて行った。 
一階は、子供達の部屋、そしてトイレと風呂場。 


彼は、トイレ、風呂場、そして子供達の部屋のドアを順々に開けていった。そして、最後に、これは長男が使っている和室の部屋、その引き戸を開けた。
入って左手に押し入れがある、僅かに開いている隙間に指を掛けた時、以前観たホラー映画を思い出した。ニャ~オ゛はやめてほしかった。 


思い切って開けると中を除いた、やはり誰もいない。 
彼は二階に戻り、しばらく何をするともなくボーとしていた。 



あれから何度か、夜にあの公園の前を通った。 
しかし、あの子を再び見かける事はなかったが、今日のあの話を聞いて、あの道を帰るのが少し憂鬱になっていた。 
目を閉じて、半世紀前のこの辺りの風景を思い浮かべてみる。隣の市の、彼の育った所も似たようなものだ、そんな場所は確かにあったことを思い出す。 



夕食の後、彼は昼間に聞いた公園の件を話してみた、あの夜の事は伏せたまま。 
驚いた事に、妻も子供達も既に知っていた。妻は近所の主婦から、子供達はクラスの友達から。
学校では既に都市伝説化して受け継がれているらしい。 
塾帰り、夕方あの公園の前を通ると、風も無いのにブランコが揺れていた、他愛もないものだ。 


だが、あの晩の事を思い出して、彼は少し背中が寒くなった。
続けて、病院の事も尋ねて見ようと思ったが、結核と焼き場では少し子供の前では暗すぎる、止めておいた。 


しかし、その事故にあった子供の親族は、まだこの土地に住んでいるのだろうか。その子に兄弟はいるのだろうか、公園の噂は知っているのだろうか。 
そういえば、整骨師から、病院と焼き場の話はあまり他言しないように言われていたのを思い出した。土地に変な噂が立ち、買い手がつかないと、地主が困るそうだ。 

元は農村だったこの地域には、大きな地主が幾件かあった。特に明治から戦前にかけて、外国からの絹の需要の増大に伴い養蚕が盛んであり、かなりの財産を築いた者も多かった。 
そういった者に睨まれると、困る人達が出てくるそうだ。 


 
その夜、風呂を出た後、パジャマ代わりのTシャツを被った瞬間、彼は悲鳴をあげた。背中に電極を押し当てられたような衝撃を感じたから。 
足下を見ると、大人の小指くらいの百足が逃げていくところだった。洗濯物を干している内に入り込んだのだろう。 

あんなに小さな百足でも、スズメ蜂二匹くらいに相当するようだと思いながら、彼は百足を罵り詰った。背中の筋肉が、凝ったようで、真っ直ぐに伸ばせない。 


その晩、彼は家の者が寝静まった後も、痛みのために眠れずにいた。麻酔代わりに、と飲んでいた酒も逆効果だった。血流が早くなり、かえってズキズキと痛み出す。 

それでも飲もうとグラスの縁が、唇に触れた瞬間 、不意に、玄関の鈴が鳴る。 
客が来たらわかるように、よく喫茶店のドアにあるような細いパイプを幾本かぶら下げたシャラン、シャランと鳴る風鈴のようなアレだ。 


彼は背中を曲げたまま、体を硬くした。 
ちょうど尿意も催してきた、彼は階段を降り、廊下に降り立つと灯りをつけた。 
誰もいない。 

 
そのままトイレに入り用を足す。あと少しという所で、ペタリ、ペタリと廊下を歩く音がする。 

ドアの前で止まった。 
彼も止まった。 

子供達の部屋が開いた様子は無かったが、彼は一応、名前を呼びかけ、尋ねてみた。返事はない。 
彼はズボンを整え、ドアを半分だけ開けてみた。 
首だけ出して、左右を確かめる。 
誰もいない。 


不意に背後でジャッと水を流す音がする。 

いるのか、この中に、俺といっしょに。 


途端、彼は外に出てドアをきっちりと閉めた。 
急いで玄関に行き、施錠を確かめる。 
ふと、下を見ると何か違和感を感じた。 
どこが? 
だが分からない。 


さらに暫く見ていると、自分の靴だけが、左右逆に並べられている。 
彼はしゃがみ込んで靴の向きを直した。 


灯りというものは、本来、人間の、闇に対する恐怖を和らげてくれる為のものだ。だが、時として、恐怖を増大させる事もある。 
靴を直す彼の手に、影が差した。まるで、ダルマさんがコロんだ。のように、その影は一歩大きく、彼の背後に近付いていった。 

彼の真後ろまで来たと思われた時、その影の、小さな頭を支える首の部分が、不自然なくらいにガタりと右に倒れた。 


彼は、あの公園で見た子供の事を思った。 
あの老師と、妻と、子供達の話を思い出した。 

つまりは、そういう死だったか。 
不本意で哀しい死だったか。 



コメント

  1. 1
    名無しのオカルター:

    長いくせにおちがよくわからんという駄作以下の内容。
    こんなくだらない話まとめに上げちゃだめだろ、管理人!

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