「くねくねした子供がついてくる…!」山の中の不気味な集落、その先で今年一番の怖い体験をした…

恐怖 0件
夫と車で滝の観光に向かう途中、何故かナビの様子がおかしくなってしまう。
やがて山の中の集落に到着するも、目に入るのは不気味な一軒家。
本当にこの先に滝があるのか・・・と次第に不安になる投稿主を「命の危険を感じる程の恐怖」が襲う───



 山の方に滝を見に行こう!って出かけてたんだけど、いろいろあって滝は見ないで帰ってきた。多分今年イチになる怖いことが起きたんだ。

 インター降りてナビの言うままに走ってたんだけど、なんだか調子がおかしい。曲がれって言われても直進しかできない。いくらリルートしても曲がれっていう。
 今思い返せばあのときからおかしかった。



 山登ってるから方角は合ってるはず、看板を探そう、とそのまま走った。
 山道の先、鄙びた集落へ出たとき。目に入った一軒家の軒先を、ペラッペラの白い紙人形が埋め尽くしていて思わずギョッとした。不気味な家だなと思いつつ、本当にこの集落の先に目当ての滝があるのかって不安になった。
 クソ暑い中畑作業をしているおばあさんたちがいたので、停車して道を聞いてみた。

「お仕事中すいません、この先に◯◯の滝ってありまーー」

「くぁせdrftgy!!!アハハハハ!!アハハハハハハハハ!!!!」

 突然の大きな笑い声にびっくりして「すいません」と慌てて窓を閉めた。



「えっ何あれ、なんて言ってた?方言?」と驚いたまま運転してる夫に声をかけた。が、その夫の様子がどうもおかしい。運転しながらも、田んぼの向こうにある山を気にして見ている。

「どうしたの?」
「あの斜面のとこ、人いる?人だよね。子供いるよね?」

 言われたままに見てみたけど、人はいなかった。案山子のようなものもなかった。

「さっきのT字路入ったときからずっと、くねくねした変な子供がついてきてるんだ」

 と夫がアクセルを強めに踏んだ。
 何かおかしい。猛暑の炎天下、なんでこんなに人が外に出てるんだ。人がいるわりに車とすれ違わないのは何故だ。



 気がつけば集落は抜けてまた山道に入った。様子のおかしい夫を止められる状況ではなかった。
 どうしたらいい…と震えていると「◯◯の滝、駐車場」と書いてある古い看板が目に入った。「駐車場あったよ!左!」と夫に声をかけるも、車はなぜか右に曲がった。車がギリギリ入れる急勾配の山道を登っていく。

「こっちじゃない!危ないよ!!ねえ戻ろう!!」

 カーブを曲がるたびに道は細くなる。木の枝が車体を擦って嫌な音がする。
 夫の表情を見たときに、その顔にゾッとした。目元はボンヤリとしていて、口元だけ笑っていた。何かうわごとのようなことを呟いている。



 と、反対側の助手席の窓をみるとほんの30秒程度の間にどれだけの距離を登ったのかってくらいの断崖絶壁があった。もちろんガードレールなんてないし、ハンドルひとつ間違えたらヤバイやつだ、と身体が強張った。
 その瞬間、急に怖くなった。

「いやだ!しにたくない!馬鹿夫!目を覚ませ!!」

 思わず夫の顔面にキンキンに冷えたポカリスエットをぶちまけたとき。

「……え?ええ??なに?なにこれ?うわっちょっとなにこれ……え?なにここ?ちょっとええ?!?!はあ?!?!」

 夫は正気に戻ったようだった。



 この細い獣道を降りなければならないことら夫もすぐにわかったらしく、慎重にゆっくりハンドルを切りながら後退した。 急勾配の山道の後退、何回か石に乗り上げて前輪が空転し、とにかく怖かったが祈るしかなかった。
 アスファルト舗装の最初のY字路に戻ったとき、思わず泣いた。



 一安心して見上げたときにまた驚いた。Y字路からは田んぼの奥に山が広がるだけで、駐車場の案内看板なんて何もなかった。
 一体なんだったのか……と呆然としていたら、山の奥の方から一台の軽トラがやってきた。
「おめえらそっちの道は崩れて危ねえから入んじゃねえ!」と軽トラに乗っていたおじいさんが言った。そのおじいさんに聞いてみた。

「ここに来るまでの途中の集落、人がいっぱい外に出てたんですけどお祭りか何かですか?」

 馬鹿言うなこのクソ暑いのに祭りなんかやるか、とおじいさんは去っていった。

「滝、どうする?」
「……滝はいいや。なんか疲れた。帰ろ」

 元来た集落の方へまた車を走らせると違和感が込み上げて来た。
 さっきあれだけ人がいたのに誰もいない。急に笑い出したおばさんたちもいない。 紙人形が埋め尽くしていた民家もない。普通の光景がかえって不気味だった。
 一体なんだったんだろう……と車窓を眺めていた。どんなに注意深く見ていても、最初のT字路が見つからなかった。



 仕方ないので二車線の県道をまた30分くらい走って、どうにか市街地まで戻った。 夫は疲れと緊張が混ざった様子だけれども、あの不気味な表情をすることはなかったので安心した。
 ふたりして定食を食べながら、結局なんだったのかを話していた。

「つまるところその滝はあるの?ないの?」
「あるはずだよ、昨日ラジオでいってて」
「じゃあなんでググッてもひとつもヒットしないの」
「ええ、じゃあなんで最初のナビで目的地設定できたの」

 なにがなんだかわからなかった。



 長くなったわりに大したオチもないんですがこれで終わりです。
 生きて帰ってこれてよかった。洒落怖を好きでよく読んでるんですが、リアル洒落怖でした。



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