【長編】ドライブ中に事故→目覚めたらそこは「顔が長い二足歩行の生物」が生きる世界だった…【異世界】

不思議 3件
no image

※かなり長いです。内容に関して信じるか信じないかはあなた次第…ですが、読み物として面白いのでお暇な時にいかがでしょうか。

1 :2014/10/20(月) 
はじめまして。
突然ですが、人はなぜオカルト系の話しに興味を示すのでしょうか?
数多いる霊を見た!と証言する人…また、それを否定する数多いる科学者たち…
自分に注目を集めたくて嘘の作り話しをしているのか?
見たことが無いから、見たと言う者を羨ましく妬ましく思い否定しているのか?
答えは分かりません…
話しなど、体験談だろうが狂言だろうが真実は本人しか知り得ないモノだから…


これから私が話す内容も、真偽については読んだ方の判断に任せます。
文才は無いですし、誤字脱字もあるかもしれませんし、少し長くなりますが、興味の続く限りお付き合い下さい。

 


2 :
それは、私がまだ中学3年だった秋の連休…
家族でドライブに出掛けました。
目的地は観光地としても有名なKのA(地名も人名も適当にぼかします)、割と仲の良かった3人家族で、連休があればどこかに出掛けたりしていました。
私自身、内向的で学校ではイジメ?られているというか、友達は居ませんでしたので…

秋の連休、紅葉などの観光目的の車で多少道路は混んでいましたが、それでも心地よい時間でした。

高速を降りて山道に差し掛かり、少し霧?が出てきました。
霧というよりは靄?
少し視界が悪い状態、しかし私も母も父の運転に安心していたので、何も気にしない様子で変わらずドライブ。
山の中腹くらいでしょうか…突然車が「キキキィーーーッ!」ガゴンッ!!
…事故を起こして左の崖へ転落…

 

3 :
どのくらいの時間が経ったでしょう…
私は意識を失い、夢を見ていました…
それは光の中に両親が居て、私も慌ててそちらに行こうとしたら、父と母が「ごめんな…でもお前は必ず生きろ!」…と、そこで目覚めました。
鬱蒼とした森の中、車から放り出されたのか、木にもたれるような形で倒れていた私は、全身に電気が流れるような激痛を感じましたが、とにかく父と母を探さないと…という一心で体を起こしました。
足を引きずり、腕を押さえ辺りを見回して探したのですが見当たりません…
涙と鼻水、ヨダレや血でぐしゃぐしゃに鳴りながら数時間探していましたが見つけることはできませんでした。

 

4 :
不意に木の奥で物音がしたような、何かが動いたような気がしてそちらに向かいました。
そのとき前方に気をとられて、足を引きずった私は何かに躓き横転…
全身に無数にある傷に追い討ち、痛みのあまり気絶しました。

長い夢を見ました…内容は…覚えていません。

ただ、父と母が泣きながら、しかしどこか安心したような表情で立っていました。

…「…いっ!…おい!…キミ!…大丈夫か?」

…ふと目を覚ますと、不思議な服装の見知らぬ中年男性が…

中年「大丈夫か?話せるか?…どこから来た?」
私「…Sから、連休を利用して…両親と…!!」
急に思い出し体を起こそうたしたら…「っつ!!」全身に激痛が…
中年「まだ無理だ、落ち着いて話すんだ」
そう言われても、見知らぬ中年男性に見知らぬ場所で…混乱して取り乱さない子供がいるだろうか…
ひたすらに泣いた…男性はただ黙って考え込んでいる様子…
どれくらい泣いただろうか…泣きつかれた私は、少しだけ冷静を取り戻し、男性にここは何処ですか?と尋ねた。

 

5 :
中年「ここは…私の家だよ。」
私「僕の他に父と母を見かけませんでしたか?」
中年「倒れていたのはキミだけだ…森の中でキミがお父さんと、お母さんを呼ぶ声がして、探しに行ったらキミが倒れて気を失っていたので連れて帰って来た」
…私は事故に遇うまでの経緯を簡単に男性に話した。
事故の衝撃で曖昧な記憶ではあったが、男性は黙って聞いてくれた。
一通り話し終えると…
中年「…そうか…キミもか…」
私「?」
中年「いや、気にしないでくれ。とりあえずキミはもう少し体を休めた方がいい。今スープを持ってくるよ。」
そう言い男性は奥の部屋に行きカタカタと用意しだした。
…男性がいない間に始めて周りを見渡してみた…
家と言うより小屋?という表現が適している感じ。
私が寝かされているベット?も草を沢山敷き詰めてそれにツギハギだらけのボロを被せた感じ…
…やはり私は落ち着かず、混乱し冷静ではなく、悪い方悪い方へと物事を考えて、また泣いていた。

中年「お待たせ。大したものは無いが、これを…」
男性が持ってきたソレは、木の器に入った野草?のスープ…
お腹は減っていたが、だがしかし…な見た目…
私「…」
中年「こんな物でも、食わなければ人は死ぬ…食わなければ体も良くならない…」
そう言って私にすすめてきた。
私は意を決してスープを一口…
完全に雑草だ…味付けは…無く、ただ草の臭いと青臭い味のみ…一口二口で断念した。
中年「慣れるまで少し厳しいかもな。」
そう言って男性は少し笑ったようにも見えた。
私(慣れるまで?なに言ってんだ?この人…)と思っていた。

 

6 :
中年「さて…どうしたものか…」
私「何がですか?事故したんだし警察呼んで父と母を探さないと!」
中年「…キミには…言いづらい話しだが、それは出来ないんだ…」
私「!?出来ないって…?」
中年「もう少し落ち着いてから話したかったが、しかたない…」
私は何度めかのパニック…
中年「とにかく落ち着いて。今から全てを簡単に話すから」
落ち着いたのかどうなのかも自分では分からないまま涙を流しながら聞いた。
中年「まず、ここはキミや私がいた世界ではない!」
私「へあっ!?」(よく覚えていないが声にならない変な疑問声だと思う)
中年「キミは事故にあい、その衝撃で別の世界にとばされたんだ。」
私「ちょっ…何言ってるんです」
中年「いいから最後まで聞きなさい。」

中年「この世界は、元の世界では無い…パラレルワールドを知っているかい?」
私「何となく…聞いたことは…」
中年「多分そのような場所だと思う…私にも詳しい事や、確証は無いがそう思う…」
私は完全に危ない人に誘拐されたんだ!と思った。
なおも男性は話しを続けた。
中年「ここからは、かなり重要だから、ちゃんと聴くんだよ。」
中年「まず、森を抜けた街には行かない!森の端の方にも行かない!これは絶対だ!」
少し強めの口調で言ってきた。
中年「もし、森の中に二足歩行しているモノを見つけたら、声をかけるな!人では無い!」
私「人では無い!?」
中年「そう…この世界に人は私とキミだけだ…と思う…」
私「思う…って…」
中年「私がキミを見つけた時に近づいたのは、キミが言葉を話していたからだ…」
中年「今日はもう遅い…キミが回復するまで色々話してあげるから、少し寝なさい。」
…混乱している私を見て男性は言った。
中年「私はキミに危害を加えない!キミの味方だ…これだけ今理解していてくれ…おやすみ」
そう言い男性は、また奥へ行った。

 

7 :
事故にあい、疲れていたせいか不思議と眠りにつけた。
翌朝、痛みで目が覚めると男性が私の腕の擦り傷に草を擂り潰したモノを塗っていた。
中年「おはよう。目が覚めたか?コレは薬草だよ。」
中年「私は医者では無いが、歴史や植物の研究をしていた学者だったんだ…」
そう言い少し表情が曇った…
中年「キミは幸いにも骨折はしていないようだ。全身の打撲も若いし直ぐに治るだろう…とりあえず、今から私はキミを見つけた場所に行き、キミのお父さんとお母さんを探してくるよ。」
私「…ありがとうございます…」
中年「キミはキミの体のことを考えてゆっくりするんだ。いいね?」
私「…はい」
中年「おっと!そうだ!キミ名前は?私は田中健吾(偽名、以降健吾と表記)だ。」
私「…山下慎二です…」
健吾「慎二くんか、宜しくね。」
健吾「奥にスープがある、立てるかい?」
私「はい…」
健吾「じゃあ、お腹が空いているだろうから、ソレを食べるんだよ。」
そう言い残し健吾さんは出ていった。
私は混乱しぐちゃぐちゃの頭の中を整理しながら半信半疑の中、お腹が空いていたのは確かなので奥へ向かった…
始めて自分が寝かされている部屋以外に足を踏み入れると、そこは本当に何もなく、板のツギハギだらけの小屋だった。
真ん中にポツンと小さなテーブルが置いてあり、その上に昨日と同じ器が…またあのスープか…と肩をおとし近づいた…
私「…!?」
何と魚と野草のスープだった、その横に手紙が…読みにくい文字だがこう書かれていた
「釣りは不慣れだが一匹だけ釣れたんだ。味付けは塩しか無いが少しはまっしだろうから、ちゃんと食べて下さい。」
健吾さんは、昨日私がスープを食べなかったことを気にかけ違うものをと工夫してくれたんだろう。
なぜか涙を流しながら食べた…少し生臭い気がしたが、生姜?のようなモノでだいぶましだった。
全てたいらげ、外に出てみようかなと思った。
外に出ると辺り一面、木…
小屋の後ろに小川があった…有害か無害か分からないが、その水を飲んだ…水だ…無味無臭…ただの水…よく見ると小さな魚もいる。

 

8 :
やはり健吾さんという男性は嘘をついているんだ。
パラレルワールドなんてあるはず無い!
何も変わらないただの森じゃないか!
そう思った…しかし健吾さんが嘘を付いて、私を介抱している意味は?
色々な事が頭を廻った…
とにかく、本人に聴くしかない…小屋に戻り横になった…
(父さんと母さんは無事かな…学校はどうなんだろう…)とか色々考えているうちに、いつの間にか眠ってしまった…
…ギィッ…
ふと物音に目を覚ますと、健吾さんが帰宅した。
私は慌てて健吾さんのもとへ。
健吾さんは、申し訳なさそうな表情で…
健吾「すまない。何も見つけられなかったよ。」
私「…そう…ですか…」
…また泣き出した…もうどうしていいか、父と母には会えないのか、一人なのか…
健吾「一人じゃないよ!」
…!?
健吾「キミは一人じゃない…私もそうだった…」
健吾さんが、おもむろに語りだした…

 

9 :
健吾「私もここに来た時、今のキミのように混乱した、私には妻がいたんだ。子供はいなかったが、二人で幸せに暮らしていた。」
「私の仕事の合間に地質研究と旅行を兼ねて、妻と二人でKに行った帰り道だ…」
そう言って健吾さんは少し涙をこらえ震えながら話した。
健吾「疲れていたと言ってしまえば言い訳だが、山間のカーブでハンドル操作を誤り事故に合った…」
「…気がついたら、妻は居なくて自分達が乗っていた車も、その残骸すら見当たらない森の中に倒れていた…」
「何時間、何日間も森の中をさ迷い探し回ったよ…」
「結局見つからなかった…すまない、少し遅いし寝よう。明日、キミに見せたいものがある、少し歩くが大丈夫か?」
私「大丈夫です。」
健吾「そうか、じゃあおやすみ。」
私「おやすみなさい」
私は混乱してばかりだった…健吾さんの話の真偽も定かではないし…色々考えていると、いつの間にか眠ってしまった。

 

10 :
翌朝…
健吾「おはよう。朝食を食べたら出掛けよう。」
私「はい。」
テーブルに向かうと…
健吾「昨日と同じで申し訳ない。」
少し苦笑いしながら健吾さんは魚と野草のスープを出した。
私「いえ…ありがとうございます。」
健吾「昨日、全部食べてくれていたから…」
私は健吾さんは優しい人なんだ、と少し気を許していた。
少し案処すると昨日食べたスープより、美味しく感じ直ぐにたいらげた。
二人で家を出るとき、不意に健吾さんは僕の方を見てこう言った。
健吾「今日、向かう場所は危険だ、最初に話した森の端に行く、けして大声を出さない!何かあったら私のことなど気にせず、全力で自分自身を守れ!いいね?」
私「はい」
意味も分からず返事をした。
森の中をかなり歩いた、私にはもはや来た道すら分からない。
健吾「少しぬかるんでいるから、足元に注意するんだよ。」
とか、時折私のことを気にかけて進んでくれた。

11 :
私のほうは、怪我なども多少痛むが健吾さんが言っていたように、割りと痛みもマシになっていたので、何とか着いていけた。
何時間か歩き続けたとき、不意に健吾さんが歩みを止めた。
私がどうしたのかと尋ねると。
健吾「静かに!ここからは声を出さない!物音もたてない!最新の注意をはらって行動するんだ。いいね。」
私が頷くと、健吾さんはまた歩を進めました。

少し進むと森が開け、視界に奇妙な光景が…

私は本当に絶望しました。
目の前には見たこともない建物が…それも沢山…ゴツゴツしていて光沢のある鉄?のような素材で出来ていて、形はどれも縦長で屋根?が丸まっていて…説明しにくいですが卵の下を潰して立てた形みたいなの…
そして健吾さんを見ると…軽く頷きました…しかし、その刹那!!
健吾さんがガクガクと震え額には脂汗!!
私も健吾さんの視界の方へ目を向けると…
私「っ!!」
健吾さんがすかさず私の口を押さえました!
ソレはいたのです…体長は二メートル無いくらい長身の人間と変わらないぐらいの二足歩行の生き物が…
赤黒く皮膚を露出させたような顔の異様に長い、見た目の気持ち悪い生き物…
慌てて森の中に逃げ出しました。
数分?数十分?走り逃げ、後ろを振り返ると健吾さんも後を追ってきていました。
健吾さんの姿に安心した瞬間、今見た光景、生物に嫌悪感を感じ吐きました…
気付いたら健吾さんが背中を擦りながら介抱してくれていました。
私は泣きながら健吾さんにしがみつきました。
健吾「大丈夫だ。きっと…」
健吾さんも自分自身に言い聞かせるように言いました。

 

12 :
帰り道…
健吾「あれは、人が違う進化を辿った生き物だと思う…私達が居た世界では、私達の知る進化を辿り、人が私達の知る人の姿になったんだと…生物学者ではないが、この世界がパラレルワールドと過程して、生物達が違う進化を辿り、今に至ると過程している」
健吾「私がここに来て、約12年になる…」
私「じゅっ???12年も?」
健吾「そう…12年の間に出来る限りの事を調べた。家の横に川があったろう?」
私「はい。水飲みました。魚もいました。」
健吾「飲んだのか?まぁ無害だったから良かったものの、勝手に口に入れてはいけないよ?あの川の水は問題無いが、あれを越えると少し進んだ所に池があるんだ。」
「そこの水は飲めない…流れが無いせいか周りの木々の落ち葉が湖底で朽ちてガスを発生させている。」
「そして、キミの足元にあるその木の実も毒を含んでいる。私は12年の間にこの世界を、この世界で出来る限りの研究をしてきた。そして家と呼ぶには少しあれだが、あの家も立てた。」

 

13 :
「さっき私達が見た生物は森には何故かさほど入ってこない。ただし森を切り崩して来ている。そうやって少しずつではあるが、自分達が行動できる範囲を広げているのだろう…」
「同種どうしでの会話のようなものも確認している、知能的にも私達と同じか、ソレ以上…彼らが森を無理に広げないのは自分達の利便性よりも自然との共存におもきをおいているからなのかもしれない。」
私は、ただただ健吾さんの話しを聞いていた…
「因みに危険であるかどうかは分からないが、一度私は彼らに追いかけられた、ここに来て妻を探しさ迷っていたとき…」
「目の前に見たこともない街が表れ、見たこともない生物が居た、声を出して驚いた…彼らもそれに気づき私を追いかけてきた、事故で怪我をしていた私だったが、彼らは遅く、私でも逃げきれた。そして私が彼らに近づかないのには、もうひとつ訳がある…」
私「…」
健吾「…食うんだよ…」
ガクガクと震え出す…
私「えっ?」
健吾「彼らは、仲間が死ぬと…食うんだ…」
…吐いた…泣いた…

 

14 :
少し落ち着き、二人で再び家を目指した。
ようやく家沿いの小川に差し掛かった頃、先ほど以来口を開かなかった健吾さんが話し出した。
健吾「慎二くん、コレから二人だが私はキミを救うことは出来ない…元の世界へ戻りたいのは私も同じだ…まだ子供のキミに何をしてあげられるかも分からないが、お互いに助け合い、励まし合い生きていたいのだが、どうする?」
突然の質問に私は訳がわからなかったが、答えた。
私「生きたいです。いつか、元の世界へ戻って、ここに来ていない父と母に会いたい!」
泣きながら答えた…健吾さんが強く頷いた。
健吾「じゃあ生きるためにも、必要な物資を揃えよう!まずは服だな…あそこに行くか…」
私「あそこって?」
意味深な言葉に不安を感じた…
健吾「ゴミ捨て場のような場所だよ。」
私「ゴミ?」
健吾「そう!ここで生きていくためには多少の泥も飲まなければならない…ゴミ捨て場には、当然さっきの生物の監視の目もあり危険だ…」
私はゾッとした…
健吾「先程同様、自分の命のことだけ考えて行動するんだ。いいね。」
私は息を飲み頷いた。
森の中を進み崖のような下り坂を降りたところにソレはあった…
本当にゴミの山…
健吾「とにかく、布や麻袋などを大量に集めよう。」
私は意味も分からず従った。
二人でかなりの量を集め、特に何事もなく帰宅できた。

 

17 :
それから、健吾さんに色々な事を学んだ… 
この世界では物が無い。灯りは火、食べ物は自給自足…肉が食べたければ狩りも必要…、塩は家の横の小川を下り丸二日歩いた先に海がありそこで海水から作る、服は麻袋や、集めた布を使い自作する。 
それまで、15年間ヌクヌク過ごしていた私には、地獄のような生活だった… 
因みにこの世界にも四季はあるが、元の世界ほどハッキリしたものではない、成っている木の実や野草、捕れる魚が変わる、雨の日が多くなる、寒くはなるが雪は降らない…など… 
慣れるまでかなりかかった… 
しかし一年たった頃には自分でも驚くほど逞しくなった。 

 

18 :
健吾「もう一年にもなるなぁ…」 
私「そうですね。」 
健吾「明日から新しい事をしないか?」 
私「新しい事って?」 
健吾「家をリフォームしようか。お前も高校生の年だし、自室が欲しいだろう?」 
嬉しくてワクワクした。 
別に健吾さんと一緒に暮らしていることに不満があったわけではないが、夜中にこっそり、外に行き泣いたり何かと気を使うのは事実で…先に逞しくなったとはいったものの、時折思いだし泣くこともあったので…。 
健吾「しかし、家を作るにはかなりの危険もある」 
私「なんで?」 
健吾「木はどうやって切る?建築の道具は?」 
私「…!!」 
健吾「今のままじゃあ作れない…」 
私「じゃあ…どうするの?」 
健吾「まぁ、焦るなまた明日作戦会議しよう。おやすみ」 

次の日、朝から作戦会議… 

健吾「まず、どんな家で、何が必要か…」 
私「そうですね。」 
健吾さんが少し笑みを浮かべ外へ…私も後を追う… 
健康さんは家の前の地面に見取り図を書いた。 
新しい家は台所兼居間、健吾さんの部屋、そして私の部屋の2LDK?といった感じ。 
健吾さんが先日森の端に調査に行ったが、奴らは大して森を侵食して来てはいないことから、場所はあまり奥には移さず、今より少し川を下った辺りに建築することに。 
塩を取るために下に行きたいが海には奴らも来る。 
危険を避けるためこの距離は必要不可欠だった。 
健吾「さて、間取はこんなもんかな?希望は?」 
私「お風呂とトイレ…」 
健吾「ソレは今のままだね」 
少し笑いながら言われた。 
私「でも肝心の道具が…」 
健吾「そうだね。何が必要かな?」 
私「ノコギリと釘と金づち?」 
健吾「そうだね…あるかもしれない場所を1つ知っている…けど安全とは限らない…さてどうする?」 

 

20 :
私「…家作りたい…」
健吾「そうだね。よし、頑張ろう!いいかい?コレから行く場所は私も入った事がない場所で、奴等がいるかもしれない場所だ」
…!!
私「奴等の街から奪うの!?」
恐怖もあったが、家への期待感で行くことを決意…
健吾「さて、準備はいいかい?」
私「うん」
二人で道具を求め小川を挟み対岸の登った方へ向かった…

21 :
私「この先って…」
健吾「そう…池の方向だ。」
私「あそこはガスが出てるんじゃ?」
健吾「そうだよ、でも池に行くんじゃない。」
そう言って歩き続けた…
1~2時間歩いた所で健吾さんが立ち止まり指を指した…少し霧がかった先に池が見えた。
健吾「あの池を挟んだ反対側に今は使われていない、奴等の街があるんだ。小さな街で今は使われていないみたいだけど、だからといって全く奴等が居ないという保証は無い。」
健吾さんが行くか行かないかの質問をする前に答えた。
私「行こう。」
健吾「よし、行こう。」
池のガスが届かない所を大回りして、歩いていった…
数時間歩いた先に開けた場所が見えた。
不意に二人とも身を潜め息をこらした。
街の中の様子を伺う…
数分間そうした後、健吾さんが頷いた。

 

22 :
二人で意を決して前に進んだ。
ソコには依然見た街よりもかなり小さいが建物が沢山あった。
近くで見ると、無機質で殺風景な街だが、案外ちゃんとした建物だ。
入り口もあるし、窓らしき穴もある。
生き物の気配は無い…かなり不気味だった。
ふと建物の中を覗くと…!!
私「鍋だっ!」
健吾「しっ!!」
健吾さんが慌てて私の口を塞ぐ!
ごめんなさいとジェスチャー…
健吾さんが小声で話す。
健吾「使っているモノなどは私達が居た世界とあまり変わらないな…」
因みに健吾さんの家で使っている鍋も拾ったものだそうだ。
健吾「使えそうなモノを貰って行こう。」
そう言って、持ってきた木のツタをロープのようにして鍋など使えそうなモノを縛った。
さらにその建物の奥で布を見つけ、それを風呂敷のようにして、色々なモノを詰め込んだ。
健吾「さて、とりあえずコイツを運び出そう。」
そう言って二人で荷物を持ち街を出て池の近くの茂みに隠した。

 

23 :
健吾「次は必要道具だな…」
私「一度に運んじゃえばよかったのに…」
健吾「沢山の重い荷物を持って、あの場でもし見つかったら、危険が増すだろう?」
私「なるほど!」
健吾「少しの余力が、大きな安全になるんだ」
私「はい。」
健吾さんは、時折選択肢を与え私に答えさせたり、冷静な判断を欠かない人で人としての私への教育も忘れない方でした。
尊敬していたし、凄く大好きな大人です。
もう一度街へ入った時、少し違和感を感じましたが、私は欲しい道具に夢中で気にもとめなかった…
しかし健吾さんは違った…
健吾「しっ!!」
下がってとジェスチャー、二人ともゆっくり後退、茂みに隠れた。
「!!」
居た!奴等が居たのです!
相変わらず気持ち悪い容姿…それも3人?3匹?も!!
何か会話しているような音が聞こえました。
口笛を湿らせたような音?ピヒュルル、ピュー?みたいな…
健吾「不味いな…諦めるか…」
私「え?だって…」
健吾「もう少し様子を見よう」
二人とも、奴等の動向を見ていた…
すると一人が森の方を見た…私達が隠れている方を…
健吾さんも私も震えていた…
奴等の目が血走っててより恐怖心を煽る…
しかし何もなかったように3人とも歩いていった…
健吾「ふぅーーっ!」
っと大きくため息をついた。
健吾「行こうか」
私も頷く!
そして再び街へ…

 

24 :
建物をあちこち見ていると、一軒の建物に目が行った。
他の建物と明らかに違う構造…屋根の丸みがない。
中に入ってみた…どうやら何かの工場跡らしい…
中をくまなく探索する。
あった!ノコギリ?少し形状は違うが間違いなく木を伐れる道具!
それも大量に!
健吾さんも実際見たことは無いが自然との共存におもきをおいている奴等ならではというか人力で伐っているんだろうと予測していたらしい。
とにかく数本ずついただいた。
あとは釘と金づち…これも以外とすんなり見つかった、釘と言っても元の世界でいうとこの、ホッチキスの芯を太く大きくしたみたいなの、金づちは建物と同じような光沢のある、とにかく重いヤツ…まぁ揃うものは揃った…長居は無用!
退散しようとしたとき。
奴等だ!

 

25 :
さっきの3人が戻ってきた!
健吾「逃げるぞ!2手に別れて、さっきの道具を置いた場所で落ち合おう!いいな!」
返事をする前に健吾さんは奴等の方へ走って行った!聞いたかとも無いような叫び声が聞こえるピューピュールルルルル!
私も別ルートでもうダッシュ!
視界に、奴等に追われる健吾さんを見た…しかし私は別の道をもと来た場所へ向かい走った!
行き絶え絶えになりながら、元の道具を隠した場所へたどり着いた!
しかし健吾さんが居ない…どうすればいいのか混乱した、あの人が居ないと私は何も出来ない…
あの人が居ないと生きていけない…絶望感に涙が出てきた…しかしこうしては居られない…道具を隠し身軽になり、立ち上がった!そして逃げてきた道を、もう一度街に向け進んだ…街に着いたら慎重に周りを見た…右…居ない、前…居ない…左…居ない…!?居た!!
左に一人!!周りを伺っている…今出たらマズイ…息をこらして様子を伺った…建物の影に消えたのを確認し中に潜入!!
健吾さんを探した…
ガサッ!!物音に驚き後退り…不意に何かに引っ張られ後ろに引きずられる!
終わった!!っと思ったら健吾さんだった…
大声で泣きたかったが、健吾さんがしーっ!とジェスチャーした。そこから二人で荷物を隠した場所に逃げた。
健吾「危なかった~…」
心の底から出た言葉だろう、私も安心してため息が出た…すかさず、健吾さんの平手が飛んできた!!
ピシーッ!乾いた音が鳴り響いた…
私「っつ!!」
なんで?頭はまた混乱…
見ると健吾さんは泣いていた…
健吾「慎二くん…私は最初に言ったよね?」
私は訳がわからなかった。
健吾「自分の命だけを考えて逃げるんだと…私の事など考えるなと!」
私は泣いた…
私「でも…一人では…」
言い切る前に、健吾さんが優しく諭すように言った。
健吾「大丈夫だ!私も自分の命だけを考えて逃げる!」
笑いながら言ったが嘘だと直ぐ分かった。
逃げる時、自分が囮になり、私が助かるように時間稼ぎまでして逃げていたのは明白だった。
健吾「さぁ、明日から忙しくなるぞ!新居に向けて動き出そう!」
無理に明るく振る舞っている感じがしたが、私も笑顔で答えた。

 

26 :
家に帰り着いたのは夜中になっていた。
健吾「疲れた~…老体には堪える。」
少し笑顔で言った。
私「老体って…まだ48ですよね?」
私も笑いながら言った。
健吾「いやいや、慎二くんにはまだ分からないだろうけど、男も38才過ぎると急に老いるんだよ。」
と答えた。私も健吾さんも内心無事を喜びあっていた。
私「じゃあ寝ますか?おやすみなさい。」
健吾「おやすみ」

 

27 :
翌朝、今日は私が先に目覚めた。
起きて川で顔を洗っていると、健吾さんが後ろから声をかけてきた。
健吾「おはよう。昨日の運動のせいで筋肉痛が酷くて起き上がれなかったよ。」
笑いながら言った。正直、私もかなり…だが若いから平気感を出していた。
健吾「さて朝食の後で新居に向けて本格的行動会議をしようか?」
私「はい!」
この辺からワクワクが止まらなかった。

 

28 :
木はどれくらい必要か、構造は?切り方は?限られた数の釘で間に合うように、必要ない接続面に嵌め込む形で切ったり?等々…とにかくお互いに建築の知識が薄い…
辛うじて歴史などにたずさわっていた健吾さんの見たことある程度の古い建物の建築技術を見よう見まねで…という形…少し不安でした。
とりあえず森の中だし、木はいくらでもある、余った木材も焚き火に使える。無駄は出ないだろう。
しかしながら、家を作るのは思っていた何倍も何十倍も大変だった。
まず変な持ち手のノコギリ?と先の丸まった変な形状に慣れるまで時間がかかったし、家を建てる場所の整地に関しては1年以上費やした…
ようやく、整地も完了しても切った木を加工するのにさらに一年近く…気づけば私が来てから4年近く過ごしたと思う…
健吾「ようやくここまできたな…」
感慨深い表情で健吾さんが言った。
私「うん」
この頃には、私は19歳ぐらいだろうか…正直日付感覚も微妙…
健吾「慎二くん…いや…くんは似合わないな…」
そう言って、私の顎を指差した…
私「えっ?」
あっ!!自分でも気付かなかったが、少しだけまばらだけど、髭が生えていた…
健吾「今日から、慎二!キミも私と同じ髭同盟!大人の男だ!」
笑いながら言った。
私は意味もなく…いや意味はあるんだ…けど、これを読んでいる人達に想像してもらいたい…本当に声を出して笑いながら泣いた。
不思議な光景だろうな…
健吾「慎二!ここからは全力で組み上げていくぞ!」
私「はい!」

29 :
新居を組み立て出して数日…実際組み立てていくと、長さの合わない部分や、継ぎ手の合わない部分…ハプニングだらけで中々前進しない。
健吾「ああっ!またか!」
私「また合わない!」
の繰返し…最早口癖…でも充実していたし、晩御飯の時には、ここがこうでああなって、とか二人で話しあっていた。
友達が居なかった私に年の離れた親友が出来たような気分だった。
健吾さんは、尊敬できる大人で、物知りな兄で、守ってくれる親で、何でも話せる親友…そんな感じだ。
本人にも言ってみたら爆笑された。そんなに沢山の役は出来ないよ…とのこと。
健吾「慎二は、夢はなんだい?」
私「ん~…なんだろう…中学生の頃は漠然とお金持ち…とかだった気がする…」
健吾「お金持ちかぁ…確かにお金は必要だったもんね…」
私「学者さんって、儲かるの?」
健吾「ほんの一握りの学者はお金持ちだと思うよ。でも私は貧乏だった…妻にも働いて貰っていたし…」
健吾「でも…夢だったんだ…」
私「学者になることが?」
健吾「そう!…でも学者になりたい!って周りに言ってもあまり理解されなかった…」
健吾「でも、ある人に出逢い恋に落ちた…その人にも学者になりたいと告げたら反対されるんだろうか…って悩んだよ。」
私「それで!?」
健吾「包み隠さずに話したよ…そしたらなんと!賛成してくれたんだ!馬鹿馬鹿しい!って親にも怒られた夢を、その人は応援するって…」
私「それが奥さん?」
健吾「そうだよ。そんな彼女を不幸にして…っと!暗くなるね。止めよう!とにかく、明日も頑張ろう!」
私は何となく悲しくなった…それと同時に健吾さんの幸せを本気で願った。
その夜、こっそり外で泣いている健吾さんを見たが言わずにいた…

 

30 :
翌朝、またいつもの明るい健吾さんが居た。
朝食を済ませ、新居建築の作業を開始する。
この時点で、7分の1程度の完成度…いつまでかかるんだろう、とか考えてた…ドサッ!「ぐぅっ!」
不意に鈍い音と唸り声が!
私「健吾さん!!」
走って行くと健吾さんが横たわっていた。
私「大丈夫ですか?」
もはや半泣きの私…
健吾「…ぐっ!大丈夫…大丈夫だから」
と言っていたが、苦しそう…どうやら腕の骨を折ったらしい…
健吾「…はぁ…はぁ…ぐっ!…折れたみたいだ…」
健吾さんが起き上がり苦しそうにしている…
私「どどっ、どうしよう?」
と慌てていた…今考えても情けない…
健吾「とりあえず、腕の骨を繋ぐのに真っ直ぐにして固定しないと…」
私は健吾さんの指示に従い、硬い木と布を用意した。
健吾「私が頷いたら、私の腕を真っ直ぐに引っ張って、正常だと分かる形で固定して、用意した木で両側から挟んで布で固定してくれるかい?」
私「…うん」
健吾「慎二!キミにかかってるよ!」
と少し笑みを浮かべ木切れを口にくわえて鼻から息を吐き、静かに頷いた。
私は言われた通りにした。
健吾「んぐぐぐぐがっ!!」
健吾さんは必死の形相!!私も急いで処置した…
健吾「……くっ!」
息を荒げている健吾さんを見つめる。
健吾「映画なんかで見るのと、まったく違うね…痛すぎて涙も出ないよ。でもこれで腕は固定出来た、あとは内出血などが酷くならなければいいんだけど…」
薬や抗生物質の無い世界だし、不安要素しか残らない…

 

31 :
とりあえず健吾さんを支えながらなるべく衝撃をくわえないように、ゆっくり帰宅した。
帰宅後、健吾さんを横に寝かせ川の水を汲み体を拭いてあげたり看病した。
折れたのは左腕の骨、あとは打ち身…腕はあり得ないほど腫れていたし、健吾さんは苦しそう…私は隠れてまた泣いた。
健吾「もし、もし、腐ってダメになっちゃったら、ノコギリで切断って言う大手術になるね…」
私「馬鹿なこと言わないで下さい!折れたから腫れてるだけですよ!」
健吾「…そうだね。」
そして健吾さんは眠りに着いた…

 

39 :
夜中に何度も痛みで目が覚めて、うなされていた、熱も上がっていた。
とりあえず川の水で熱を冷ますように一晩中看病した。
翌朝、まだ痛みと熱にうなされている健吾さん…
何かしないと…
とりあえず健吾さんに教えてもらった薬草を取りに行った。
自分にも出来ることをと…
森の中を、薬草を求めて歩いている…数時間かけて結構な薬草の量を手に入れた…さて、そろそろ帰るか…と帰ろうとしたとき…木々の向こうで動く影が!
ガサガサっ!!

 

40 :
とっさに私は隠れた!
(何で!?森の中には入って来ないんじゃ!?)
頭の中は混乱と恐怖でイッパイ…息をこらして、木々の奥を凝視した…ガササッ!…ドサッ…
…ん!?
奴らじゃない!?
そこには一人の人間の女性が倒れていた…
女「…みず…」
私「みず…水?水が欲しいのか!?おいっ!」
女の子は気を失っているようだ…
私は同様しまくった…健吾さん以外の人間…しかも女の子…連れて帰る?しかし、健吾さんもあんな状態なのに!?
…やはりこのままには出来ない…
女の子を抱え家に戻った…

 

41 :
見知らぬ人間を連れ帰ると怒られるかな?という不安よりも、目の前に現れた女の子に私はものすごく興味を示していた…勿論変な意味ではなく。
(この子も、自分達の居た元の世界から来たのかな?見たところケガはしていないみたい…女の子って軽いんだ…)などと頭の中を色々な思想が駆けめぐる。
家に到着し、とりあえず床に直接寝かすのもあれなので、布を何枚か敷き、その上に寝かせた。
とりあえず健吾さんに報告しなくちゃ…採ってきた薬草を磨り潰し健吾さんの元へ向かった。
健吾「…すまないね。」
私「いえ…こんなことしか出来ないんで。」
健吾さんに、薬草を飲ませ一息着いたところで切り出した。
私「…さっき薬草を採りに行った帰りに…人が」
と言った瞬間に健吾さんが慌てた様子で。
健吾「奴らが森に居たのか!?」
私「ちゃんと聞いて下さい。奴らじゃなく、人間です。」
健吾さんは、驚いた様子で…しかし冷静に聞いてくれた。
一通りの経緯を伝えると、健吾さんは黙って考えだした。
健吾「まずは、その子が目覚めてからだな…」
私は黙って頷いた。

 

42 :
その夜は眠れなかった。
健吾さんの看病と女の子の様子を交互に看ていた。
朝、健吾さんが先に目覚めた。
健吾「おはよう。女の子は?」
私「まだ眠ってます。」
健吾「そうか…」
黙って考え込んだ…
健吾「慎二…私がキミに最初にしたことを覚えているか?」
私「はい。」
健吾「その子にとってのお前は、お前にとっての私のようなもんだ…だから、分かるね。慎二ならできる。」
私「…頑張ります…」
健吾「この世界の事に関しては私も一緒に説明するよ。」
私「有り難うございます。」
健吾「こんなときに、私がこんな状況ですまないね。」
私「いいえ…」
…ガタガタ!「…えっ!?どこ!?」
隣の部屋で女の子の声がした。

 

43 :
健吾「起きたみたいだね。行ってきなさい。」
私「はい。」
隣の部屋で起きた女の子は、かなり同様?怯えていた…そして私に気づいた。
女「誰!?ここは!?何したの!?」
凄い形相で睨みつけてきたが、何故か怖くなかった…私も健吾さんに始めて会ったときこうだったのかな?とか考えてた。
私に敵意や、悪意を感じなかったのか女の勘というやつなのか、すぐに睨みをやめ、先程とはまた別の口調表情で尋ねてきた。
女「あなたが、ここに連れてきてくれたの?ここはどこ?」
私「森の中でキミが倒れていて、そのままじゃ危ないから連れてきたんだ。」
女「そっか。有り難うございます。…」
そう言って女の子は私の方を不思議そうに凝視している。
女「…あなたの服…?」
私「あっ!これ?…その…説明しにくいんだけど、ここには服が無いんだ…だからこういう麻の袋なんかを利用して自分で作ってるんだ。」
女の子は不思議そうな顔で、首をかしげた…
女「無い?買いにいけばいいんじゃないの?お金が無いの?…!!」
女の子がまた険しい表情になった。
女「誘拐!?」
怯えている。
私「誘拐なんてしないよ。それより喉が渇いてるんじゃない?」
女「…なぜ?」
私「気を失う前に、水って言ってたから…」
そう言い水を差し出すと、女の子は慌てて…
女「あっ!みずきは?私と一緒にもう一人いたでしょ!?」
私「えっ?居なかったよ…キミだけだった…みずって、水じゃなくみずきって名前だったんだ…でも、キミしか居なかった。」
女「大変!探しに行かなくちゃ!警察!警察にも連絡を!!」
とにかく女の子はパニックだった。

44 :
私は、とりあえず女の子を落ち着かせ、女の子が意識を失うまでの記憶を話してもらった。
少し長いので簡潔にまとめると…
彼女は女友達(みずきさん)と二人で傷心旅行に行っていたらしい、そこで事故にあい、気づいたら森の中で、みずきさんを探して歩いていたが頭がくらくらして倒れたらしい…次に気付いたのはここだ。
…事故にあったあたりからは、私も健吾さんも同じ…そして同乗者は居ない…
とにかく、私も今の女の子に起こっている状況を説明した。
この世界の事など…一通り説明したら女の子が、半信半疑で怯えながら…そして少し涙を浮かべ聞いてきた。
女「…その話を信じろって言うの?誘拐じゃなく、その話が本当という証拠は?異世界?有り得ないじゃない!」
…どうしたらいいのか分からなかった…すると奥から健吾さんが現れた…
健吾「初めまして。」
女「あなた…が健吾さん!?」
私が女の子に、ここの世界を説明する話しの中に出てこない訳がないので、彼女は気付いたんだろう…しかし混乱からの察しの早さは凄いと思った…
私なら説明されていても誰!?共犯者!?ともう一度パニックになりそう。

 

45 :
健吾「そうだよ。キミはこの世界をまだ信じきれていない…というより全く信じていないよね。」
女「当然です。…異世界!あぁ…なるほど!ってなる人いますか?」
健吾「そうだね。」
少し笑いながら答えた。
健吾「慎二…この子を連れて例の場所を見せてあげてくれないか?」
例の場所とは奴らの街と森の境目、奴らが見える場所だ。
私「…はい。」
女「どこに連れていく気!?」
女の子は怯えていた。
健吾「キミ、名前は?」
女「…カスミ(以降カスミと標記)…です。」
健吾「カスミちゃんか、私は今腕をケガしていてあまり激しく動けないんだ。みずきちゃんは、慎二にキミが倒れていた辺りを聞いて私が探しに行ってみるよ。」
私「だ、大丈夫ですか?」
健吾「大丈夫だよ。薬草が効いてるみたいだ。熱も下がっているし、それに少しは運動しないと。」
私「無理しないで下さい。」
健吾「じゃあ、決まり」
といいかけたとき、カスミが言った!
カスミ「ちょっと待って!勿論、異世界かどうかの確認には行きます。けど怪我人のアナタに友達と言えど人探しを頼んだりできない。」
カスミ「だから、慎二くん?と一緒に異世界の確認をしたあと自分で探します。」
強い口調と、ハッキリとした意思表示に健吾さんも納得したのか…
健吾「わかったよ。しかし今から二人が向かう場所は本当に危険だ!必ず慎二の言うことは守るんだよ。出来るね?」
カスミ「わかりました。」
健吾さんに色々なアドバイスと注意を受け二人で出発した。

 

46 :
家を出て、二人になると私は何故か緊張していた。
女の子と二人で歩いていることにも緊張はあったが、もともと友達もいなく、人付き合いが苦手な自分なんだ…当然といえば当然だろう…無言で森の中を歩いていると不意に彼女が口を開いた。
カスミ「アナタ歳は?」
私「…多分19才です…」
カスミ「多分って…」
少し呆れた様子…だが仕方ない…正直1年も待たずに曜日間隔や、日付間隔なんてなくなる…
健吾さんと二人で、なんとなく大まかに一年か…二年か…なんて会話したぐらいできっちりした日付なんて分からないんだから。
カスミ「じゃあ…多分、年下なんだね。アナタは今から行く場所に詳しいの?」
私「詳しくは無いです。1度行ったきり近付いてないし…行けば分かりますが、二度と近づきたくなくなりますよ。」
彼女の口調や、人見知りな自分は気押されしていた。
私「とにかく、危険を察知したら健吾さんの言っていたように自分自身の事だけを考えて逃げる…それだけ守って下さい。」
彼女は、無言で私の後を歩いた…
かなり歩いた頃…
カスミ「…まだ?」
少し疲れて息切れしている…
私「もう少しです。…少し休みますか?」
私は、ここから先の事を考えて少し休息することにした。
私「この先に、アナタが見たことの無い世界、生き物が居ます…僕も最初に健吾さんに案内してもらい見た時は泣きながら逃げ出しました。…覚悟しておいてください。そして何があっても声を出さないこと!絶対に!」
カスミ「…」

 

47 :
きっと全く信じていない…そりゃそうだよね…
私「そろそろ行きましょうか…」
また二人で歩を進めた…
そして、見えてきた。あの時とあまり変わらずあの不思議な建物群…彼女の方を向き、シーっ!とジェスチャーした。
彼女の目にも建物が見えているのだろう…目を見開き同様していたが、私の合図に頷いた。
そこから身を潜め少しずつ前進した。
建物の間に奴らが見えた!
彼女は…振り替えると震えて涙を溜めていた…もう戻ろうと判断し彼女の腕を引き、元来た道を引き返した…
先程、休息した場所まできて少し座らせ落ち着かせようとした。
カスミ「…なんで?…さっきの何?」
彼女は混乱していた…
私「あれが、この世界の現実だよ…」
二人とも黙った…

しばらくの沈黙…
カスミ「…私、最初に慎二くんから話を聞いたとき悪い夢か冗談だと思った…疑ってゴメンなさい。」
私「謝ること無いですよ。僕も健吾さんの事同じように疑ってましたから…」
カスミ「ここには私たち以外の人間はいるの?」
私「知ってる限り…いない…」
カスミ「…そっか…」
私「でも、なんとか生きることは出来ているよ…カスミさんはどうする?生きたい?」
カスミ「…分からない…」
私「生きていれば見える希望だってあるよ…僕はいつか、元の世界に戻る為に生きる事を選択した…カスミさんも、元の世界に帰るために生きてよ…」
何故こんなことを言ったのか分からない…
カスミ「…うん…」
そう言って泣き出してしまった…私はあたふたすることしかできなかった…
なんとか泣き止み彼女が口を開いた…彼女自身が気をまぎらわせたかったのか何なのか…私への質問だった…
カスミ「…そっか…中学生の頃に…ご両親、無事だといいね。」
私「うん」
カスミ「…私なりに、色々考えて整理したんだけど、みずきもここには来ていないような気がする…」
私「どうして?」
カスミ「…なんとなく…」
それ以上は聞かなかった…
帰り道は二人で違う話題を話ながら帰宅した。
今の私たちが居た世界の事など…
家に着いた…
健吾「お帰り。」
彼女も私も同時に「ただいま」
と答えた。
それから、3人で晩御飯を準備して食べた。
やはり彼女の口には少し合わないみたい…私も健吾さんもソレを見て笑った。

 

59 :
翌朝、私とカスミは一応何かあるかもしれないし、カスミが倒れていた付近の散策をしようということになり二人で出掛けた。
カスミ「慎二くんって中学に行ってたときどんな感じの子だった?」
私「…暗い感じ…人と仲良くしたりとか出来ない子だった。」
カスミ「そうなんだ…全然そんな風に見えないね」
といい笑顔で言ってきた…確かに今は髪もボサボサ、髭もまばらだが生えてきて不精、服装はぼろ切れ…実年齢通りには到底見えない風貌…
まるで古代人だ…

 

60 :
私「こんな感じだけど、元は…ね。」
カスミ「健吾さんも慎二もいつも、草とか魚しか食べないの?」
私「うん…肉は…難しいから…捕るのも調理も…1度だけヘビと野ネズミ?みたいなのを捕まえて食べたけど…臭くて…」
彼女は明らかにひいている様子だった。
カスミ「…私…肉嫌いで良かった」
と苦笑いしていた。
私「…何が好きなの?」
カスミ「ん~…湯豆腐…とか?」
…少し沈黙して、二人とも爆笑…
私「豆腐かぁ…そういうの…懐かしいな…ハンバーガーとか…スナック菓子…炭酸飲料…」
少し泣きそうになった…
カスミ「…食べたいね…」
カスミも泣きそうになっている。
そうこうしてる間に、カスミが倒れていた付近に着いた、二人であちこち探してみたが、何も見つからない…
何時間探しただろう…二人とも諦めて帰ることに…
帰り道、二人とも無言だった…
カスミ「…そうだ!!」
不意の大きな声に驚き声も出なかった…
私「どど、どうしたの?急に…」
カスミ「元の世界に戻れたら皆でご飯行こうよ!色んなお店ハシゴしまくろう!」
私「…はしご?」
カスミ「ハシゴするって言わない?居酒屋行ってそのままカラオケ~…みたいな…」
私「…マッ○に行って、湯豆腐~…みたいな?」
…爆笑された。
カスミ「そうそう…」
笑いながら答えた。
私「うん!行こう!絶対!」
何か楽しかった…家に着いて健吾さんに何も見つけられなかった事を報告した。

 

61 :
翌朝…何か甘い匂いがして目を覚ました…
匂いをたどりキッチンの方へ…カスミが何やら作っている様子。
カスミ「あっ!おはよー!」
私「お、おはよ。」
そこへ健吾さんも…
健吾「おはよう。二人とも。何か良い匂いがするね。」
カスミ「外にイチゴみたいな黄色い実が生ってたから、ジャム作れないかな?って思って、一応一口舐めてみたけど舌とか痺れ無かったし毒は無いかな?って勝手に作り出しちゃいました。」
笑顔でそう言った…

 

62 :
健吾「毒の有無の調べ方なんて知ってるんだ。若いのに凄いね。その実は食べれる実だよ。」
カスミ「良かった。砂糖は無いからジャムっぽくなるか分からないけど…」
…と苦笑いしていた。
健吾「慎二。そこに採ってきたハチミツあるだろう?ソレをたしたあげれば?」
と指差した。
私「はい。」
彼女にハチミツを手渡した。
カスミ「うわぁ!有難う!ハチミツなんてあるんだ?良かった~。」
健吾「慎二と二人で悪戦苦闘しながら蜂の巣から採集したんだ。」
カスミ「凄いね~…」
と感心している様子の彼女に、悪い気はしなかった。
その様子を見て言ったのかは分からないけど、健吾さんが笑みを浮かべてこう言った。
健吾「慎二もうかうかしていられないね。彼女の方がしっかりしているようだ。」

 

63 :
私は少しムッとした…
私「この世界での生きる知識なら負けません」
我ながら子供じみた返答だと思う…
カスミ「色々教えてね。先輩。」
少し笑いながらバカにしたような返答だったが人付き合い馴れしていない私は…
私「お…おぅ!」
っと言い顔が赤くなった…
カスミ「出来た!もういいかな…」
っと言いカスミが出来上がったジャムを満足気に眺めた、私も健吾さんもソレを覗きこむ。
何とも言えない甘い匂い…キラキラ黄色く輝いて、何か神々しくもあった…大袈裟か…
カスミ「あとは冷まして…あっ!」
私も健吾もビクッとなった…
カスミ「ジャム作ったってパンが無い~…」
涙を浮かべしなだれた…
私「…大丈夫だよ!そのまま食べればいいじゃん?ね?健吾さん!」
健吾「そうだよ!それに、カスミちゃんは私たちに久しぶりに人間らしい食べ物を作ってくれたんだから!有難う!」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。

 

64 :
朝食を食べていると、話題は新居の話に。
健吾「私はまだこんなだが、新居の作業も再開しないとな…」
私「当分は僕一人でやりますよ。」
健吾「お願いできるか?」
カスミ「えっ?何何!?新居って?」
…そうか…彼女はここに来て1度も新居の話をしていなかったことに、私も健吾も気づいた…
健吾「そうなんだ。今、私と慎二の二人で新しいもう少しまっしな家を作っているところなんだ、その作業の最中、私のドジでケガをしてしまってね…」
…と苦笑いを浮かべ話す健吾さん。
カスミ「すごい!凄いね!」
彼女は目をキラキラ輝かせていた。
健吾「人も増えたし、もうひとつ部屋を作ろうか。」
私「はい。」
カスミ「えっ?…そんな…悪いですよ…」
健吾、私「気を使わない!」
同時に言った。
3人で同時に吹き出した。
カスミ「じゃあお願いします。でもでも、私にも手伝わせてくださいね。」
(この子はこちらが断っても勝手に手伝ってくるんだろうな…)と思ったが言わなかった。
健吾「そうだね…力仕事は慎二に任せて、そのサポートをお願いするよ。」
カスミ「はい!」
こうして、新居作りは再開された。

 

65 :
カスミが来て丁度1週間目の朝、私と健吾さんはもう一度、人間らしさを取り戻す…それは朝食の時…
健吾「…今日は屋根の下地を完成させるところまで出来るかい?」
私「何とか頑張ります。」
健吾「屋根の下地さえできれば、その下に雨が降っても濡れないように道具を置いておけるし、毎回ここから、あそこまで荷物を持って移動するのも大変だしね。」
カスミ「…1週間かぁ…」
私と健吾さんがカスミの方を向く…

カスミ「…あっ!1週間だ!1週間だよ!」
と嬉しそうにハシャグ。私は?だらけ…
カスミ「だから1週間なんだよ!今日は2001年10月17日!!健吾さん、慎二くん!何歳?」
私も健吾さんも、あっ!と驚いた!
なるほど…そうか…
私「え~っと、昭和57年9月生まれだから…」
カスミ「じゃあ19歳だね。」
健吾「ん~…私は…昭和24年だから52…かな…ははっ」
カスミ「これで、元の世界に一歩近づけたね。」
嬉しそうに言った。
健吾「本当にありがとう。」
私「ありがとう。」
カスミ「そんな~改めて言われると照れます。」
照れる彼女を見て、私は冗談とかではなく本当に天使のように見えた

健吾「さて、折角カスミちゃんが取り戻してくれた大切な人間らしさを忘れないために、これからは木に一日一日の印を付けていこうか。決して諦めない希望の為に…」
私、カスミ「はい!」
そうして、その日の作業をスタートさせた。

 

66 :
新居作りは、屋根の下地を作るための大作業にかかっていた。
カスミは木を切り倒した跡地(日の差す場所)を耕していた。
畑を作りたいらしい。
カスミ「…よしっ…と!これでイチイチ探し回る手間が省ける。慎二~…そっちはどう?」
私「まだまだかかりそう…」
実際半分と少し過ぎたくらいかな…少し休憩することにした。
カスミ「ゴメンね…何も手伝ってあげられなくて…」
申し訳なさそうに彼女が言った。

 

67 :
私「気にしなくていいよ。じゅうぶんに助けられてるし。」
カスミ「えっ?」
私「…いや…あの…ほらっ!畑つくりとか!健吾さんと二人じゃあそこまで手回らないし…」
カスミ「あはっ!そう?良かった!」
何だろう…不思議な気分だった…何かドギマギすると言うか…とにかく不思議な気持ち…
健吾「おーい!」
遠くから健吾さんの声がして、二人ともそちらを向くと、健吾さんの姿が!
健吾「ご苦労様!差し入れだよ!」
と魚の塩焼きを持ってきてれた。
カスミ「わーい!いただきまーす。」
私「ありがとうございます。」
健吾「何もしていないのも悪いしね。どうだい?順調かい?」
私「少し遅れ気味です。」
健吾「…どれどれ?」
健吾さんは家の中から天井を見上げた。
健吾「凄いじゃないか!?一人でこれだけのペースで仕上げるなんて…もしかしたらカスミちゃんのおかげかな?」
と少し笑って言った。
私「!!!」
カスミ「えっ?私何にも手伝ってませんよ。畑作ってただけです。」
な…なんなんだろう…なんで焦ってんだ?と混乱していた。
健吾「畑かぁ…良いね!カスミちゃんは凄いね!ジャムの時と言い本当に驚かされるよ。」
カスミ「実は私、田舎でお婆ちゃんに育てられたんです。…そんじょそこらの都会ッ子とは出来が違うんです。」
と笑いながら答えた。
健吾「なるほど…道理で。お婆ちゃんは素晴らしい人なんだね。」
カスミ「はい!」
嬉しそうに答えた。

 

70 :
残念ながらその日のうちに屋根は完成しなかった…健吾さんに茶化されて同様していたのか、それとも何か別の理由か…考えても答えは出なかったが、その後の作業はグタグダ…
とりあえず、道具を保管しておいても雨には濡れないだけの面積出来たし良しとした。
健吾「今日は二人ともお疲れさま。ゆっくり休んでくれ。慎二…少し良いかい?」
私「?はい…」
健吾「カスミちゃん!すまないが、慎二と少し新居の打ち合わせしてくるよ、あと見回りと。先に眠っていてくれてかまわないから。」
カスミ「はーい!気をつけて下さいね!」
そう言って、二人で家を出た。

 

71 :
…無言で薄暗い森の中松明のかがり火で足元を照らし新居の方へ歩いて行った。
健吾「慎二…あの子は良い子だ…」
私「…はい…」
健吾「お前はここに来て、私以外の人間を知らずに暮らしてきた…」
私は黙って聞いている。
健吾「あの子と居て、何か感じないかい?」
私「…」
健吾「キミは人付き合いが苦手で…と話していたので恋愛とかもしてこなかったんじゃないかい?」
私「…はあ…」
健吾「やっぱりか…キミは気付いていないみたいだけど、あの子を見るキミの目は妻を見ていた私に似ているような気がするよ…」
優しく微笑み言った。
健吾「思い当たる伏しもあるんじゃ無いのかい?」
確かにドキドキするし、何か言い表せない苦しくなるような、それでいて暖かくなるような…
健吾「それが恋だよ…」

 

72 :
(恋?これが?こんなに言い表せないようなモドカシイ気持ちなの?…)少し考え込んでいた。
健吾「あの子は良い子だ!どうするかは、自分自身が決めることだが、あの子を守ってあげるんだよ。」
私「…はい…」
健吾「さて、そろそろ帰ろうか!きっと寝ずに待っているだろうし…」
少し笑いながら言った。
帰り道も私はずっと考え込んでいた。家に付いたら…
カスミ「お帰りなさい!」
建機なお出迎えに、私も健吾さんも見合わせて笑ってしまった。
カスミ「えっ?何何?どうしたの?」
私、健吾「何にもないよ。」
少しふてくされてプンプンしている彼女を尻目に、健吾さんと二人で寝床に着いた。
カスミ「もう!知らない!」
健吾、私「おやすみ~!」
カスミ「ふん!」
3人とも、正確には私以外の二人はすぐに眠っただろう…私は考え込んで中々眠れなかった…

 

73 :
翌朝、寝不足の目を擦りながら隣の部屋に向かう。
カスミ「おはよ。」
一瞬ドキッとして、変な間が空いてしまったが動揺を隠しながら、私も返事をした。
カスミ「どうしたの?」
私「な、何でもないよ…」
カスミ「また?…まったく…」
少しふくれて朝食の用意をし出した。
私は、顔を洗いに外にでて川の横に腰掛けた。
健吾「おはよう。」
私「!!あっ…健吾さん…おはようございます。」
健吾「物思いに更けている様子だったけどどうしたんだい?」
私「昨日、健吾さんの話を聞いてから、こんなんなっちゃったんですよ!」

 

74 :
健吾さんは少し笑った。
健吾「それは、すまない。寝不足にしてしまったね。」
まだ笑っていた…私は少し怒っていた。
健吾「しかし、寝不足で新居建築の作業は不味いだろ、今日は休むか?」
私「大丈夫です。若いですから。」
仕返しのつもりで言ったのだが…
健吾「しかし、無理をしてケガをしたら、それこそマイナスは大きくなるよ?だから、ね!」
私「…はい。」
二人とも顔を洗いに家に戻った。
カスミ「朝御飯出来ましたよ。」
私、健吾さん「ありがとう。いただきまーす。」
カスミ「ん~…しかしココってレシピ少ないですよね…何か考えないと…」
確かに、魚…野草…塩焼き…スープ…無限ループ…
健吾「そうだね…そうだ!今日は工事を休んで、皆でレシピを増やすために森を散策しないか?」
カスミ「うん!いい!!さんせ~い!!」
健吾「慎二もいいね?」
私「はい。」
そうして、朝食を済ませて皆で家を出た。

 

75 :
健吾「さて、塩は海から取れる、糖分はハチミツから…少し大変だが…魚は川で…」
ブツブツと考えている感じ…
カスミ「…あの~…」
健吾「ん?どうしたんだい?」
カスミ「油とか無理ですかね?植物から採れたりしないですか?」
健吾「油かぁ…確かに有れば便利だし広がりそうだね。慎二は食べたいモノとかあるかい?」
私「…そうですね…」
考えていると…
健吾「ココで可能な範囲で考えてくれよ?」
少し笑いながら言った。
私「分かってますよ。…そうだなぁ…肉…美味しいヤツ…」
健吾「肉かぁ…前は失敗だったもんなぁ…臭みを消す香草か何かと一緒焼いてみるか…」
私「探しましょう!」

 

76 :
ここで少し不安を抱いている者が口を開いたら…彼女だ。
カスミ「あの~…生きてる動物を調理するのは…」
健吾「私と慎二でバラすよ…スーパーに並んでるのと同じようなモノになれば触れるかな?」
カスミ「…創造しちゃうけど…頑張ります。」
健吾「よしっ!とりあえず肉は香草が見付かってから、ということで目的は決まったね。」
油、香草、あと薬味になりそうな野草、ハチミツ(これは採取ではなく目星を付けておく)…などなど!!
健吾「さて行こうか!」
森の中を丘の方に向かい3人で歩き出した…

 

85 :
歩き出して直ぐに、カスミが何かを見つけた。
カスミ「あっ!あれって…」
指を指す方を見た…
私「何?」
健吾「あれは…あの葉っぱの形…自然薯?」
私「ジネンジョ?」
カスミ「やっぱり、そうですよね?お婆ちゃんと昔採りに行ったことあるから…でも…」
健吾「…うん…大きいね…蔦の太さや長さ…葉の大きさ…やっぱり色々な植物が違う進化をとげているんだろう…」
私にはさっぱりで、少しイライラした…その様子を悟ったのか健吾さんが教えてくれた。
健吾「自然薯ってのはね…分かりやすく言うと…長芋や山芋なんて呼んだりするよね。トロロとか食べたことない?」
私「…あっ!あります!アレが?」
健吾「うん…多分ね…とりあえず掘ってみよう…」
3人で近付き、蔦をたぐり根元へ…
健吾「ココみたいだね。…とりあえず、マーキングして別の日に掘りに来よう。」
私「えっ?今掘らないんですか?」
カスミ「慎二くん…自然薯を掘るのはかなり時間が必要だし、根気のいる重労働なの、だから今日は場所の確認だけにした方が良さそう。」
私「なるほど…」
…イライラもどこかに行き、私は中学で止まっていた色々な知識を二人から吸収するのに必死だった。
更に、何時間も歩き回り今まで健吾さんと二人では妥協して探すことすらしなかった食材を手にした。
沢のある場所では天然のわさびまで手にいれたし、生姜や香草なども手に入った。
カスミは、畑に植えて育てられそうな萎えや種も集めていた。
帰り道、健吾さんが私たちに話をしてくれた。

 

86 :
健吾「人はね、一人だと出来なかったり、出来るけど諦めてしまうことが沢山ある」
「例えば、慎二が来るまでは海に行けば塩は手に入るけど海までの距離を考えると…めんどうだからと辞めてしまう。」
「家も、雨風がしのげるし…と諦めてしまう。」
「慎二は、前に私は慎二にとって沢山の役目を担った人間だと言ってくれたよね?」
私「はい…」

 

87 :
健吾「でもね、それは私にとっても同じだよ。慎二が来てから会話を楽しむ相手が出来て、生きる楽しみが増えたんだから。」
「慎二が居なかったら、塩を諦めて栄養面や運動能力的にも衰退していたし…」
健吾「本当に感謝しています。有難う。」
私「そんな…僕は…」
言い切らせまいと健吾さんは続けた。
健吾「それから、カスミちゃん。キミは私と慎二に更に人間らしさを与えてくれた。」
カスミ「えっ?私が?」
健吾「前にも言ったけど、ただ生きるためだけに食事をしていた二人の生活に、食の楽しさを…そして、今生きている今日を思い出させてくれた。」
カスミ「えっ?あ…あの…たまたまで…その…」
健吾「でも人にとっては日付は大切だよ。自分がいつ生まれ、いついつにこんな思いでが出来て…私はね歴史学者だ…キミが来るまでその根本を蔑ろにしてしまっていた…」
「だから、キミのおかげなんだよ。有難う。家造りにしたって、そうだよ?キミが来てから私がケガで動けないにもかかわらず、捗っている。」
健吾さんが、少し笑みを浮かべ私の方を見る。
「すべてキミが居るからだよ。二人とも…本当に有難う!」

 

88 :
私は人からこんなに心のこもった感謝をされたことがなく、少し照れた…カスミもきっとそうだったんじゃないだろうか…
それから数時間かけ3人ともクタクタになりようやく帰宅…
疲れた…3人とも軽くおやすみと一言だけ交わし倒れ混むように眠りに着いた…

 

89 :
詳しい人ならわかるかもしれないけど、私たちの行動範囲はせいぜい半径十数キロ程度の範囲だと思う。
正確に測ったわけでは無いし、思い込みで広げているかもしれない。
舗装されていない山道、急斜面も有れば草木で歩きづらい場所もある。
仮に丸一日歩き続けたとしても、大した距離は無いだろう…
しかも、野草などを探しながらだからなおのこと…それでもクタクタになり、体の節々が痛くなる…

 

90 :
翌朝、重い体をお越し川の方へ…
カスミ「あっ!おはよ。」
またも私はドキッとしてしまった。
私「おはよ。」
カスミ「体痛いよ~…足とか筋肉痛で大変…」
少し泣きそうになりながら彼女は川の水で足を冷やしながらマッサージしている。
私「若いのに情けないなぁ」
と笑いながら言った。内心、私も筋肉痛で…というのは悟られないようにした。
カスミ「慎二も健吾さんも、よく裸足で耐えられるね?」
私「来たときに履いてた靴は直ぐにダメになっちゃったから…」
カスミ「…そっかぁ…よしっ!私も裸足で頑張ってみよ!」
そう言って、彼女は靴を手に持ち家まで歩こうとした。川の近くで草木は少ないものの…砂利だらけ…創造通りの反応だった。
カスミ「…っ…たぁーい!…っつ!!」
私「あんまり無理しない方がいいよ。おさきー。」
…と笑いながら家に向かう。
カスミ「何よー!薄情モノ!ダッコして連れてけー!」
…と罵声が聞こえたが無視して家に入った。
健吾「おはよう。朝から楽しそうだね。」
家に入ると健吾さんが起きてきていた。
私「おはようございます。」
健吾「今日は作業に当たり少しだけ会議をしよう。」

 

91 :
私が返事をする前に、後ろからカスミが戻ってきた。
カスミ「もう!本当にほっていくなんて!…あっ!…おはようございます。」
少し照れながら、目の前の健吾さんに挨拶した。
健吾「はははっ…おはよう!今日も元気だね。慎二にも話したが朝食の時に今後の会議をしようか?」
カスミ「はーい!」
それから3人で朝食の用意をして話し出した。
健吾「作業工程は変わらずこのまま進めよう。でも、折角カスミちゃんが与えてくれた日付を有用に使うために、また作業にメリハリを付けるために作業の日、休みの日、食料調達の日ときちんと区切ろうと思うんだ。どうかな?」
カスミ「賛成!」
私も頷いた。
健吾「よしっ!決まりだね。あとは割り振り…いつを作業日にして何日づつ割り当てるから…」
カスミ「やっぱり一週間は一週間で区切りたいですよね…私たちはずっとそうしてきたんだし…」
私「…じゃあ、今日からスタートで七日間、四日間を作業日にして、二日間を食料調達、あと一日を休みの日…ってのはどうかな?」
健吾「休み一日で大丈夫?」
少し笑いながら言った。
カスミ「慎二…本当に真面目だなぁ…私なら三日間くらい休みにしちゃう…あはは、冗談。意義なーし!」
健吾「よしっ!じゃあ決まりだね。」
私は自分の意見が通った悦びを感じていた。

 

92 :
日付を決めてからの数日…作業にメリハリがあると、こんなにも違うのか?と驚くほど作業は捗った。
屋根も完成し、壁も出来上がり、内装に取りかかっていた。
彼女の部屋は、私の部屋を二分して作ったので、木材などの切り直しもなかった…元々、贅沢なほどの広さを取っていたので、二分しても全然問題なかった。
床もほぼ完成した日の夜、食事時に健吾さんが話し出した。
健吾「慎二もカスミちゃんもかなり頑張ってくれているね。有難う…そろそろ私も腕のリハビリのために手伝おうと思うんだ。」
私「えっ?でも…」
と言いかけて健吾さんの方を見ると、健吾さんは笑顔で折れた方の腕を少し上げて見せた。
私「動かせるようになったんですか!?」
健吾「ああ!多少痛むが、ちゃんと繋がったみたいだ。」
私が感極まっていると…
カスミ「良かったね慎二!!」
その横で彼女も涙ぐんで喜んでいた。
健吾「本当に有難う!慎二!キミのおかげだよ!二人とも、迷惑かけたね。」
私もカスミも言葉が出なかった…

 

93 :
健吾「そこでリハビリなんだが…塩を取ってこようと思う。」
私、カスミ「えっ?」
いくら動くようになったからといっても、海までは距離もあるし平坦な道では無い…それに森から出る海辺には、いつ奴等が現れるかも分からない…危険すぎる…
私「一人じゃ危ないですよ!僕も着いていきます!」
健吾「二人で行くとカスミちゃんはどうする?それに3人で行くには危険な場所だ、人数は少ない方がいい…」
「慎二…キミは作業を続けカスミちゃんを守るんだ…それに私は一番ココを知り、奴等を知り、冷静に安全に動ける。」
「な~に、心配いらないケガをしていても四日五日で帰宅できる。それまで二人で頑張って作業を続けていてくれないか?」
私が黙っていると…
カスミ「わかりました!その代わり無茶はしないで下さい。無理だと思ったら帰ってきてください。」
健吾「わかっているよ。じゃあ明日の早朝に出発するよ。」
私「わかりました。必ず無事に帰ってきてください!」
…そうして3人とも眠りに着いた。
翌朝…目が覚めると健吾さんはもう居なかった…

 

94 :
隣に行くとカスミが起きて朝御飯の用意をしていた。
カスミ「おはよ。」
私「おはよう。健吾さんはもう行ったの?」
カスミ「うん…作業もあるから慎二は起こさないで行くって…」
彼女の顔が少し赤いような気がした…
私「どうしたの?熱?」
カスミ「違うよ!健吾さんが出掛ける前に変なこと言うから…」
私「変なこと???」
カスミ「いいから…ご飯たべよ!」
全くわけが分からなかった…
カスミ「ご飯食べたら、直ぐに出発する?」
私「そうだね。二人だし…!?」
そうか!!二人きりなんだ…健吾さん…まさか…!?
彼女が言われた変なことって、これに関係したことか?
…更にパニックに…
カスミ「どうしたの?」
私「何でもないよ、さっさと食べて作業しちゃおう!健吾さんが戻って来るまでに完成させて驚かせよう!」
カスミ「うん!そだね!」
とにかく冷静に…なれるかな?…自信無いけど頑張ろう!
そうして、ご飯を済ませて新居へ向かった。

 

95 :
変に意識しないようにしようとすればするほど、意識してしまう…
カスミもそうなんだろうか…変にはしゃいだり、急に黙ったり…いつもと違うようにも感じる。
(何も話さないのも変だよな…でも何を話せば?)…と考えていると、彼女から話しかけてきた。
カスミ「健吾さんが行った場所ってどんなとこ?」
私「ん~…そうだね行ったこと無いもんね…海があって、その近くに洞窟?見たいな所があるんだ、海岸は森がきれているから奴等が来る…」
「奴等の街からも海に面していて、どうやら奴等も魚なんかを捕っているらしい…いつも僕たちは奴等が来なくなる夜まで、その洞窟で隠れるんだ。」
「夜になったら海水を汲み洞窟の中で、その海水をひたすら火にかけて塩を取る…それを繰り返す。洞窟には健吾さんが用意している鍋のような容器が沢山あって、すべてを活用しても、一日そこらじゃ大した量取れないけどね。」

 

96 :
カスミ「塩って大変なんだね~…」
私「カスミが来る前に、健吾さんと行った時は一月近く洞窟にこもったよ…僕も健吾さんも、少しめんどさがりな所があるから…持てるだけ取って帰ろうってことになってね。」
カスミ「そっかぁ…私も海見たいなぁ…」
私「家が完成したら、連れてってあげるよ!」
カスミ「でも危ないんでしょ?」
私「大丈夫!守るから!」
(ん?何言ってんだ?)言った後にパニックに…
カスミ「じゃあ安心だね。お願いします。」
顔を赤らめて彼女が微笑んだ…
私「う…うん!」
新居に到着してお互い作業にとりかかった。
私は壁や床の完成に…彼女は畑作業に…
カスミ「慎二~!!」
彼女の大きな声に驚き、慌てて外に出ると、そこには彼女が笑顔で右手に何か持ってる…(なんだアレ?)
カスミ「これ見て!」
彼女の手には小さな刃物?のようなモノが…
私「ソレ…何?」
カスミ「凄く切れる刃物…?アハッ…」
私「どこにあったの?」
カスミ「何かあそこの木の下に光ってるモノが見えて、近づいたらコレが落ちてたの。」
私「そっか…」
カスミ「ねぇねぇ!慎二!!」
うっすら笑み…少し恐い…

 

97 :
私「な…何?」
カスミ「髪…切ってあげようか…」
私「えっ…あ…いや…あの…」
カスミ「いいから!任せといて!」
逃げようとして後ずさりしたが…転んでしまい捕まった…
(目がランランだ…ダメだ…)抵抗しても無意味と諦めた…
カスミ「よしよし…いい子だからじっとしててね!」
動くはずがない…
カスミはその片刃の刃物を器用に使い、私の髪のまずは傷んだ部分…約10センチから15センチを切り取った…
カスミ「うん!けれだけでもスッキリした感出るね。」
尚もルンルン…
私「カスミって元の世界で学生だったんだよね?床屋さんか何かでバイトしてたの?」
カスミ「床屋さんって…あははっ…面白いね。」
私「そう?床屋さんって言わない?」
カスミ「言わなくも無いけど、今は美容室の方が普通じゃない?」
尚も笑って続ける。
「私はね…学生って言っても美容専門学生だったんだ…小さいときから、おばあちゃんに育てられて、よくおばあちゃんの髪の毛のお手入れしてあげてたら、美容師の道に進んでたの…」

 

98 :
「…ここに来る前に一緒にいたミズキも同じ学校だったんだ…ミズキは私よりセンスあって可愛くて、美容師の男性と付き合ってたんだけど、相手の浮気で別れちゃって…そこからは最初に話した通り、焦心旅行にでて事故にあい…ここにきた。」
私「…そっか…」
目の前を落ちる自分の髪を見ながら黙った…
カスミ「よしっ!と…出来た!!かんせ~い!こっち見てこっち見て!」
ハシャグ彼女の方を見た…
カスミ「…」
赤らめて少し笑顔…(ん?なんだ?まさか失敗か?)と考えていると…
カスミ「いい!!いいよ!全然こっちのがいい!!」
ふと、ハッ!として彼女が黙る。
カスミ「まあ、美容師の腕が良かったんだよ!ウンウン…」
私「そっか…有難う!はははっ」
二人で笑った。確かにずいぶん軽いし、少しスースーして気持ちがいい!!
残念ながら川に写る自分を見ても、何とも分かりづらい…
まぁ彼女が良いと言うんだし、まぁいっかと考えた。
しかし、この刃物みたいなの…どこから?…誰がここに置いたんだろ…
色々疑問も残ったが考えても仕方ないので、作業もそこそこに二人で家に向かった。

 

101 :
家に帰ると、彼女が川に水浴びに出た。
いつもこうなんだが…いつもは健吾さんもいて気にならなかった…
しかし、何もない家の中で一人だと、家の外が気になってしまう…(何考えてんだろ…ばかばかしい…)
一人で馬鹿な葛藤を続けていると…
カスミ「おさきー。慎二も水浴びしてきたら?髪切ったし汗かいたしチクチクするでしょ?」
私「う、うん!」
カスミ「ご飯用意しとくね!」
笑顔で送り出された。

 

102 :
僕は頭を冷やす意味も込め川に前のめりに一気に倒れ込んだ…バシャーン!!
濡れた水の音…川のせせらぎ…虫の鳴き声…自分の鼓動…それぞれが頭の中を駆けめぐる…
私「ふぅ~…よしっ!」
っと言い、川から上がり布で体をこすり、もう一度…今度はゆっくり川に浸かった…
家に戻ると、彼女がご飯の用意をしていた。

 

103 :
カスミ「もうちょっとで出来上がるからね!」
私「うん…」
そうして、ご飯が出来上がり二人でソレを食べて眠りに着いた。
翌日…今日は新居において重大な部分を作る…台所だ…と言っても火をおこすための場所?
木でできている家にダメージを与えないように作らなければならない…

 

104 :
まず床板の無い部分、そのために開けておいたスペースに石を敷き詰め、その外周に形の良い石を積み上げていった…
平べったい石と石の間に山で集めた泥を挟み、上手く空洞を作って天井部分はごみ捨て場で拾ってきたコの字形の鉄?の板をへこんだ部分が手前に来るように被せた。
石窯の中で燃やした火がコの字形のへこんだ部分から出る仕組み、空気の通り道として開けてある後ろの穴には、家の壁にも穴を残しておきそこから、またごみ捨て場で拾ってきた鉄の筒を差し込んで外に直結させた。

 

105 :
私「…よしっ!完成!!」
カスミ「すごーい!完璧じゃん!」
ハシャグ彼女を見て、達成感が倍増した!!
しかし、これだけで一日が終わり、彼女と帰宅。
カスミ「明日には、完成しそうだね!」
私「うん!…長かった~…やっとだぁ…」
カスミ「ねぇねぇ!明日、完成したら、先に新居にお泊まりしてみない?」
私「いいね!明日は新居で寝よう!」
その夜、かなりドキドキワクワクしてなかなか寝付けなかった。

 

106 :
翌朝、目を覚ますとビックリ!!
彼女がすぐ近く、真横で座っていた。私は声にならない声で驚いた…
カスミ「おはよー!ウキウキしてあんまり眠れなかった…アハッ!」
私「でも、何も真横で待たなくても…ビックリして心臓止まるかと思ったよ…」
カスミ「ごめんごめん!起こしたらまずいかな…でも早く起きてほしいな…とか色々葛藤してて…ごめんね…アハッ」
内心少し幸せな気分になったりしたが言わないでおいた。
カスミ「もう、ご飯出来てるよ!たべよ?」
私「うん…先に顔洗ってくる。」
そう言って外に出た。

 

107 :
(やっぱり、俺…彼女の事好きなんだろうな…)色々考えながら顔を洗い家に入った。
カスミ「今日は何作るんだっけ?」
私「テーブルやベッド、椅子何かの家具類だね。外で木を切って、家の中に運んでから組み立てる。」
カスミ「じゃあ、私は木屑とかのお掃除しながら、応援しとくね。」
笑顔で言ってきた。
私「うん。取り敢えず行きに持てるだけの荷物を持って行こうか。」
カスミ「うん!」
そうして、荷物をまとめ出発した。
荷物と言っても布団と鍋だけだし、布団と言っても布切れだ、ベッドが完成したらその上に草をひきそれに被せるだけ…

 

108 :
男女二人で、しかも持って移動てきるほど少量の荷物で引っ越しが完了してしまうのだから…モノが無いのもたまには便利だと感じた。
新居に到着して、荷物を中に入れ隅の方へ置いたら、さっそく作業開始!
私は、取り敢えずベッドから作り出した。
かなり慣れたノコ使いで案外すんなり完成!
昼過ぎにはベッドが2つ出来上がり、あと1つとテーブルと椅子だけに…
最後のベッドが完成して、ふと後ろを見ると彼女が立っていた。
カスミ「ご苦労様~!慎二はほんとに凄いね!」
私「いやいや…それほどでも…」
カスミ「私の一個下とは思えないよ!ウンウン!頼りがいもあるし立派立派!!」
照れ笑いしてうつむく…

 

109 :
私「さて、そろそろテーブルと椅子も作ろうかな!」
立ち上がり二人で外に出た。
カスミ「私ベッドに必要な草集めしてくるね!」
私「お願いします。」
カスミ「はーい!」
まぁ、3人分のベッドに必要な枯れ草なんて一人じゃ集めきれないと予測していたし、早々に机と椅子を完成させた。
この頃には日も沈みかけ森の中は薄暗くなっていた。そこにカスミが戻ってきた…

カスミ「…ごめんね…」
少し泣きそうな表情の彼女に問いかける。
私「どうしたの?」
カスミ「枯れ草これだげしか集まらなかった…」
見ると、一人分…に少し足りないくらい…
私「大丈夫だよ、あと少しだけ二人で探そう。一人分あればベッド1つ完成なんだし、僕は床でも寝れるから!」
カスミ「えっ!?悪いよ!慎二は、ずっと一人で作業してくれてたんだし、集められなかったのは私だし…私が床で寝るよ!」
私「一人で作業なんてしてないよ!カスミも掃除とか色々頑張ってくれてただろ?」
カスミ「そうだけど…」
私「だから!…ね?決まり!」
反論させずに言い切り、二人であと少し草を探した。

 

110 :
集まった草をベッドに敷き詰め、布を被せた!
カスミ「すごーい!ベッドだ!…でもほんとに私が寝ちゃって良いの?」
私「いいの!!さっ!ご飯食べよ?」
昼の間にカスミが、石窯を使えるか確認してくれていたので、多少の調整は必要だったが使えた。
鉄の蓋部分の間から上がる火で魚を焼き二人で食べた。
カスミ「今日、屋根の上に登ってみない?こっちに来てあんまり空とか見なくなったし…ね?」
私「そうだね…いいよ!」
二人で後片付けをして屋根を作るときに使った梯子を立て掛け二人で屋根に上った。
屋根の上には下地の板の上に敷き詰めた葉っぱがあり滑りやすくなっている。
私「足元注意してね。」
カスミ「大丈夫大丈夫!…!?」
私「あぶなっ!!…」
ドサっ…
間一髪は私が彼女の手を引き二人で屋根の上で倒れ込んだ…
私が下でその上に彼女が重なっていた…何かテレビで見たことあるようなベタな光景…
ほんの一瞬だったけど、凄く長く感じた…
カスミ「ごご…ごめんっ!」
私「う、うん…」
すぐ横に転がりどいて、そのまま並んで横になった…長い沈黙を破り口を開いたのは彼女の方からだった…

 

111 :
カスミ「凄く…綺麗…」
私も同じように空を見ていた…
私「うん…」
カスミ「何かこうしてると、違う世界に居るなんて信じられないね…」
私「そうだね…こんな風にのんびり空を見上げたことなんて無かったな…」
カスミ「私は昔、おばあちゃんと二人で良く星を見ながら話したな…」
私「どんな話?」
カスミ「ん~…おばあちゃんが若かった頃の話とか…アハッ…おばあちゃんの恋の話とか…」
そう言って…遠くの星を眺めていた…
カスミ「明日には健吾さん帰って来るかな?」
私「ん~…そうだね…明日か明後日には帰って来ると思うよ。」
カスミ「無事に帰って来てほしいね…」
私「うん…大丈夫だよ…きっと…」
私もカスミもそれ以上は話さなかった…少ししてから、冷えるといけないので家に入った。
カスミ「やっぱり、私がベッド占領しちゃうのは…」
私「良いんだって!」
カスミ「一緒に…寝る?」
数秒の間を置き…と言うより彼女の言った言葉が理解できなった…しかし慌てて断った。
私「いいよ!大丈夫だから気にしないでベッド使って!」
かなり動揺している…
カスミ「…そか…おやすみ。」
私「おやすみ…」
なかなか寝付けなかった…

中学3年まで、友達もつくらず、親以外の人とあまりに話したことも無い私でも、男女のソレは知っていた。
もちろん私には別世界の話だったが…(この状況って…何なんだ?…好きな女の子が同じ屋根の下にいて、一瞬だが、一緒に寝る?と言われ…)胸の奥が込み上げるように熱く、苦しかった…
私はベッドの下に直接布を敷いて横になっていたのだが、居たたまれなくなり隣の部屋に移動しようとした。

 

112 :
カスミ「待って!もう少し一緒にいてほしい…だめ…かな?」
私「いいよ。…」
眠っていたと思ったので慌てた…
カスミ「実はね、ミズキだけじゃないんだ…」
私「えっ?」
カスミ「焦心…」
私「カスミもフラレたの?」
カスミ「私はもっとダメダメ…フラレた所か付き合う事すら無く撃沈…」
私「そう…なんだ…」
カスミ「昔から、好きになる人はいつも遠い存在…まともに彼氏らしい人なんていなかった…」
以外だった…私には今どき…の今どきが分からなかったが、それでもカスミは十分にキレイで魅力的な女性だったから…
私「でも、良いじゃん!友達もいて、僕よりは青春出来てるよ。アハッ」
彼女の笑い方を真似しておどけてみた…
カスミ「そうだよね…慎二は中学3年からこっちだもんね…好きな人…いる?」
彼女の突然の質問に、私は混乱した…(いつの話?今、好きな人がいるのかを聞いているのか?それとももとの世界に好きな人はいた?と聞いているのか…)
カスミ「両方だよ…」
(な…何?なんの両方?心を読めるの?)パニックで更に混乱して黙ってしまった…
カスミ「私は…いるよ…」
なんだかスーっと引き込まれる感じがした、気付いたら答えていた…
私「僕も…好きな人がいる…今…」
もうきっと口から心臓が出てたんじゃ無いかと思うほど、苦しかった…
カスミ「そっか…そっか…良かった!おやすみなさい!」
何が!?何が良かったの?もう…完全にショートした…
私「おやすみ…なさい。」
何が何かサッパリ分からなかったが、眠りに着いた…

 

114 :
翌朝…二人ともほぼ同時に目覚めた。
カスミ「おはよ。」
私「おはよ。」
なんだか二人ともまごまごしていた。
朝食を済ませて、二人で残りの作業を一緒にこなした。
どうしても集めきれなかった1つ分のベッドの草は、前の家から取ってくることにした。
ついでに衣類何かも移動させた。
更に私はもう1つカスミが見つけたものと同じ片刃の刃物を見つけたので、ソレでモリを作ってみた。
カスミは、荷物や今ある食材の整理整頓をしていた。
それから、二人で魚を取る為の仕掛けをしたり…何かのんびりとした一日を楽しく過ごした。
夜、また二人で星を見ながら話した。
カスミ「いつか元の世界に帰れるかな?…」
私「帰れるよ!」
カスミ「一緒に?」
私「うん」
カスミ「…でも、もし帰れて別々の場所に飛ばされちゃったら?」
私「それでも必ず見つける…ハシゴしないといけないしね…アハッ」
カスミ「そうだね…アハッ!」
二人で笑って話した。…昨日よりも彼女の手の温もりを感じながら…

 

115 :
カスミ「そろそろ寝よっか?」
私「うん」
今日は互いに自分たちのベッドで眠った。
翌朝、二人で前の家に向かった…健吾さんがいつ帰って来るか分からないし居ないと心配になるかもしれないので…
カスミは家の中…私はモリを投げて木に刺して狩の練習をして過ごした。
あっと言う間に時間は過ぎた…夜ご飯は前の家で食べることにした。
カスミ「健吾さん…遅いね…」
私「…大丈夫だよ!」
それは自分に言い聞かせているようでもあった…
カスミ「…でも、怪我してるし…」
私「…そうだね…よし!明日の朝になっても戻らなかったら迎えに行こうか!」
カスミ「うん!」
そう言って、念のために残しておいた布を敷き詰め二人で並んで眠った。

 

116 :
朝になり…やっぱり健吾さんは戻っていなかった…最悪の状況も考え入念に用意して、家を出発することに…
カスミ「大丈夫…だよね?」
私「大丈夫だって!さぁ行こう!」
カスミは不安そうにしていたが、私の手を握り着いてきた…
私「何かあっても、いつも通りに行動するんだよ?自分自身を最優先!絶対に守ってみせるから!」
カスミ「…うん…」
森の中を二人で足早に突き進む。
新居を通り過ぎ更に進んだ所で、ふと彼女が口を開いた。
カスミ「ねぇ!」
私「ん?」
カスミ「海の方に行くなら、新居も通るんだよね?」
私「まぁ、前の家より更に川を下るわけだから…現に今通り過ぎてきたし…あっ!」
カスミ「気づいた?」
そう…昨日、前の家に泊まる必要性は全く無かった…
カスミ「もう!しっかりしてよ!」
…と笑いながら怒られた。
カスミ「2日も歩くんだよね?」
私「…ん~…とは言っても、今はそんなに歩かないかな…」
カスミ「今は?」

 

117 :
私「僕が来た頃は、健吾さんがただ川を下流に下って行っただけだから、遠回りで海に出てたんだ。」
彼女は黙って頷く。
私「カスミが来る前に、洞窟に長期滞在した話をしたよね?その時、一月近く洞窟にいたせいか、その洞窟の近辺が気になって調べたんだ…」
「そしたら洞窟の脇から直接森の中に抜けてくる道を見つけたんだ。」
カスミ「抜け道?」
私「まぁかなり急だけどね…この川は、かなり大きく緩やかに蛇行していて、海までの距離をかなり遠回りで下っている。もちろん緩やかで近道よりは歩きやすいけど、半日以上時間を短縮出来る。」
「後ろを見てごらん?直線で歩いてきているつもりなのに、川が真後ろにあるのが木の間から見えるでしょ?」
カスミ「わぁ!ホントだ!全然気付かなかった…」

 

118 :
私「順調に行けば夜には近道の入口に着く、暗闇の中降りるのは危険だから朝を待って降りる…明日の昼過ぎには着ける…はず」
カスミ「そっか」
こうして、また速度を早め進んだ。
森の中の夜は早い…持ってきた松明に灯をともして少しの休憩ののち立ち上がり、また歩き出した。
森の奥で何かが揺らめいている…
松明?…人影?…間違いなく健吾さんだった。
私、カスミ「健吾さん!」
走りよった!フラフラと歩いてかなり疲れきっている様子…
健吾「どうしたんだい?二人して!」
二人とも泣き出しそうになりながら言った…
私「だって…約束の日に帰って来ないから…」
カスミ「…私たち我慢出来なくて…不安で…」
健吾「そうか…それはすまなかった…」
疲れている健吾さんを見て荷物を受け取ろうとして驚いた!
私「コレ!?」
カスミ「綺麗!水晶みたい!!」
健吾「驚いたかい?私も驚いたよ…コレは塩の結晶だ…十キロくらいあるんじゃないかな?」
私「コレ…塩?」
カスミ「すごーい!」
松明に照らされ本当にキラキラ輝く綺麗な塩の塊を見て私もカスミもおおはしゃぎした…

 

119 :
健吾「更に…コレも見つけた!」
風呂敷の中に緑色の実のようなものが…
健吾「コレはオリーブの一種だと思うよ、葉の形状や実の特長的にも!コレで油も確保できたね!」
二人とも絶句していた…怪我してるのに凄い…凄すぎるよ…
カスミ「この実って栽培出来ますか?」
健吾「多分大丈夫だよ!因みにオリーブの実は水分が多くて保存にてきさない…基本的には摘み取ってすぐに精製してオイルを抽出するんだ。」
「だから、この実が実際にオイルとなって活躍してくれるまではまだ時間がかかるね。カスミちゃん頑張って栽培してね!」
カスミ「はい!」
健吾さんの荷物を受け取り、三人で一緒に居なかった間にあった出来事を話ながら帰宅した…私とカスミの距離感に関しては話さなかった…けど気付いていたみたいでした。
次の日の昼過ぎには家に着いた…
帰宅したのは、もちろん新居のほう!
健吾さんは本当に喜んでくれた…
健吾「凄い…凄いよ!中に入っても?」
私、カスミ「どーぞー!!」
健吾さんがゆっくりと中に入った…
健吾「すばらしい…本当に二人とも凄い!コレからはここが、私たちの家だ…」
健吾さんは少し涙ぐんでいる…私もカスミも同じように涙ぐんでいた…
私もカスミも大きく頷いて、三人で家に入った。

 

123 :
その日の夜は話が尽きなかった…
帰宅するまでの話だけでは、お互い話尽くせ無いほど長い間、離れていた…ような気がした。
私「…カスミと二人で刃物を見つけて、ソレでモリを作ったんです…」
健吾「…そうか!肉の日は近いな!」

健吾「…海岸を奴等の街と反対に進んだ所にキラキラ輝く砂浜があったんだ…そこは砂浜じゃなく一面塩だらけ…今までの苦労を考えて、恥ずかしながら涙が出たよ…でも、同時に嬉しくなった…」
「早々に塩が見付かり余裕が出来た私はその周辺の散策をした…」
「そしたら、オリーブを見つけた…他にもバナナの木もあった…残念ながら実は成っていなかったけど、時期を見て見に行ってみよう…」
「そのあたりから研究者としての自分が勝ってしまい、ついつい夢中になってしまったんだ…」
「ふと、君たちのことを思い出して早く会いたくなった…大きな塩の塊を持ちやすいように蔦で縛り、帰り道に向かった…そこで気づいたんだ…」
「こんな重いモノを持ってこの道を登れるのか?…と、完全に帰り道の過酷さを忘れていた。仕方なく一度下に置き蔦で少しづつ引き上げては、その場に置き…また蔦だけを握り登っては、蔦を引き上げを繰り返した…」
私「それで、こんなに遅くなったんですか?」
いろいろな事を話して少しづつ空白が埋まっていきました…みんな疲れているし、その日はそれで眠ることに…

 

128 :
翌日は全員昼過ぎまで眠っていた…
例のごとく?カスミが一番に起きていた。
私「おはよ…寝坊しちゃった…ごめん」
カスミ「いいよ!みんな疲れてるんだし…」
振り返ってニコッとしたカスミにドキッとした。
健吾「おはよ~…よく寝た~…」
 三人でかなり遅めの朝食を取る…
健吾「さて…家も完成したし次は何をしようか?」
ニコニコと健吾さんが私とカスミに問いかける。
私「…その…家が完成したらどうするか…色々考えてたんですけど…」
健吾「なんだい?」
私「健吾さんの手伝いがしたい…」
健吾「私の手伝い?」
私「はい…僕は学力も無いし…足手まといかもしれないけど…」
健吾「歴史や植物に関しての研究をしたいと?」
私「はい!」
健吾「…しかし、この世界での研究と言っても…」

 

129 :
カスミ「いいと思いますよ!研究…元の世界でも、研究者達は最初何も解らないところから1つ1つ手探りで調べていくんだし。」
健吾「…確かにそうだが…」
私「昨日、健吾さんが話してるの聞いてて思ったんです。この人は本当に歴史や植物を研究するのが好きな人なんだ…って…」
カスミ「そうですよ!私も精一杯サポートしますから!畑で植物の育成や採取することで、何か役にたてるはずだし…」
健吾「しかし、私の研究のために二人を巻き込んでは…」
私「巻き込むなんて…そんなこと思ってません!それに初めてこの世界のことを話してくれた時、言ってたじゃないですか…」
「12年間も、ここで出来る範囲の研究をしてきたって…その時の出来る範囲って言葉…最近まで僕は道具が無いから、出来る範囲って言ってたんだと思ってました…」
「でも…この間、三人で新しい食材を調達に行った帰り道の健吾さんの言葉を聞いて、本当の意味が分かった気がしたんです。」
健吾さんもカスミも黙っていた…
私「一人だと諦めてしまうこと…研究も健吾さんにとって諦めてしまっていた事なんじゃないかって…」

 

130 :
健吾「…慎二…キミは凄いよ…学力が無いそう言っていたが…キミの気にしている学力って言うのは学校の授業で教わる基礎学力のことだろう?」
私「…はい…」
健吾「そんなモノよりもっと大切なモノを充分に学んでいるよ…授業なんかじゃ決して身に付かないモノを…」
カスミ「そうですよね!慎二は凄い人だと思うよ…今まで出会った男性の中で、もっとも魅力的です…」
健吾さんも私もビックリしてカスミのほうを見た…
カスミ「…うわぁ~…あの…その……アハッ!」
彼女自身も無意識に言ったようでパニックになっていた。
健吾「カスミちゃん、意外と大胆だね…はははっ」
カスミも私も耳を赤くした…
私「からかわないで下さいよ!」
健吾「いやいや…すまんすまん!しかし、慎二…そう言うことだよ。」
私「えっ?」
健吾「カスミちゃん頑張って言うように、キミは素晴らしい人間だ!自信を持っていいんだよ!」
何か分からないけど嬉しくなった。

 

131 :
2メートルのある二足歩行の絵ってかけますか?

 

132 :
凄い
俺が今まで見てきた話の中で一番面白い
才能に嫉妬した
アハッ

 

133 :
確かに凄い!
描写が上手くて判り易いよね。
だからこそ、急がずゆっくり今に至るまでの全てを書いて欲しい。

>>131の絵、俺も見てみたい。
肉食の爬虫類が進化した生き物…そんな感じに想像してるけど、当たってるかな?w
そして、そいつらが使い易く造られたノコギリやカナヅチ。
そいつらの街や建物。
興味は尽きないよwww
もし描いてくれるなら、あちらの色んなモノを描いて欲しいな。
勿論!文章優先の息抜き程度でね

 

136 :
おはようございます。
皆様の質問への返答ですが…絵は文より更に才能がないのでご容赦ください。
しかし、時間を見計らい書店にて古代生物や生き物の書籍を見て、一番近いモノを後程書き込みます。
また、文中にも今後も登場するのでその際もう少し細かく描写を書いていきます。

ちゃんとした返答出来なくて申し訳ありません。
今後もヨロシクお願いいたします。

 

137 :
健吾「じゃあ研究をしようか…しかし歴史や植物の事じゃない!」
私「じゃあ何の研究を?」
健吾「この世界のことさ!どうして、ここに来たのか?奴等は何なのか?そして…どうすれば元の世界に帰れるか?」
私とカスミが互いを見合せ、健吾さんのほうを見た…
私「戻れるんですか?」
健吾「それを調べるんだよ。でも、来れたんだから帰れると仮定した方が希望を持てるだろ?」
私「はい!」
この研究を頑張れば、元の世界に戻れるかもしれないんだ…父や母に会えるかもしれない…それに…カスミのほうを見た…
(カスミと一緒に帰れる!!)カスミと目が合う…
カスミ「頑張ってね!」
私「うん!」
そんな私とカスミの様子を、健吾さんが優しい眼差しで見ていた。

 

138 :
健吾「さて、先ずは二人に見せたいものがある…」
そう言って、健吾さんは自室から一冊の手帳を持ってきた。
私「何ですか?それ…?」
健吾「コレは私がここに来た時、肌身離さず持ったいたからか、上着の胸ポケットに入っていた宝物だよ…」
「一緒に挟んであった万年筆のインクが無くなってしまって、途中から炭を削り出して書いたから見にくいかもしれないが…」
「ここに来てからの、私の調べた全てが書いてある。」

 

140 :
そう言って、手帳をパラパラとめくりはじめて、あるページで止めた…
健吾「ここから、この世界での発見などを、一言日記のように付けてある…」
私とカスミが手帳を覗きこんだ…そこにはビッシリと文字が並んでいた。
所々インクが滲み薄く読みにくくなっていたが、几帳面に並んだ文字をカスミと二人で必死に読んでいた。
(ここからは、手帳の内容が続くので読みづらいかもしれません)

 

141 :
1985年6月○日…事故を起こして森の中にて意識を戻す
何日間意識を失っていただろう、とりあえず事故のあった日付を書いておく。
妻や事故を起こした車は見当たらない。
1985年6月○日…3日3晩森を探し回った、何もない。
飢えと喉の渇きが酷い…
1985年6月○日…あいかわらず何もない…
道路すら見当たらない。
虫や見たこともない植物を食べた。
多分、紫蘇の一種だろうか…
1985年6月○日…まだ生きている。

1985年6月…(読み取れなかった、明らかに文字が違う…文字からも伝わる動揺が見てとれた)

 

142 :
アレは何だ?
ここはなんなんだ!?
(グチャグチャと書きなぐった落書きのようなもののあとに、こう書かれていた…)
森の切れ目に差し掛かる。
見たこともない建物が並んでいた、建物は黒く光沢のある素材で造られているようだ…見たこともない…
建物の密集する、おそらく街?の中で生物発見。
長身の大人くらいだろうか、恐らく2mほど…
長い顔、血走った大きな目、衣服は腰位置位に布?のようなものを巻いていたが、それが体毛なのかどうかは分からない。
顔の特長…長い顔、目は大きくて血走った眼球、瞼ののうなモノは確認されず、鼻は確認されず、口は大きく、口角のかなり上がった感じ…
輪郭や雰囲気としては人なのだろうか…
肌は筋肉繊維を所々に露出させ、皮膚の有るところもその色は赤黒く異常と言わざるを…(ここから、また文字がブレはじめる…)
同種を食べていた。
思わず恐怖と驚きのあまり声がでた。
見つかる…追われたが、彼らは遅く…
森の奥に逃げ込んだ私を追いかけてくる様子はない…

 

143 :
まだ生きている…誰か助けてくれ
…紗世(奥さんの名前らしい…ここでは仮名だが手帳のあちこちに奥さんの名前が書かれていた。)
1985年6月○…今日で2週間
あの生き物から逃げている最中、奇跡的に川を見つけた。
どうやら無害…魚もいる…
どうやって捕ったものか…
釣りは苦手である…
1985年7月○日…絶望…死にたい…周辺の植物を調べた…
どれも見たことないものばかり…
ここはどこなんだ…誰も居ない…
あいかわらず飢えは続いている。
1985年7月○日…周辺の散策をしていて驚くものを発見。少し観察する。
1985年7月○日(ここから年や月の変わり目のみ書いていきます。)…どうやら、あの生物がゴミを棄てに来ている様子。
忍び込めば物資が手に入りそう。
…意外とすんなり忍び込むことに成功!
針金と大きめの鍋のようなもの、鉄?あの街で見た建物の材質に似た黒く光沢のあるモノを入手した…見た目より凄く重い…

 

144 :
…今日も飢えに苦しむ。
食糧は虫、草のみ…
…今日は針金を曲げて釣り針を模したモノを作ってみた。
苦手ではあるが釣りに挑戦…
草の繊維を捻って糸を作ってみた、魚が食べたい…
…やはり釣りは苦手だ…まったく釣れる気配無し…
…川縁に生える草に釣糸を垂らして仕掛けを作ってみた、私が釣る訳じゃない…あの草は釣りが得意であってほしい…
森の中を更に散策…良く見ると、見たことのある植物に酷似した植物も多数ある。
…果物を発見。野苺のような黄色の実。美味である。少し飢えは癒された。
…魚が取れた!どうやら釣りが得意のようだ。木で火を起こし焼いていただくことにする。
…火を起こすのも中々難しい…一度、歴史に関する調査で体験したが、あんなものは全く別次元だ…先ず擦る為に適した木が無い…
…何とか火を起こすことに成功…魚は腐っていた。食してみたが、臭くて直ぐに嘔吐してしまった。
1985年8月…体調がすぐれない…便に血が混じる…ようやく死ねるのか?
紗世に会いたい…
1985年9月…まだ生きている…どうやら体は治ってしまったらしい…
…魚が取れた。今度は腐る前に食べることが出来た。美味い…塩が欲しいな…
1985年10月…今日で4ヶ月…辺りを調査した結果…ここは知らない世界…で確定せざるをえない…
(ここからはインクの薄れや炭で書かれた文字で見にくく、健吾さんが話してくれた。)

 

146 :
私が書いている本編とは関係ありませんが今あったことを少し書きます…
動揺と混乱で上手く伝わるか分かりませんが…

昼御飯を買いに、外に出たのでコンビニの近くの書店に寄ってみました。

色々探してみたけど、どの生物にも似ていない…
恐竜なども調べたけど、どこからどのように進化したのか分からず終い…書店を出ようとしたときに驚いて声をだしてしまい、店員さんに不信がられましたが、一冊の本を手に取り購入して帰ってきました。
その本の表紙に、アレに似ているモノが描かれていました。
本のタイトルは伏せておきますが、最近有名なアニメコミックののうです。
巨大な人が、人を食べるという内容…なのかな?
でも、表紙に写る筋肉繊維を剥き出し大きな目のソレは限りなく近い生き物のように見えます。
あとは、鼻を無くして…もっとのっぺりした感じ面長な感じです?

 

147 :
この作者は…知っているんでしょうか?
あの世界のこと…疑問も残りますが、とにかく私は私の書くべき事を書いていきます。

 

148 :
健吾「色々な事を調べて、私はこの世界が異世界という1つの仮定をたてた…」
「そうしたら、色々なものが繋がる…気がしたんだ…そうしないと纏まりが付かなくなっていた。混乱していたんだろうね…」
カスミ「だけど…色々なことが繋がる…気はしますもんね…」
健吾「…自分で立てた仮定だし、こんな状況だから否定意見を出せないんだ…慎二…何か否定的意見は無いかい?」

 

149 :
私が黙っていると…
健吾「研究するっていうのはね…一人じゃ限界がある…って言ったよね?それはね…自分の仮定を自分の納得出来るように解釈して、自分の思ったままに結論付けてしまうからなんだ。」
「誰かが違う可能性を考えて、私が考えた仮定の穴を見つける…そうして共に意見しあって…共に考えあって…ようやく正しい結論に辿り着ける。」
「だからね…慎二…キミにこの世界を考え…私の仮定の穴を探して欲しい…調査しながらその辺の事を頭に入れて手伝ってくれるかい?」
私は混乱した…今まで健吾さんが間違った事をしたか?言ったか?私にとっては唯一無二の教育者で尊敬している存在…そんな人の仮定を否定する意見?そんなものが見つかるのか?
…ひたすらに頭を悩ませ考え込んでいると、声が聞こえた…カスミだ…
カスミ「大丈夫だよ!出来る!健吾さんと一緒に頑張ろうよ!!」
私は、この子を連れて帰りたい…そう決心したんだった!
私「はい!分かりました!健吾さん!お願いします。」
健吾さんが笑顔で答えた。
健吾「よし!じゃあ、調査は明日からだ!」
私「えっ?」
健吾「おいおい!今日は休みの日だろ?」
そっか!今日は休日か…

 

150 :
健吾「慎二、カスミちゃんとデートでもしてきたらどうだい?」
(で!でーと?デートって…あのデート?)
カスミ「健吾さん!からかわないで下さい!…もう!」
健吾「いやいや、すまんすまん!…だが息抜きに二人で散歩でもしておいで。」
笑顔で話す健吾とカスミをよそに、私は頭がパンクしそうだった…
カスミ「慎二!…慎二くーん!…」
私「はえっ?」
間抜けな顔と間抜けな声にカスミが笑った。
カスミ「せっかくだし、散歩行こっか!」
私は軽く頷いた…

 

151 :
森の中に入り川の流れを見つめながら、とりとめの無い話をして過ごした…
彼女とデート…とか考えて浮わついていたのか、それとも健吾さんとの研究の事を考えていたのか、このときの会話の内容はあまりに覚えていない…ただ、彼女がはしゃいで川にドボンしたことだけ鮮明に覚えている…
カスミ「きゃっ!!」
バシャーン!
私「おいっ!」
慌てて彼女を抱き起こす…
私「何やってんだよ!大丈夫?怪我とかしなかった?」
心配そうにあちこちに擦り傷とか無いか見ていると…
カスミ「あんまりジロジロ見ないでよ…照れる…大丈夫だから…ね!有難う!」
凄くドキドキした…川の流れる音や木々の揺れるざわめき…全ての音をかきけすように鳴り響く自分の鼓動…気付いたら彼女を抱き締めていた…

 

152 :
カスミ「ちょっ…どうしたの?」
彼女の声すら耳に入ってこなかった…ただひたすらに抱きしめていた…どのくらいの時間がたったか分からない…
ひょっとしたら一瞬だったのかもしれない…ふいに彼女の声が聞こえた…
カスミ「いたっ…痛いよ…」
私は慌てて抱きしめていた手を離した…
私「ご、ごめん!何かつい…」
カスミ「いいよ…イヤじゃないし…でも、もう少しだけ力抜いて…ね」
そう言って、彼女から抱きついてきた…
また無音の世界に、今度は彼女の鼓動も伝わってきた…
私「カスミのことが…好きだ…」
ほんとに無意識に言葉が出てきた…
カスミ「…うん…知ってる…」
私「付き合いたい…」
カスミ「知ってる…」
私「こんな世界だけど…僕が守る…」
カスミ「ぜーんぶ知ってる!」
そう言って笑顔で私の顔を見上げて目を閉じ背伸びした…
一瞬何がおこったか分からなかった…私は人生初のキスをしていた…
凄く長い時間そうしていたように感じた…唇を離しカスミが言った…
カスミ「私も慎二が好きだよ!彼女にして欲しいって思ってたもん…」
私は嬉しくなって…照れくさくて…浮わついた声だったかもしれないけど、精一杯答えた。
私「知ってる!」
二人で笑いながら、またとりとめの無い話をして過ごした。
元の世界にいた頃の私には想像もつかないほど幸せで楽しくて…充実した時間…驚くほどあっという間に時間が経って、気付けば森の中も薄暗くなってきていた…

 

161 :
帰り道…彼女が手を繋いできて私に問いかけた?
カスミ「何で…さっき告白してくれたの?」
私「…何か…ちゃんと言わなきゃいけない気がして…少し勢いで言ったってのもあるけど…」
…少し無言になった…(何か不味いこと言った?勢いって言っちゃったからかな?)
私「勢いっていっても、本心で好きだからね!言うのにためらってた僕に…」
慌てて取り乱す私に笑顔でもう一度キスしてきた…
カスミ「…知ってる…私も勢いでOKしたんじゃないからね!ちゃんと言ってくれて有難う!」
私は彼女にもてあそばれるようにフワフワした気持ちにされていた…
カスミ「それに、この世界だからアナタを好きになったんじゃないよ?」
「好きになったアナタが、たまたまこの世界にいた…だから元の世界に帰れても一緒に居てね!アハッ!」
…っと笑顔で言ってきた。
凄く嬉しかった…

 

162 :
カスミ「帰ったら健吾さんに言うの?」
私「うん…健吾さんに隠し事したくないし…」
カスミ「そうだね!驚くかな~?」
私「やっぱり?って言うんじゃない?それに健吾さんは気付いてるよ…あの人には隠そうとしても無理な気がする。」
カスミ「…確かに…」
二人で妙に納得して帰宅した。
そこにはニコニコと笑顔で出迎える健吾さんが居た…
健吾「お帰り~!遅かったね~?」
いつになくニヤニヤしている健吾さん…私から切り出そうとした…そのとき!
健吾「ちょっと待った!楽しい話なんだろ?そういうのは、ご飯を食べながらにしよう!」
そう言いながら、既に食卓に並べられた晩御飯の前に案内された。

 

163 :
健吾「ささっ!話して話して!」
私とカスミはお互いを見合せ笑ってしまった…
健吾「どうしたんだい?二人で楽しそうに…私もまぜてくれよ!」
私、カスミ「だって、健吾さん子供みたいにはしゃぐから…」
そう言ってまた二人で笑いだした…
私「それに健吾さん…気付いてるでしょ?」
健吾「何が?さっぱりわからないよ…」
…と惚けたが隠しきれていないそわそわした目…仕方なく私から切り出した。
私「え~っと…カスミと付き合うことになりました。」
健吾「そうか!…そうか!やっぱりか!!」
カスミ「健吾さん…やっぱりかって言っちゃってます!」
健吾「あっ!…イヤ…あの…でも良かったよ!ほんと!!二人とも、おめでとう!」
二人を祝ってくれる、今の二人にとって最も身近な存在の人にそう言ってもらえて何よりも嬉しかった。

 

164 :
それから、森の中でのデート?の話を事細かと聞いてくる健吾さん…それをまた事細かと説明する彼女…私は終始テレていた。
健吾「しかし、ほんとに良かった…慎二!君が来たときとは見違えたよ!立派に成長した!」
「これから何があってもカスミちゃんはお前が守るんだ!」
私「はい!」
健吾「カスミちゃん!慎二は少し至らない部分もあるかもしれないが、どうか見捨てずに支えてあげて欲しい。」
カスミ「はい!」
健吾「良かった良かった…ほんとに…」
急に健吾さんが涙を流した…私もカスミもパニック…
健吾「すまない…感慨深くなってしまって…つい…」
どうやら嬉しくて泣いていたらしい…
健吾「…私と妻の間には子供がいなかった…私も妻も子供は欲しかったが、私に問題があってね…」
少し涙混じりに話し出した…
健吾「妻にはほんとに申し訳なく思ってる…」
カスミ「そんな事言わないで下さい…きっと紗世さんは幸せだったと思います。大好きな人と一緒にいられたんだから…今の私が言うんだから間違いないですよ!」
健吾さんは「有難う」と一言いい泣いていた…
そんな感じでその日は就寝…

 

165 :
翌朝…いよいよ私の学者助手としての幕開けの日…凄く複雑な…不安な気持ちとワクワクが入り交じった不思議な感覚で目を覚ました…
部屋を出るとカスミが、朝食の準備をしていた。
カスミ「おはよ!早起きだね!」
私「何かそわそわしちゃって…」
カスミ「そっか…あんまり気負わずに頑張ってね!」
私「うん…」
カスミ「ご飯まだだから、顔洗ってきたら?」
私「はーい」
川の水は、少し冷たくなっていた…
家に戻ると、カスミが焼き魚とにらめっこ中…以外と焼き加減にこだわる方なのだ…そんな姿をじっと見ていたら、カスミが気付いたらしく笑顔で振り返った…
カスミ「ジロジロ見ないでよ!…もう…」
照れる彼女の仕草にまた癒される…
こんな現実離れした世界で、こんなに現実味のある幸せを感じるなんて…

 

166 :
魚が焼き上がる頃に健吾さんも起きてきた。
健吾「おはよう。おっ…何か新婚さんみたいだな…」
朝から、この人は…と呆れているとカスミが負けじと応戦した。
カスミ「当然!愛し合ってますから…」
自分で言って自分で恥ずかしくなったのか黙ってしまった…
それを見て健吾さんが笑った。
健吾「慎二…キミの努力は無駄になってしまったね」
私「えっ?」
健吾「二人がこうなるなら部屋は分けずに1つのままで良かったんじやゃないか?」
私もカスミも顔から火が出そうだった…
健吾「うんうん…青春は素晴らしい」
そう言って、食卓に着いた。
健吾「さて、何からどう調べたものか…」
私「…あの~…」
健吾「ん?なんだい?」
私「考えたんですけど、また1から調べたいと思ったんです。健吾さんが得意な分野から、この世界を…」
健吾「1からというと?」
私「健吾さんがここに来たとき調べたのは、今のように冷静で無い常態だったと思うんです…」
「だから、元の世界にあった植物とこの世界の植物…どんな風に違うのか細かく調べてみたら、健吾さんの違う進化を辿ったパラレルワールドなのかが分かるんじやゃないか?って…」
健吾「…よし!そうしよう!じゃあ今日は元の世界にあった植物に酷似している植物を沢山採取する事を目標に頑張ろう!」

 

170 :
健吾さんの指揮のもと私達は動き出した…カスミは食材になる植物の育成や研究対象の植物の育成、家の事全般…私と健吾さんが没頭出来る環境作りを頑張る事に…
…正直一番大変そう…彼女はかなり張り切っていたようだけど…
健吾「さて、初日は毒草の採取をメインに頑張ろう!」
私「毒…ですか…?」
健吾「そう!とりあえず植物達の声を聞くために分かりやすいだろう?…どんな敵から身を守るために、どんな形の毒を備えたのか…」
健吾「それが分かれば私達の安全にも繋がるんだ…他にも沢山調べなければならないが、一つ一つこなしていこう!」
私「はい!」
私は本当に納得しているのか分からないが返事をした…
そうして、健吾さんと私は家の事をカスミに任せて二人で家を出た。
森の中に入り、少し歩いた所で健吾さんが話し出した。
健吾「慎二…昨日も言ったが、キミは見違えたよ…本当に…子供のいない私にとっては君が本当の息子のようだ…」
健吾さんの話に戸惑ったがイヤな気はしなかった…

 

171 :
健吾「本当に誇らしく思うよ…いつか元の世界に戻れたら…二人で酒でも飲みたいな…」
そう言う健吾さんは嬉しそうに涙を浮かべていた…
私「絶対行きましょう!僕、お酒飲んだこと無いですし。」
健吾「そうだったね…まぁ…私も呑める!…というほど強く無いんだけどね」
私「そうなんですか…?」
お酒を飲むイメージも無かったので空返事だったと思う…
健吾「慎二…最近空返事が多いね。」
とっさに、本当の事を言われ動揺した…
健吾「心にゆとりが無いと、ちゃんとした研究はできないよ?何か悩み事かい?」
私「いえ…悩み事というか…」
健吾「カスミちゃんのことかい?」
私「それもあるかもしれません…現実味の無い世界で、現実味の無い出来事が現実に起こっている事に頭がついていっていないというか…」
健吾「…慎二…キミは人と付き合う事に何か負い目を感じているんじゃないか?自信が無かったり、経験が無かったり…」
私「言われてみると…」
健吾「キミはカスミちゃんと付き合う為に、無理に釣り合う人間にならなければ…とか考えているんじゃないかい?」
私「…確かに…知らないことを一つ一つ経験する毎に、自分が知らない感情が頭に流れ込んで来て…幸せなんだけど…リードしないと!…とかもっと自分からこうしてあげないと…って…」

 

172 :
健吾「慎二…キミは彼女に気を使いすぎている…そんなことじゃ、彼女に失礼だよ…キミはキミらしく彼女にありのままの好きで接していけば良いんだよ。」
慎二「でも…どうしたら…」
健吾「よし!こうしよう!」
私は頭に?が浮かんだ…
健吾「今日は、一緒に植物を探す…とにかく大量に…」
私「…それで…?」
健吾「それで、明日から私は研究の為に自室にこもる…」
私「えっ?でも、それじゃ健吾さん一人で…」
言いかけた私を静止して健吾さんが言った…
健吾「最後まで聞きなさい!どのみち今の迷いある君では手伝いきれないよ…」
少し不貞腐れた私の表情を見て健吾さんが話し出した。
健吾「最後まで聞きなさいって言っただろ?私はキミの可能性にかけて、もう一度諦めていた研究を再開させたんだ…」
私「だったら…」
健吾「だからだよ!だからこそ迷い無いキミに手伝って欲しいんだ…」
健吾「私が研究を口実に、慎二とカスミちゃんが二人で居られる時間を作る…その間に、彼女がキミに何を求めているのか、自分が彼女をどのぐらい思っていて、何をしてあげたいか…ゆっくり考えればいいよ!」
私「…はい…」
健吾「いいね?」
私の空返事に少し怒ったように強めの口調で言ってきた。
私「はい!」
健吾「よし!その代わり、その間に必要なモノが合ったら取りに行ってもらうよ!さて…そうと決まれば沢山の植物を集めようか!」
何故かは分からない…けど健吾さんに言われたことにより…少しだけ心が軽くなって頭の中の曇が晴れたような気がした…
日が沈みかける頃に私達は、カスミの待つ家に到着した。
健吾「いいね!」
私「はい…」
健吾「大丈夫だ!自信を持て!」
私「はい!」
健吾、私「ただいまー」
カスミ「お帰りなさい!わ~…凄い一杯採ったね~。お疲れさま!」
彼女が笑顔で出迎えてくれた。

 

176 :
食卓には晩御飯が並んでいた…
何時ものように野草のスープと焼き魚…
健吾「今日、かなりの量の植物が採れたから、明日から少し一人で研究するよ!」
カスミ「えっ?」
健吾「帰り道で、慎二には話したんだが、慎二はこの家を建てるためにかなり無理して頑張っていたし、少しくらい休むことの大切さも知ってもらわないと…」
健吾「そこでカスミちゃん!慎二に休むことの楽しさを教えてあげて欲しい…出来るかな?」
少し考えて私の方を見て、理解が追い付いたのか凄く嬉しそうに…
カスミ「はい!任せてください!得意分野です!!」
あまりにも高いテンションに私も健吾さんもビックリしてしまった…
カスミ「…ん?…はしゃぎすぎ?アハッ!」
照れ隠しにおどけていた…
健吾「じゃあお願いするよ。…そのかわり私が研究に必要な道具があったら取ってきて欲しいんだ。二人とも出来るかな?」
私、カスミ「はい!」
何か…こういうのって決まってしまうとウキウキしてしまう…(カスミと二人の時間か…健吾さんが言ってくれたように、ちゃんと見極めよう…)
そして、3人で就寝…

 

177 :
私が寝ようとした時、部屋に誰か入ってきた…
「慎二~…」小声の主はカスミだった…
私「どうしたの?」
カスミ「何かウキウキして眠れなくて…来ちゃった…アハッ」
私「そか…実は僕も眠れなかったんだ…」
ほんとはもう寝ようとしてたけど…なぜかそう言っていた…
カスミ「ねぇ…今日はここで寝て良い?」
私「…う…うん…」
カスミ「…イヤ?」
イヤな訳がない…ただ…私は本当にどうしていいか分からなくて戸惑った返事をしてしまっただけだ…
私「イヤなわけないよ!…でも…その…」
小声で話していたせいか、私の…でも…その…の部分は聞こえていない様子で
彼女が私の横に来て布団の中に入ってきた。

 

178 :
カスミ「明日から何して遊ぶ?」
私「…」
もう、会話どころじゃ無いほどドキドキしていた。
カスミ「ねぇ?聞いてる?」
私「うん…その…緊張して…」
カスミ「アハッ!なんでよ~…」
私「何でと聞かれても…」
カスミ「そんな緊張されると…こっちまで照れるじゃん…」
私「…ごめん…」
しばらく無言の時が流れた…告白の時よりも心音が大きく響いた…
カスミ「…もうっ…」
っと言ってキスしてきた…凄く長いキスだった…ゆっくり唇を離し彼女が囁いた…
カスミ「少しは慣れてね…」

 

179 :
そう言って…もう一度長いキス…また離れて話し出した…
カスミ「ごめんね…我慢出来なくて…つい…」
私は情けなく放心していた…
カスミ「生きてる?」
私「…死んでる…」
カスミ「アハッ!慎二って本当に面白い!大好きだよ!」
私「僕も…大好き…」
カスミ「……そんな緊張してる、慎二くんに非常にお願いし辛いことがあるんだけど…」
私「…何?」
カスミが少し間を開けて申し訳なさそうに言った…
カスミ「う…腕枕…して欲しいな…って…」
腕枕?どうすればいいんだ?
カスミ「ごめん…イヤだよね?…気にしないで…」
私「…イヤじゃない…よ?」
カスミ「えっ?…本当に?」
私「うん…でもどうしたらいいの?」
カスミ「じゃあ、私の頭の下に腕通してもらっていい?」
私は恐る恐る手を彼女の頭の下に通した…

 

180 :
私「…こおかな?…」
カスミ「うん…」
嬉しそうにうわずった声で返事をする彼女に、またドキドキした。
ふと彼女が体勢を私の方に向けて抱きつくような形になった…
カスミ「あったか~い…」
もう、それどころじゃなかった…
カスミ「慎二の体って…良い感じに締まっててカッコいいね…アハッ!」
私「そ…そうかな…」
カスミ「うん!…本当は、黙ってだけどもっとこうして引っ付いてたいんだよ?」
私「そっか…気付けなくてごめん…」
カスミ「謝らなくていいよ…でも…我慢してたんだから…ご褒美に、今日はこのままでいてね?」
私「…うん…」
カスミ「大好き!…オヤスミ…」
そう言って頬にキスしてきた…
もうドキドキしっぱなし…腕枕って…変に力入って大変…(動いたら起こしちゃうよな…でも…キツっ…こんなで寝れるのか?…)
そんな事を考えて長い時間起きていた…しばらくたってから私も限界が来たようで眠りにおちた…

 

181 :
うしパンツ消した

 

182 :
…何か期待に添えなくて申し訳ありません。
パンツは…履いて下さい。

何か会話調の文章で改行が多くて、3話位の予定が、かなり小分けになってしまいました。

申し訳ありません。

 

183 :
続きが気になるよ…

 

184 :
いいかげんにしろやw
ニヤニヤしてしまうwwww

 

187 :
本当に期待に添えなくて申し訳ありません。

人付き合い無く中3で異世界→もちろん未経験→お察し下さい…
慎二が皆様の期待に添える体験をするのはまだ先です…しかもどこまで細かい描写を書くかは決めかねています。
二人の想い出でもあります…

何卒、ご理解のほど宜しくお願いいたします。

 

190 :
…疲れていた筈の私だったが…数時間?もしかしたら、もっと短い時間で目が覚めたかも…
ふと横を見ると、カスミが居なかった…
(アレ?どうしたんだろ?眠れなかったのかな?)何か心配でカスミの部屋に行ってみることにした…
カスミの部屋…居ない…(どこ行ったんだ?)
…不安に思っていると家の中にカスミが入ってきた。
私「カスミ!どこ行ってたの?」
カスミ「…ん?…あぁ…ごめんごめん…トイレ…アハッ!」
私「そっか…なら良かった。」
ホッとして、二人で部屋に戻った、また腕枕した…

 

191 :
カスミ「起きて、私が居なかったから心配した?」
私「そりやそうだよ…心配したし…少し寂しかった…」
カスミ「アハッ!やっぱり可愛い!」
(可愛いって何なんだ?…馬鹿にされてるのかな?)色々考えたけど、カスミが好きでいてくれるんだしそれで良いと思った。
カスミ「…あの~…」
私「ん?」
カスミ「…ずっと一緒に居てね?」
私「もちろん!急にどうしたの?」
カスミ「…ん~ん…何となく…オヤスミ!」
そう言って少し強く抱き付いてきた…
今度こそ本当に眠った。

 

192 :
翌朝、カスミが起き出した振動で目が覚めた。
カスミ「ごめん!起こしちゃった?」
私「イヤ…いいよ!おはよ!」
カスミ「うん!おはよ!」
そう言ってまたキスされた…短いやつ…
カスミ「まだ早いし、寝てていいよ?」
私「ん~ん…一緒に起きるよ…」
二人で顔を洗いに川に向かった…
カスミ「さむ~い!」
確かに少し肌寒い…木に刻まれた線を数える…既に11月も終わりに差し掛かっていた…
彼女がきてから初めての冬に入る…
冷たい水に震える彼女を見て思った…
私「そうだ!お風呂!お風呂作ろうよ!」
カスミ「えっ?お風呂?お風呂って作れるの?」
私「大丈夫だよ!家だって作れたんだよ!?」
カスミ「…そっか…そうだね!…」
少し黙る彼女に気付き…
私「ん?」
…と尋ねると彼女が急に抱き付いてきた…
私「どうしたの?」
カスミ「私の為に提案してくれたのかな?と思ったら…引っ付きたくなっちゃった…自意識過剰かな?アハッ!」
彼女の為に提案したが、照れ臭くて「そうだよ!」と言えなかった。

 

193 :
私「寒いし風邪ひくといけないから、家に入ろ?」
カスミ「うん…」
家に入ってから、お風呂をどうやって作るか構想を練っていた…どうせなら、ちゃんとしたお風呂にしたい…
(ヒノキ風呂?ヒノキってあるのかな?健吾さんに聞いてみるか…でも板と板の繋ぎ目からお湯が溢れるんじゃ?ん~…どうすればいいんだ?…)とにかくやってみないと判らないことだらけだ…
カスミが朝食の用意を済ませた頃、いつもなら起きてくる健吾さんが、まだ出てこない。
二人でそっと部屋を覗いてみた…珍しく熟睡中…どうやら夜中まで研究に没頭していた様子…
無理に起こしても悪い気がしてそのままにした。
カスミと二人で家の外の畑作業をしながら、起きてくるのを待った…
昼を過ぎた頃に家の中から申し訳なさそうに健吾さんが出てきた。
健吾「二人とも!すまない!寝坊した!」
私、カスミ「問題ありませ~ん!」
笑いながら答えた。

 

194 :
カスミ「健吾さん、すぐスープ温めますね。生姜とニラと魚のスープ!新メニューです…アハッ!」
健吾「美味しそうだね!有難う!」
私「健吾さん。質問してもいいですか?」
健吾「うん!いいよ!」
健吾さんはスープを飲みながら話を聞いてくれた。
私「外も少し冷えてきたし、その…お風呂を作りたいんです。」
健吾さんは、私とカスミの顔を1度往復して見つめ、全て分かったかのように笑顔で答えた。
健吾「水が溢れて火が消えたり中々思ってる用にいかないかもしれないよ?」
私「それでも、頑張ります!」
健吾「よし!分かった!頑張って作ってごらん!」
私「それで質問なんですが…ヒノキのような水に強い性質の木材ありますか?」
健吾「ん?あるよ!」
私「本当ですか?どんな木ですか?どのへ行けばありますか?」
健吾「この家に使った木だよ。」
私「えっ?…ええっ?この辺一帯の木が?」
健吾「そっ!だから、この家はそうヒノキ造り…何か贅沢だね。」
私「そっか…じゃあ、探し回らなくて良さそう…よし!早速切り出そう!」
健吾「頑張ってね!私も研究の続きに入るよ。」
私「はい!」
そうして、私は家の外に出た…

 

195 :
カスミ「慎二~!」
後ろから呼ばれる声に振り返ると、後片付けを終らせた彼女が走り寄ってきた。
私「ん?どうしたの?」
カスミ「折角木を切るなら、畑の近くの木を切って、もう少し畑を広げられないかな?」
私「うん、そうだね!」
カスミ「良かった…実はオリーブとか色んな物の種植えちゃって、スペースがなかったんだ…研究用の植物の種何処に蒔くか焦ってたの。」
私「そっか。冬に入るし薪用にも少し多めに切って乾燥させておこうか?その方がスペースも広がるし…」
カスミ「うん!有難う!」
そう言って、作業を開始した…
何か久しぶりに、ノコを使う感覚…少しワクワクしながら木を切り出して行く…
ノコ一本で木を切るのはかなりの重労働だが、彼女に畑のスペースを頼まれている手前、弱音を吐かずにひたすら切り続けた。
彼女は畑作業を続けながら私の方を見て、時おり目が合うと頑張って!とジェスチャーしてきたり…投げキッスしてきたり…私は照れながら、だがその仕草にやる気が出た…
かなり時間がかかったが五本目を切り終え、彼女の近くに行き、一緒に休憩することに。

 

196 :
カスミ「お疲れさま。見て見て!」
…と嬉しそうに指を指す方を見る…
畑に植えて早くも芽を出した植物を見て、嬉しそうに彼女が笑っていた。
カスミ「イチゴが一番に芽を出したの!沢山育つかなー?」
私「カスミの愛情たっぷり受けてるし、きっと沢山育つよ。」
…と言うと嬉しそうにしていた。
カスミ「じゃあ慎二も育つかな?アハッ!」
私「どうだろうね!」
カスミ「…私にも沢山の愛情注いでね?アハッ!」
二人で馬鹿な話をしながら笑った…思ってたより長く休憩してしまった気がする。
私「サボり過ぎちゃったかな?そろそろ続きしようかな…」
カスミ「そうだね!頑張ってね!」
そう言って、また作業に取りかかる…

 

197 :
カスミちょっとウザくなってきた…
アハッ!

 

198 :
伊勢かい?

 

199 :
197さん、スミマセン。私の書き方が至らないせいで、ウザイ感じになってしまったかもしれないです。
本人は寂しがりて、甘えただけど今まで想っていた人と上手くいったことがなくて甘え下手で、照れ隠しか…アハッ!と良く笑って誤魔化したりしてたので…少し過剰に書きすぎたことお詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。

198さん、場所は特定しませんが伊勢では無いです。
あっちの世界では…何処の位置にあたるか分かりません…

 

200 :
>>199
気にすんな
19と20歳の恋愛なんてこんなもんだろ
外野は気にせず書きたい事をどんどん書いてってくれや

因みに「伊勢かい」は「異世界」のダジャレじゃね?wwwwww

 

207 :
更に2本の木を切り、辺りは少し暗くなってきたので、今日はそこで作業を終えてカスミと家に戻って、ご飯の用意をした。
ご飯が出来上がり健吾さんを呼んで皆で食事…
健吾「慎二、どうだい?順調かい?」
慎二「はい!一応、お風呂に必用な木材は切り出せたと思います。」
健吾「そうか!私も中々面白い事が分かった気がするよ…」
カスミ「面白いこと?」
健吾「ああ!元の世界では、毒があった植物に、この世界では毒が無い物がある…つまりその植物は守る術を必用とせずに進化したんだ…また毒の種類も少し違うんだろうが、人を殺すほどの毒を持つ植物は、今のところ考えられない…」
私「そんなことまで分かるんですか?」
健吾「実は夜中にこっそり、川の仕掛けから一匹魚を取って、元の世界では猛毒を持つ植物をすりつぶして、その汁を魚を泳がせた桶にいれてみたんだ…」
「少しして魚は浮いてきたが、ものの数分で、また泳ぎ出した。」
「本来小さな魚だしあり得ない事なんだけどね…ようするに、この世界の植物には余り天敵がいないみたいだ…」
「そのへんを考察して考えると、全く居ない訳ではないが、動物も少ない気がするし…」
「何はともあれ…更に調べてみる必用があるね…」
そう言って黙りこんだ健吾さんは、何か楽しそうだった…

 

208 :
私「それはそうと、明日…ゴミ捨て場に行こうと思うんですが、健吾さん何かいります?」
健吾「そうだね…沢山ありすぎて…直ぐには答えられないが、必用なモノを選んで、明日慎二が家を出る前に言うよ。」
私「はい!」
そうして、皆で就寝することに…
健吾「今日も同じベッドで寝るのかい?風邪ひくなよ?オヤスミ~!」
私もカスミもバレてる!っとドキッとして顔が真っ赤になった…
考えると当然か…家と言っても素人が作った板のみで出来た家なんだし、防音なんて全く…小声だろうと声は丸聞こえなはず…
カスミ「やっぱりバレてたね…アハッ!」
私「…うん…」
カスミ「今日は別々に寝る?」
私「…でもバレてるけど、逆にもう気を使わずに一緒に寝ればいいんじゃない?…とか言ってみたり…」
良く考えると一緒に寝たいと言っている自分に驚いた…
カスミ「そだね!アハッ!」
っと嬉しそうに返事をした…気のせいか健吾さんの部屋の方で笑い声が聞こえた気がしたが…それはそれで何か応援されているように感じた…
そうして、二人で同じ部屋へ…また、とりとめの無い話をして、何も無く就寝…

 

209 :
翌朝、私が用意していると、カスミも何やら準備しだした…
私「何で?」
カスミ「ん?何が?」
私「カスミもついてくるの?」
カスミ「そのつもりだけど…ダメ?」
私「イヤ…危ないよ?」
カスミ「慎二と一緒だから大丈夫だよ…お願い!!」
私が色々のな事を考えて迷っていると、健吾さんが…
健吾「いいじゃないか!一緒に行っておいで!それに二人の方が沢山の荷物を持って帰って来れるだろ?」
カスミ「そうそう!」
私「…そうですけど…」
私が彼女を守りたいから危険にさらしたくない気持ちと…彼女は私に守ってもらいたいからこそ、どんな場所でも一緒にいたい気持ちが、その時の私にはまだ分かっていなかった…
そんな中、全てを理解しそのうえで判断した健吾さんがカスミと私に言った…
健吾「慎二、キミがいれば大丈夫だよ!カスミちゃん、慎二の言うことをちゃんと聞くんだよ?二人とも絶対に無理してはいけない。必ず無事に帰っておいで!」
お互い諭されたように頷いた…
私、カスミ「行ってきます!」
そう行って元気に出掛けた…
道中、カスミと私には…まるで登山でも楽しむかのように、これから危険な場所に行くというような緊張感はなかったように思う…
カスミは何かウキウキしているし、私も同調していた…
家を出てかなり歩き、そろそろ目的地付近にさしかかったとき…
不意に森の奥…ゴミ捨て場より私達側にある森の中に人影が見えた!
私もカスミも、それまで忘れていた緊張感が一気に甦る!

 

210 :
カスミは私の腕にしがみつき震えている…
更に身を潜め、様子を伺う…私はカスミがしがみついている腕と逆の腕にモリを握っていた…
モリを握る手に一気に力が入る!間違いなく奴等だ!
カスミは更に震え出す…それを大丈夫となだめる私だが頭の中はパニックだった…
(先手必勝か?それとも隠れて様子を見るか?一匹しか見えないが仲間はいるのか?ゴミ捨て場の直ぐ近くと言っても森の中に何故?)
色々な事が一気に頭の中をかけめぐる…刹那、私達は唖然とした…
奴が粋なり苦しみ出したようにノタウチまわっている…
(一体なんなんだ?どうして急に苦しみ出したんだ?)
そうこうしている間にソイツは絶命したのか倒れたまま動かなくなった…
奴が動かなくなっても、暫く動けなかった…カスミはあまりものショックに泣きだしていた…
とりあえず、様子を見るために少しづつ近づいてみた…
モリの先でつついてみた…動かない…どうやら本当に死んでいる様子…

 

211 :
しかし、それ以上はカスミの常態を考え止めておいた…当然私の判断は作業は中止!
健吾さんに一早くこの事を報告に向かわなければ…と考えて、カスミを支えながら足早に引き返した…
夕方前には家に着いた…かなり早い帰宅とカスミの様子から健吾さんは何かあったんだと気付き、私とカスミをとにかく落ち着かせるように接してくれた。
二人とも、少しは落ち着いた様子をみて健吾さんがおもむろに質問しだした…
健吾「何かあったのかい?」
私「はい…ゴミ捨て場の手前…森の中で奴等がいました…」
健吾「襲われたのか?」
私「いえ…それが…」
私は森の中で見た奴の状況などをできる限り細かく伝えた…
健吾「…そうか…そんなことが…」
少し考え込んで、また健吾さんが口を開いた…
健吾「よし!…それは1度調べてみないといけないね…」

 

212 :
健吾「慎二!明日、私をその場所に案内してくれないか?」
私「…はい」
そう言いながらも、まだ怯えているカスミを見る…
健吾「その代わり案内してすぐに帰りなさい。」
私「えっ?」
健吾「こんな常態でカスミちゃんを一人にするのかい?本当は私一人で行きたいが、この世界では道らしい道がない…行った者が行ったときの目印を元に案内する以外に方法がない…」
「もちろんゴミ捨て場の付近をくまなく探せば見つかるだろうが、森の中で奴等がいたのだ…デタラメに行動するのは避けたい…」
「カスミちゃん…すまないが慎二を少し借りてもいいかな?」
カスミ「…はい…その代わり…慎二だけじゃなく健吾さんも必ず無事に帰って来てください!」
健吾「私は大丈夫だ!…こう見えて慎二より臆病だからね!」
…と笑いながら言った…もちろん私もカスミもそんな事は一切思っていなかったが明るく振る舞った。
その夜…カスミは私の腕の中で一睡もすること無く、私の寝顔を見ていたらしい…
翌朝…不安そうなカスミの表情に胸が苦しくなったが、精一杯明るく出発した…
健吾「慎二…すまないね…」
私「いえ…それにこの調査で本当に色々な事が分かるかもしれないんですし…」
健吾「…必ず戻ろうな!」
…それは元の世界に…という意味なのか、カスミの待つ家に…という意味なのか…多分…両方かもしれない…
私「はい!」
力強く返事して二人で歩を進めた…

 

213 :
昨日と同じ場所に近づいたころ私が口を開いた…
私「そろそろです…何か危険があったら、迷わず逃げて下さい…もう私も一人で逃げられますから…」
健吾「…分かったよ」
少し嬉しそうに微笑んで健吾さんも答えた…
私「あった!アレです…昨日と変わらず動いてない…やっぱり死んでいる…」
健吾「…た…確かに…」
私「…でも…」
健吾「うん…二人が昨日死んだのを見たにしては、かなり腐敗しているね…一日でこんなに?…とにかく慎二!キミは早くカスミちゃんの所へ行ってあげなさい!」
私は少し戸惑ったが、正直カスミの事が心配だったので健吾さんに従った。
私「健吾さん2日…2日たっても帰って来なかったら、3日目の朝には探しにきます!必ず無事に帰って来てください!」
健吾「ああ!必ず帰るよ!」
そう互いに約束して、私はその場をあとにした…

 

214 :
このあと、慎二とカスミが繋がります…私の判断のみで書ける範囲書く事にしましたがご期待に添えるとは思いません。
官能モノをご期待されてパンツを消さないようにお願いいたします。
また、少しでもそう言った内容や表現に嫌悪感のある方は、その辺の話に差し掛かったら読み飛ばして下さい。

 

215 :
>>214 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

216 :
いいかお前ら!
くれぐれもパンツは消すなよ!
脱いでも消したらダメだぞwktk

 

217 :
帰り道、私は色々な事を考えた…
カスミは今どれ程不安な気持ちなんだろうか?健吾さんはきっと大丈夫だよな…とか本当に色々…
そして奴等に対しても色々考えた…
健吾さんは奴等は仲間が死ぬと食べると言っていた…しかし森で死んだ奴は食われない…
食われることを避けて自分の死期の近さを感じ森へ逃げたのか?
それとも…(落ち着け…落ち着け…)と自分に言い聞かせた…
奴は死期を感じて、食われることを避ける為に仲間から逃げた…なら何故ゴミ捨て場という奴等に見つかるかもしれない場所で佇んでいた?
もっと見つかりにくい場所もあるだろう…
佇んでいた?…何故そう感じた?…そうか…奴は死ぬ間際まで自分の住む街、仲間の見える位置にいたかった…
そう言えば奴の目線には微かに奴等の街が見えたはず…
でも、なら何故戻らない?やはり食われるからか?
それならそれで、もっと早くに逃げていたはず…
それにあの腐食の早さ…以上過ぎる…奴等が死んだらすぐに腐るのか?
それも違う気がする…

 

219 :
…!?もしかして、追い出された?
仲間を食う奴等が、その仲間を追い出す…死んでも食えない…生きているが近くに置いておきたくない…腐食の早さ…病気?感染症?
私は私の仮定を作り出した…そうなると健吾さんが心配だ!
まだそんなに進んでいない…すぐに引き返して健吾さんに伝えよう!
大急ぎで、健吾さんの元に走った…
私「健吾さん!」
健吾「どうした?忘れ物かい?」
私は息を切らしながら、健吾さんに自分の考えを話した…健吾さんは嬉しそうに微笑んで話し出した。
健吾「良く考えて仮定を立てたね。素晴らしいよみだ!」
関心していたが、少し強ばった表情に変わり強めの口調で話出した。
健吾「仮定を立てたまでは褒められる…けどその仮定を立てておきながらココに戻ってきた行動は、褒められたものではない!」
「仮に、その仮定が正しくて私が既に感染していたら?気付かずにキミにも移ってしまったら?」
私は黙って聞いた…
健吾「カスミちゃんはどうする?誰が守るんだい…以前は、私と二人だった…だから私は自分自身の事を優先して…と言った…」
「今は…何よりも全滅を避けなければならない!慎二!キミには私のように大切な人を守れなかったと後悔してほしくないんだ…」

 

220 :
私は涙が出てきた…健吾さんがどれ程、私やカスミの事を考えてくれているのか…分かっていたつもりでしかなかった…それなのに自分は目の前しか見えず軽率に行動して…情けない…
健吾「でも…有難う!」
「それから、私の仮定とキミの仮定はほぼ同じだ…」
私「じゃあ…感染?」
健吾「ん~…少なくとも、この生物が街を追い出された…という仮定の方かな…どうやら、この生物はある植物の胞子?のようなモノに侵されて死んだようだ…」
よく見ると1ミリか2ミリ位の小さな粒が付着していた…
健吾「詳しく調べないと分からないが体の腐食は内部から…特にこの胞子の付いてる辺りは腐食が激しい…生物学者ではないが…死体を少し調べると、呼吸器官や胃の損傷もかなり見受けられる…」
「恐らく、この森に自生する種の植物が出しているものだと思う…シダ類の一種だろうか…もしくは全く別の何かか…元来、こんなにハッキリ確認できる胞子も少ない…」
私「じゃあ…森にいたら…」
健吾「どうやら私達には害は無さそうだ…これだけ長期間私達は森の中で生活してきた、もし害があるなら当に死んでいるだろう…」
「問題は山積みだが、もう少しこの死体を調べてから、ちゃんと帰るから、キミは早くカスミちゃんの元に行ってあげなさい。」
健吾さんの表情から、本当に心配無さそうな感じを見てとれたので、私は先程と同じように約束してその場をあとにした…

 

221 :
カスミが心配してるだろうな…健吾さんの調査仮定と自分の仮定が遠からずな事に、少し得意気になりカスミの元に帰る足取りが軽く感じられた。
今こうして書いていても、本当に単純な性格だったんだろう…
家が見えてきて、外で心配そうにソワソワ此方を見ている彼女と目があった…すかさず私もカスミもお互いの方へ走り出した…そして強く抱き締めあい…
私「ただいま」
カスミ「おかえりなさい…」
一言だけ交わし私からキスした…
互いの無事を確認しあうように激しく…
そのあと家に入り、今日あったことを話した…彼女は少し怯えていたが、とりあえず無事だったこと安心を得ながら話を聞いていた…一通りの事を話終え、次は彼女が話出した…
カスミ「今日ね…二人が出ていったあと…一人ですごく後悔したの…私もついて行けばよかった…って…」
「凄い不安で泣いちゃった…でも信じなきゃ!って…二人なら大丈夫だ!って思った…思うようにした…」
私は黙って彼女の頭を撫でた…
カスミ「照れるよ…アハッ!…でね!二人が帰って来たときにビックリさせようと思ってプレゼント作ったんだ!下手だけど…」

 

222 :
そう言って彼女は私に布にくるまれたモノを手渡してきた…
カスミ「開けてみて!」
はしゃぐ彼女に急かされて布をゆっくり広げた…お箸だ…
カスミ「下手でゴメンね?でも今までずっと木の枝をそのまま使ってたから…こんなのでも枝よりはましかな?って…」
嬉しくて、また彼女を抱き締めた…
私「有難う!大切に使うよ!」
カスミ「…うん…」
そのお箸には私のイニシャルが小さく彫られたいた…普通に見たら、確かに凄く下手なのかもしれない…
けど今の私にとってはどんなお箸よりも高級に見えた…
カスミ「健吾さんもお揃いだよ!早く帰って来ないかな~…」
子供のようにはしゃぐ彼女を見つめて、私も健吾さんのことを考えていた…
そうして二人でベッドに横になった…カスミは前日一睡もしていなかったせいか、私の無事を確認して安心したからなのか、すぐに眠りについた…
私は健吾さんのこと…奴等を殺した胞子のような粒のこと…色々な事を考えて、中々眠れなかった…

 

223 :
私も、いつの間にか眠りに付いていた…目が覚めると、隣には既に目を覚まし私の方を見つめるカスミがいた…
カスミ「おはよ!」
といって短くキスしてきた…何故か体が熱く…ソワソワした落ち着かない感じ…
カスミ「ねぇ…慎二…」
私「どうしたの?」
カスミ「…好きだよ…大好き…」
私「僕も大好きだよ…」
カスミ「…抱いて…ほしい…」
…(抱く?抱き締めればいいのか?)経験も無く、突然の事に本当に意味が分からなかった…
カスミ「慎二と…繋がりたい…」
…もう完全に混乱…何がなんだかさっぱり分からなかった…黙っているとカスミからキスしてきた…不意に口の中に自分とは違う温もりを感じた…(!?なに?舌?)…ビックリしたが、とても気持ちよくて…気付いたら自分からも舌を絡めていた…
カスミ「お願い…抱いて…このまま…」

 

224 :
私の頭の中には湿ったカスミの声と、口の中に残る彼女の温もりで混乱し…理解せずとも、動物的本能なのか彼女の上に重なっていた…
ここが、現実なのか夢の中なのか…これからの自分達がどうなるのか…そんなこと考える余裕もないほどに、二人は交わった…
何時間経ち…何度果てただろうか…髪は乱れ…呼吸は荒く…二人の汗や体液にベッドの布も湿り…いったい…いつまでこうしていれば1つになれるんだろう…ふと彼女が声を漏らした…
カスミ「…慎二…激し過ぎ…」
彼女の消え入るような声に、我に返った…
私「ご!ごめん!…」
カスミ「謝らなくていいよ…私から誘ったんだし…有難う…アハッ!」
そう言って、お互いに呼吸を調え、かなり遅めの朝食に…既に日も傾いていた…

 

225 :
>>224
不思議とおめでとうという気分になった

 

228 :
ここオカルト板だぞ?
異世界の話読みたくて、しかも話として面白いから読み進めてきたのに
殆ど恋愛小説化してきたのもガッカリだし、ましてセ〇クスした描写なんて全く必要ない
異世界の本質に迫る話に方向性戻してくれ
パンツ脱いでる住人も住人だ
せっかくの秀逸な世界設定なのに素人作家持ち上げて安っぽい恋愛・官能小説にさせんな

 

229 :
え、最終的にガチホモの流れになると思ったんだけど…んで、vipからきますた!アハッ
じゃないの?
カスミが出てきたところからもう読んでないをんだけど

 

230 :
賛否両論、沢山の意見有難うございます。

確かに言われた通り…ここはオカルトを書く場所だと存じてます。

慎二とカスミの恋愛官能を書く場所では無いと、お叱りになる方がいらっしゃるのも、ごもっともです。
ですが、間違いなく異世界記です…内容にそぐわない脱線した話もしました…
それでも、ちゃんと私の知る全てを書き切ります。
大した文才は有りませんが、最初に申し上げました通り…興味の続く限り…お付き合い下さい。

わがまま言ってしまい申しわけ御座いません。

 

231 :
>>230
いや、それでいいよ
ここまできたら書ききってしまいましょ
じっくりねっぷり頼みます

 

232 :
>>230
おぅ!応援してるよ!

 

234 :
有難うございます。
脱線した話も有りますが、ちゃんと書いていきます。

 

235 :
だなwww
ここんとこスマホ開けば必ずこのスレチェックしちまう
雑音気にせず全てをしっかり書いてってくれ
応援してるぞ!

 

236 :
ですが、沢山の方が見るのも事実ですので、今書き上がってるところ以降は、その辺も考慮しつつ…3人の関係性や感情もしっかり伝えていけるよう努力します。
因みに書き上がってるところと言っても、あと2~3話です。
今日はそこまで張り付けていきます。
もう少し脱線全開ですが、お付き合い下さい。

 

237 :
朝食?…もう昼食か…遅めの昼食…二人で仲良く用意した…
その最中私のお腹が鳴った…二人で笑っていた。
特に大したことない事でも笑っていた…本当に幸せな時間…もう帰れなくてもいいんじゃないか?…と…その時本心で思っていた…
二人でご飯を食べている時、不意に彼女が言った…
カスミ「…このまま…でもいいかも…」
私「えっ!?」
カスミ「…このまま…一緒にいられるなら…このままでもいいかな?って…アハッ!何言ってんだろ…ね…」
本当はさっき同じこと考えていたが…
私「…駄目だよ…約束したし…ハシゴするんでしょ?それに戻ったって、一緒にいるよ!」
カスミ「…そうだよね!アハッ!」
私「うん…どこにいたって、一緒だよ!」

 

238 :
…何故…この時、彼女の意見を…私自身が感じたことを…通さなかったんだろう…
何故、あの世界にとどまる選択肢を選ばなかったんだろう…
何故…戻ってきてしまったんだろう…
 

239 :
カスミ「慎二!大好きだよ!」
そう言ってキスした…
カスミ「…また…繋がりたい…」
私「…うん…」
それから、また…何度も何度も重なりあった…
お互いの吐息…肌の温もり…細胞の一つ一つさえ繋がってしまえばいいのに…と…朝まで何度も…幸せだった…
次の日は…体中ダルかった…起き上がれないほどに…
彼女も同じように起き上がらなかった…
カスミ「明日には、健吾さん帰ってくるよね。」
私「うん…」
カスミ「…健吾さんと一緒に…頑張って私を連れて帰ってね?」
私「もちろんだよ…」
カスミ「そしたら、色んな所に行こ!?」
私「そうだね!」
カスミ「慎二は、元の世界に戻れたらどこに行きたい?」
彼女の質問に戸惑った…戻りたい、戻りたいと願っていたのに…元の世界に行きたい場所が見つからない…
カスミ「慎二?」
私「ん?…あぁ…そうだなぁ…カスミはどこに行きたい?」
カスミ「え~?私が聞いてるのに~…もう!…そうだなぁ…」
彼女も悩んでいる様子…
前日、私と彼女が思ったことを考えていた…
カスミ「私は…どこでもいいかな…慎二と二人でいられれば…」
私「…僕も…」
私達のどこでもいいと言うのは、きっとこの世界でもいいという意味があったのだろう…そのまま疲れて二人とも眠りに着いた…

 

240 :
夕方には、二人でそろそろと起き上がり健吾さんの帰宅に備えて準備した…
(健吾さん…無事かな?何もなければいいけど…)カスミは、晩御飯の準備中…一応健吾さんの分も用意している。
私は、私なりに色々な事を考えてみた…
この世界に来た時のこと…(どうやって来た?)
この世界に存在する奴等…(本当に別の進化を辿った人間に近い生物なのか?)
奴等の街にある建物の材質…(鉄なのか?なんていう金属なんだ?)
この世界の植物…(似ているのに大して毒が無い?外敵が少ない?何故?)
森で拾った刃物…(いったい何者が、なんの目的で?)
カスミに出会ったとき…(ミズキさんは来れなくて、カスミは来れた…何故)
本当に沢山の事をあれこれ考えてた…日も沈み晩御飯の用意も終わった頃…

 

252 :
家の外で物音が聞こえた…私もカスミも健吾さんだと直感し、笑顔で入り口の方へ視線を向けた。
…扉が開くと間違いなく健吾さんがいた…
私、カスミ「おかえりなさい!」
健吾「ただいま!」
この世界では、常識が常識として扱われない…ほんの数時間だろうと、互いの存在が見えない所にいると不安に感じる…
それは私達が奴等の存在に危機するものを感じていたからなのか…あるいは自分達しかいない世界だからなのか…
いつからか、その2つの感情が入り交じった不安を常に心のどこかに持っていた…
私「どうでした?色々調べられました?」
健吾「うん…とりあえず、二人にお土産があるんだ!」
そう言って、私達にゴミ捨て場で調達してきたものを見せた。
半透明の硬くて軽い板が5枚…そこそこの大きさである…それから、小さな子供が砂場で使う玩具のスコップに似たモノ(スコップの先がフォークの先のように割れているもの)…布に麻袋…健吾さんが研究に使えそうな道具など…あと…私とカスミが見つけた刃物…
私、カスミ「コレって!?」
健吾「あぁ…この刃物も奴等のゴミ捨て場にあった…」
私「じゃあコレが森の中にあったってことは…」
健吾「詳しく調べてみる必要があるね…」
「とりあえず、私が調べたことなど、食事をいただきながら話そうかな?」

 

253 :
カスミが、テーブルに食事を並べ3人で食べ始めようとした時…
カスミ「健吾さん!プレゼントがあるんです!」
健吾「ん?プレゼント?何かな?」
嬉しそうにカスミを見た…私に渡した時のように、布に包まれたソレを健吾さんに渡した…
健吾「開けてみても?」
カスミ「どうぞ!私が作ったから、ちょっぴり使いにくいかもしれませんけど…」
健吾さんは布を開いて、少し嬉しそうに微笑んで言った…
健吾「有難う…大切に使うよ…」
…涙ぐんで、お箸の自分のイニシャルが刻まれた部分を指で撫でていた…
カスミ「じゃあ!皆自分のお箸を持ってご飯にしよー!」
3人とも嬉しそうに食事し出したら。
健吾「さて…どこから話そう…まず、奴等が森に入って来ない理由は、ほぼ間違いなくあの粒のせいだと思う…」
健吾さんは食事中のカスミに気を使い細かい描写は除いて説明を始めた…
「帰り道でその粒を撒く植物も分かったよ…それは間違いなくキノコの一種だ…」
「見たことの無い形状だから確定は出来ないが…今まで私達は元の世界にあった植物に酷似したモノから調べていたせいか、粒を見ても分からなかったんだろう…」
「あの粒が、そのキノコの胞子なのか、外敵への攻撃なのかも詳しく調べる必要がある…」
「それから、あの刃物…さっき慎二が言ったように、あれが本当に奴等のモノであるならば、森の中で見つけた事からも、奴等は森に入って来れる…もしくは入って来れていた次期があった…」
「森で生活していたが、キノコを避けるために森を出た…と仮定するか…」
「森では生活していないが、あの刃物を用いて、森の中に狩に来ていたがその中で死んでいくモノが現れたから森に入る事を止めたのか…」
「とにかく、明日からキノコの事を前の家で調べることにするよ…」
私「えっ?ここで調べないんですか?」

 

254 :
健吾「100%私達に害が無いと決まった訳では無いし、仮にも生物を死滅させる粒を持つモノをここでは調べられないよ。」
健吾さんはまた私達の事を考えて行動してくれていた…
健吾「しかし研究はあちらで、研究が終わったら帰宅という感じだし、この家からもそんなに離れていない。」
健吾「それから、私が持って帰って来た半透明の板あるだろ?」
私「はい!」
健吾「材質までは分からないが後で試したいことがあるんだ、慎二手伝ってくれるね?」
私「分かりました!」
健吾「…それはそうと、私が留守の間に何か変わったことは無かったかい?」
一瞬にして私もカスミもドキッとしたが…
私「特に…なにも…ね?」
…とカスミにふってみた…
カスミ「…はい!特に何も…」
健吾「そうか…何も…か…なら良かった。」
少し笑みを浮かべて納得した素振りを見せた…
健吾「さて!慎二、板を持って外に着いてきてくれるかな?」
そう言って、私が板を外に運び出したら健吾さんが火を起こしていた…

 

255 :
私「この板、どうするんですか?」
健吾「この火の上にかざしてみてくれないか?」
私「えっ?大丈夫なんですか?」
健吾「燃えちゃったら仕方ない…けど私の勘が当たっていれば…」
そう言って私が持つ板を、ゆっくり火の上にかざした…
私「燃えない?…何故?」
健吾「良かった!何となく使えそうな気がしたんだ…火にかざしたまま、石の上に固定して様子をみよう…」
私は頷き、健吾さんの指示通りに固定した。
健吾「…普段は勘とかで行動しないんだ…慎二…キミの影響かな…時には直感で行動することも必要な気がしてきた…」
火を見つめながら言った…

 

256 :
健吾「キミとカスミちゃんが上手くいっているのはわかる…二人とも前に進んでいるんだね…」
私は赤くなるのが自分でわかった…
健吾「この世界から戻れたら…二人の結婚式には呼んでくれよ?」
嬉しそうに話す健吾さん…だが少し寂しそうでもある…
健吾「キミは…私の自慢の息子だよ!」
私は泣き出しそうになった…もちろん嬉しくて…
健吾「…さて!そろそろかな?」
不意に立ち上がり、火にかざした板の上に川の水を垂らした…
ジュー…すぐに蒸発し、水蒸気になった…
健吾「よし!コレなら使えるね?」
私「え?」
健吾「おいおい!忘れちゃったのかい?お風呂!…作るんだろ?」
私はすっかり忘れたいた…
健吾「お風呂なんて作った事無いし、作ろうと思った事も無いが、水を含んだヒノキでも直接火にかければ傷んでくるだろうし…」
「この板は熱を通すから底板の下に引いて板の損傷を抑える物として使ってくれ…」
私「はい!有難うございます!」
健吾「良かった…」
私「えっ?」
健吾「もう迷いは少なくなったみたいだね…自信のある返事になったよ…私がいなかった間に大人になった…そんな感じかな…」
また私は赤くなった…
健吾「さて!迷いが無くなったキミは、充分に私のパートナーとして協力してほしい存在となった…」
「だから明日から頑張ってお風呂を作り、早く私の研究に協力できる環境をつくってくれよ?」
私「はい!急ピッチで完成させて必ず!!」
そう言って二人で家に戻り、全員で同じ屋根のした眠りについた…

 

260 :
次の日から作業を再開させた私は、健吾さんの研究の手伝いをしたい気持ちと、カスミが喜んでくれるであろうお風呂を早く完成させたい気持ちから、本当に急ピッチで作り上げていった…
もちろん休暇は休暇、食糧調達は食糧調達…としっかりメリハリをつけて…
健吾さんもそれは同じだ…休暇は釣りの練習をしたり、近くの草木を見て回ったりしていた…コレって研究か?と思って聞いた事もあるが…健吾さんはこう答えた…

 

261 :
健吾「これはね…研究…とも取れるかもしれないけど違うんだ…慎二は植物の事をどれくらい知ってる?」
私「食べれる…慣れると美味しい…毒があるものもある…」
健吾さんが笑った…
健吾「そっか…そうだよね…慎二の知っている事は全て表面的な事なんだよ…」
「もちろん私が知っている事も…人は会話することで、相手の気持ちや考えていることがわかる…そうやって内面を知り、信頼しあい…それを積み重ねて絆が生まれるんだ。」
「私はね…こうやって植物と会話して信頼関係を結んで…次の研究に繋げたいと思っている…」
植物との会話の意味がわからなかったが黙って聞いた…
健吾「人がモノマネをテレビなんかでやるようになって…まだいく年月も流れていない…しかし植物や昆虫…自然界には私達人間よりも遥か昔からモノマネをしているものもいるんだ…」
「何故人間と同じ星に生まれたのに、移動も出来ずにその場で綺麗な花を咲かせ散ってしまう…と言う進化の道を選んだのか?…何故毒を持ち身を守るのか?」
「私達人間も植物もこの世に存在する全てが平等に思うこと…種を守ることだよ…自分達を絶やさないこと…そのために植物達はこの進化を選んだんだろうけど…」
「だからね…私は休みの日でも、自分が研究に行き詰まったりすると…こうして草木に質問するんだ…何でその道をえらんだの?…ってね、長々と訳のわからない話をしてしまったね…さて、明日からも頑張るか!」
…そんな会話を覚えてる…

 

262 :
10日目の昼!ようやく完成した!
見た目は悪いが私には「うん!完璧!!」な仕上がり…
嬉しくて、カスミと健吾さんを呼んで御披露目!!
二人とも喜んで褒めてくれた…健吾さんはお風呂の完成を見てから直ぐに研究に戻ったが、私とカスミは興奮でお湯も張っていない浴槽の中に入ってみたりはしゃいでいた…
カスミ「ねぇ!!水溜めてお湯沸かしてみようよ!」
私もカスミも必死に川から水を運んだ…中々大変な作業…キッチリ合わせたはずの継ぎ目からは少しずつ水も溢れていた…が、私とカスミが水を溜める速度の方が勝って、出来上がったお風呂の半分より少し上まで来た!
私「よし!やった!!」
私もカスミも息絶え絶えになりながら興奮していた。
私「火を着けよう!」
そう言って、お風呂に一歩近付いた瞬間だった!
メキメキメキっ!!
カスミ「あぶない!!」
バキーっ!!バシャーーン…
強度をちゃんと考えれていなかったために、水圧に耐えれず崩壊…怪我は無かったが…正直かなり落胆した…

 

263 :
夕方、健吾さんが帰って来てその事を話した…
健吾「そうか…残念だったね…でも失敗があるから成功するんだよ…今日作ったお風呂の事も考えて、また作り直せばいいさ!」
「調度私も研究が行き詰まってしまったし、気分転換に明日から慎二!キミの助手として作業を手伝うよ!」
健吾さんも一緒に作ってくれる?私はこれ以上無い頼もしい助っ人の登場にやる気を取り戻していた。
次の日から、構造や強度を含め色々なことを失敗を踏まえた上で考え直した…
更に2週間ほどかけて…二代目が出来上がった!

 

264 :
今度のは、側面を二層にし、板と板の間に布を挟み(コレは内板から漏れ出た水を吸い膨張することで水漏れを抑制するために)、外板の側面には太めの木を縦にあてがって強度を高め…
ソレでも尚も染みでる水が火を消してしまわないように底の方に溝をつけて火より離れた場所に流れていくように…結果は…成功!
カスミ「凄い!露天風呂だ!本当に凄いよ!」
私「健吾さん…」
私が有難うと言うのをさえぎるように健吾さんが言った…
健吾「慎二!有難う!良くやったね!」
…素直に嬉しかった…それから皆で川の水を汲み浴槽内に8割位まで溜めてみた…
水漏れは?…染み出てきてはいるが問題無さそう…
強度は?…手で押したり引いたりしてみた…問題無さそう…
健吾「どうやら大丈夫そうだね!火を着けてみよう!」
そう言って火を着けた…底板の下に引いている半透明の板を熱して浴槽内に熱が伝わる…
どのくらい時間が立っただろう…カスミはその間畑の様子をみたり、薪を足して火力を上げたり…
何時間?かして日が沈みかける頃…
3人ともほぼ同時にソレを確認した…

 

265 :
私「湯気?…」
カスミ「ほんと…湯気だ…」
健吾「うん…」
3人とも大はしゃぎ!もう誰彼問わず、湯船に近付きお湯を触った…温かい…
私「ほんとに…今度こそほんとに出来た…」
3人で喜びを噛み締めた!
健吾「じゃあ早速!レディーファーストでカスミちゃん!久しぶりの温かいお風呂…どうぞ!!」
カスミ「えっ!でも…作ったのは二人なのに…」
私「いいから、いいから!」
健吾も頷いた。
カスミ「じゃあ…お先にいただきます…アハッ!」
何だか嬉しそうにしている彼女を見て、私も嬉しかった…長かった疲れも忘れるほど…
健吾「そうだ!このお風呂は薪で沸かしているんだから…火加減の調節役が必要だね…」
いたずらに問いかける健吾さん…
健吾「慎二!カスミちゃんが火傷しないようにちゃんと火加減調節してあげてね。」
私もカスミも照れていた…
そんな二人を笑顔で見て健吾さんは家に戻った…
二人になると照れ臭かったがカスミが口を開いた…
カスミ「…じゃあ…火加減お願いね…アハッ!」
私は火加減に集中することにした…
カスミ「…あったか~い…露天風呂なんて…贅沢だね…」
私「熱くない?大丈夫?」
カスミ「うん!最高!…慎二…」
私「んっ?」
カスミ「有難うね!大好きだよ!」
私「どういたしまして…」
そう言って一時二人で空を見上げながら話した…

 

266 :
カスミ「そろそろ出よ…のぼせちゃった…」
久々の湯船に長く浸かりすぎたようだ…立ち上がって出ようとしたカスミがよろける!
私「あぶない!」
すかさず支えた…
カスミ「ごめん…大丈夫…ほんとにのぼせちゃった…アハッ!」
そう言ってキスしてきた。
とりあえず服を着せ川の風にあたらせた…だけど今度は冷えて風邪ひくといけないので、それもそこそこに家に戻った。
健吾「どうだった?」
カスミ「最高です!長湯してのぼせちゃいました!アハッ!」
健吾「そうか!それは良かった!」
私「次は健吾さん!どうぞ!」
健吾「えっ?私かい?」
私「はい!レディーファーストの次は年功序列です。」
そう言って笑った。
健吾「じゃあ…お言葉に甘えて…」
そう言って外に出た、火加減の調節はもちろん私だ…
健吾「…あ~…」
本当にイメージ通りのあ~…だった。
健吾「本当に…最高だ…有難う…」
私「いえ、僕は何も…」
健吾「何もしてなくないよ…」
私は黙ったままだが、感謝されていることに喜びを感じていた。

 

267 :
健吾「ここに来たばかりのとき…私には絶望しか見いだせなかった…何もかもが終わった…そう思い生きることまで諦めかけていた…」
「手帳には書いていないが、毎日妻の夢を見た…妻は何も言わないが、私はこの世界の事を話した…絶望しか見いだせず生きる事をやめてお前のそばに行きたい…」
「そう言うと、妻は決まって怒った表情を見せ、私をこの世界に戻すかのように起こした…目を覚ましても妻は当然いなく…やはり絶望しか見えない…」
「森の外には得体の知れない生物がいる…死ぬことも許されないのか?…と悲観的になっていた…どうすればいい?…どうすれば夢の中の紗世は笑ってくれる?…答えを探して研究に没頭した…」
「そうしている内に…キミが来たんだ…何も無かった世界を変えてくれる…人生で初めてかもしれない…直感でそう思った…」
「私の直感もすてたもんじゃない…キミを助けてから…キミを知り…キミを守ってあげたいと思うようになった頃も…妻は夢の中に出てきた…だが私がこの世界にいても楽しそうに話をするようになった…」
「以前見ていた夢と違い妻は笑顔で話を聞いてくれたよ…そうしてカスミちゃんが来た…夢の中で妻が初めて話した…もう大丈夫ね…頑張って…と…」
いつの間にか私も健吾さんも涙を流していた…
健吾「さて…私もそろそろ…のぼせてしまうね…ははっ」
そう言って家に戻った…

 

288 :
家に入ると、カスミが出迎えてくれた。
カスミ「どうでした?」
嬉しそうに健吾さんに問いかける…
健吾「最高だよ!もとの世界でも味わったこと無いほど!」
カスミ「ですよね!ですよね!次は慎二の番だね!」
私「うん!でも火加減の調節はしなくて大丈夫だよ?二人とも湯上がりだし風邪ひくといけないから…もう薪は足さなくても、僕一人が入る間なら温度もそんなに変わらないだろうし…」
カスミ「…そう?」
私「うん!二人とも先寝てていいよ!健吾さんも!気を使わずに先に寝ててくださいね!」
健吾「わかったよ!今日は本当に有難う!明日から、またたのむよ!」
私「はい!おやすみなさい。」
健吾、カスミ「おやすみ。」
そう言って、私は一人お風呂に向かった…
私「…あ~…」
健吾さんと同じように溜め息混じりで湯船に浸かった…
同じような声が出たことに一人で笑ってしまった…
そうして、空を見上げながら考えた…
さっき健吾さんが話してくれたこと…私はこれからどうしたいのか…カスミはどうしてほしいのか…
随分な時間、久しぶりの心地よさに時が経つのを忘れて空を見上げていた…不意に後ろに気配を感じて振り向いた…ソコにはカスミが立っていた。
私「まだ寝てなかったの?」
カスミ「うん…一人じゃ中々寝付けなくて…それに遅いし…」
私「あれ?そんなに長く入ってた?」
カスミ「うん…だって…」
と言いながら近づいて来て湯船のお湯を触る…
カスミ「ほらっ!こんなにぬるくなってる!風邪ひくよ?」
ふと大切なモノを思い出した気がした…
カスミ「ほらっ!あがって!一緒に寝よ?」
私「…うん…」
その夜、懐かしい夢を見た…とても昔の夢…

 

289 :
…母「ほらっ!いつまでお風呂で遊んでるの?」
私「まだ遊ぶ~!」
母「ほらっ!こんなにぬるくなってる!風邪ひくといけないから上がりなさい!」
…どうやら幼い頃、母に起こられている記憶らしい…そう言えばこんなだったっけ…
そこから夢は違う映像を見せた…
事故の日の朝だ…
母「慎二~!用意出来た?」
私「うん!すぐ行く!」
そう言って机の中に何かを隠している…何かはわからない…でも大切なモノだった気がする…
夢は更に事故の直前まで飛んだ…あの秋流行っていた大好きな曲を聴きながら車に揺られる私…そして事故に…
そこで目が覚めた…どうやら魘されていたらしい…カスミが心配そうに覗き込んできた…
カスミ「大丈夫?」
私「ああ…少し夢を見たんだ…」
カスミ「どんな?」
私「幼い頃…今日のカスミと同じように僕を叱る母と…事故の日の夢…」
まだ日も昇っていない夜中に私は、夢の内容…それから健吾さんがお風呂で話してくれた事…その前に健吾さんに、元の世界に戻れたら二人の結婚式に呼んでほしいと言われたこと…
夢を見た事がきっかけかダムが決壊し水が溢れ出すように、ひたすら話す私に、眠いであろうカスミは何も言わず私の話を真剣に聞いていた…
カスミ「やっぱり帰ろうね!元の世界!結婚式に健吾さんを呼ぶ約束しちゃったし、慎二が夢の中で見た大切なモノが何なのか私も気になるし…」
「それに私と同じように怒る慎二のお母さんにも会いたいもん!…ね?」
私は幸福者だ…
私「うん!…きっと気が合うよ…」
母を思い出しながら、少し涙が出た…まだ明けきっていない外の薄暗さを感じながら二人でもう一度眠りに着いた…

 

309 :
翌日…健吾さんと一緒に前の家に向かった…
健吾「さて…どうなっているかな?その前に慎二、コレを…」
健吾さんは布を渡してきた…
私「コレは?」
健吾「これからは、この家を研究室と呼ぶ。常に緊張感を持って細心の注意を払って行動するんだ。」
「この布は私が見つけた中でもキメの細かい布だ…それを三つ折りにして、口と鼻を覆うように着けるんだ。」
私は指示通りに口と鼻を覆うようにその布を装着した。
健吾「これより殺生物キノコの研究をとりおこなう。宜しくお願いします。」
私「宜しくお願いします。」
健吾さんの殺生物キノコと言う呼び名にも、いつもと違う口調からも…私はこれから入る場所は危険なモノがあるんだ…と緊張した。
健吾「…ん~…これはどうしたものか…」

 

310 :
前の家の中には所々に黒い塊が…
健吾「うん…これが殺生物キノコだ…キノコは植物では無く、分かりやすく言えば植物と共存する菌、すなわち生物に部類される…」
「私は私なりにできる環境を再現してみたつもりだった…そうして、どのようにキノコが増え、広がるのか調べたかったんだ…」
「しかし失敗だ…菌糸すら残っていないようだし…研究室で殖やすことが出来ないとなると…大変だな…」
私「何故、研究室で殖やせないと大変なんですか?」
健吾「研究には沢山の同種が必要になるし、あの粒が何で?どんなときに奴等の体に入ったか?…それを調べる為にはとにかく数が必要なんだよ…」
「それを殖やすことが出来ないとなると…必然的にこの森の中全体をあちこちに歩き回り調べる必要がある…その都度その場でデータを追加修正して…と大変さは伝わったかな?」
私「はい…」
健吾さんも私も考え込んだ…

 

311 :
私「あの~…それこそ直感で調べたりって出来ないんですか?」
健吾「直感で?」
私「はい…僕には化学者や、学者さんがどうあるべきか分かりません。」
「ですが、この物の無い世界で、健吾さんのようにちゃんとした研究なんて出来ないような気がするんです…」
「偉そうなこと言ってスミマセン。でも、健吾さんの知識でこのキノコはこの形状で、ここに粒があるからこうしてみたら?…とか…勘と知識で何とかなったりしませんか?」
健吾さんは黙って考え込んだ…
健吾「全く…キミには驚かされる…私は少し固く考え過ぎていた…」
何かが吹っ切れたように健吾さんが続けた…
健吾「そうしよう…そもそも常識を元に考えたって仕方の無いことだったんだ…こんなデタラメな世界なんだから…」
「やはり、キミに助手をしてもらう選択に間違いはなかったようだ!」
嬉しそうに言った…
それから数日間、毎日日が傾き暗くなるまで森の中を歩き回ってキノコを見付けては、粒を採取したり、キノコにストレスをあたえてみたり(詳しく書くと塩水をかけてみたり…傘の一部にダメージを与えてみたり…)…
本当にどこにいても、小学生にでも出来そうな実験…イタズラ?を繰り返した…
しかし、どれも失敗…どんな事をしてもキノコは黒く変色して枯れる?死滅する?のみ…酷い物は触っただけで数分後には黒く萎んでいるモノも…
私「やっぱり勘では何も見つけられないですね…」
そんな中で健吾さんだけは違う見方をして…ある仮定を導きだした…

 

312 :
健吾「…ひょっとしたら…キミの勘は当たっているのかもしれない…断定は出来ないが…」
(全部枯れただけなのに何が分かったんだろう…)私は疑問だらけだった…
健吾「おかしいと思わないかい?こんなにも弱い個体が、どうして絶滅せずにこんなにも広範囲に分布しているのか?」
「このキノコの進化課程において、耐久性は全く無視した進化をとげたとしか思えない…」
「だが絶滅しない…その為の進化…答は…他の外敵、生物を絶滅させる!」
「このキノコは他の生物に食べてもらうことで、体内に入りその生物から養分を奪い死滅させ、その養分で繁殖成長して…成長したキノコは同じことを繰り返す…やがて生物は全滅…」
「この森に魚以外の動物が少ないのはそのせい…と仮定すれば納得できる…他の生物より知能の発達した、奴等は間違ってこのキノコを食べてしまわないように森を出た…」
「だが…それだけでは、奴等が森に入って来ない完璧な理由にはならない…食べなければいいだけなのだから…」
「このキノコには他の生物が食べたくなる何かがある…この世界に居なかった私達には感じない何かが…」
「鼻の無い奴等が匂いに誘われて…とは考えにくい…形もキノコそのものだし、それだけでは自分達を選んで食べさせる…という事には繋げにくい…」
「色で誘っていると考えるのも森には同じ色の植物や、キノコは沢山ある…他に何か…このキノコ特有の進化…誘う為の進化…」
私「フェロモン…とか…」
それこそ適当に言った私の一言だった…
健吾「そうか…それなら鼻の無い奴等にも、匂い以外の何かしらの方法で伝達物質が働きかけ…全ての仮定に繋がるね…

 

314 :
健吾「詳しい成分など、調べるすべが無い今、自分達がたてた仮定が正しいか間違っているか…調べる方法は1つ…」
「奴等の街に、このキノコともう1つこのキノコに似たキノコを仕掛ける」
「このキノコから、何らかのフェロモンの一種が出ているなら…このキノコを食べるはずだ。」
…でもそれは同時に奴等の命を奪うという行為でもある…
しかし、その時の私は理解していながら残酷性を感じなかった…
私の中で自分達の命が優先されていたのだろう…

 

315 :
健吾「以前、ゴミ捨て場の近くでキミとカスミちゃんが見つけた奴等の死骸には、胃の付近に粒が残っていた…胃液にも負けない粒だ…私達が荒らしたキノコもきっと…」
そう言って、近くの枝を拾い黒く変色したキノコをその枝で裂いた…
健吾「やはり…時間が経過しても粒は変色していない…コレでさらに確率は上がった…」
そう言って、その日はそれで研究を終え帰宅…翌日、自分達のたてた仮定が正しいかどうかの検証にとりかかることにした…
奴等の街の一番近くの木の根にキノコを仕掛ける…
これまで特に危険な行為を避けるように行動してきた私達は、この危険な実験に緊張を抱いた…

 

316 :
もちろんカスミに全容を話したし、夜には入念に作戦会議もした。
キノコは触れてから、すぐに萎んでしまう…夜のうちに仕掛けられれば幾分か安全だろうが、それではキノコが変色して死滅してしまう…
決行は奴等の行動していることの確認がとれている昼…
健吾「この検証実験はかなり危険だ…キノコを仕掛けるのは私、慎二は奴等の動向を確認しいざと言うときは合図して、互いに自分の事を考え別々に逃げる!」
私「キノコを仕掛けるのは僕がやります。」
健吾「それは駄目だ!」
私「僕の方が若く身軽に動けます!奴等の動向を確認し合図するには、冷静な判断と指示能力が必要です…この考えは譲れません!」
カスミは不安そうにしていたが、私はこの方法が一番良いと考えた…それに絶対失敗しない自信があった…
健吾「…分かった…必ず指示通りに動き無理はしない…約束できるね?」
私「はい!」
健吾「…出発は早朝!まず奴等の街の一番近くに生えるキノコの場所を確認し、そこから奴等の街への距離、どの位置で合図すれば見えるか?どの場所に仕掛けるか?」
「また、それぞれの合図をどのタイミングで出すか?…まずはそれから始めよう…」
「カスミちゃん…慎二は…」
言いかけた健吾さんにカスミも口を開いた…
カスミ「慎二は大丈夫です。信じてますから…健吾さんも無事に帰ってきて下さい」
健吾「もちろんだよ。すまないね…」
そう言って私達は翌日に備え就寝した。
夜中にカスミが泣いている事に気付いて目が覚めた…
私「大丈夫!必ず帰って来るから…心配しないで…ね?」
カスミ「…うん…泣いたりして…ごめんなさい…」
二人とも不安だった…言葉では大丈夫とか信じてると言っても…互いの存在が大切だからこそ不安は消えなかった…
互いに抱き合いながら眠った…

 

317 :
おいおい先住民殺しちゃうのかよ

 

318 :
朝…まだ日が昇りきる前に私と健吾さんは出発した…
健吾「必ず、帰ってこような!」
私「はい!」
道中、作戦の再確認と頭の中でのシミュレーションを入念に繰り返した…
いつも感じる危機感よりも、更に緊張していた…
奴等の街に近付いた頃、二人とも無言で互いにそれぞれの事を考えていた。
ほどなくして、健吾さんが口を開いた…
健吾「この辺でキノコを探そう…この距離ならキノコが変色する前に仕掛けられるし、合図も届く…分かっているとは思うが慎二…くれ…」
健吾さんが全て言いきる前に私も言葉を返した。
私「大丈夫です!無茶はしません!作戦も頭に入っていますし、シミュレーションも何度もしました。」
健吾「ならいいんだが…危険な役目をキミに任せてしまい申し訳ない…」
私「気にしないで下さい!僕が考えて出した役割です…逆にそれを許可してくれたこと感謝しています。」
健吾「…本当に…キミはどんどん成長している…私から見ても頼りになる大人になったね…」
そうこうしている間に二種類のキノコを発見した…

 

319 :
健吾「じゃあ、この位置から真っ直ぐ奴等の街の方がわかるね?」
私「はい!」
健吾「あそこに、大きな木があるだろう?」
健吾さんの指す先に立派な針葉樹が見えた…
私「はい」
健吾「私が先にあの場所に行き奴等の街の様子を伺う…キノコを仕掛ける木々の方に歩く奴等を確認したら合図する!」
「そうしたら、キミはキノコを取り全力で街に向かい街と木々の隣接している地点に素早く仕掛けるんだ…いいね」
私「はい!」
健吾「健闘を祈るよ。」
私「健吾さんも!必ず一緒に帰りましょうね!」
健吾「ああ!もちろんだよ!」
そう言って健吾さんは木のある方へ歩いて行った…

 

320 :
このとき私は何を考えていただろう…作戦のこと?健吾さんのこと?カスミのこと?
…ハッキリとは思い出せない…ただ辺りがやけに静かで…カスミに告白したときのように、自分の心音だけが頭の中を五月蝿いほどに響いていた事はハッキリ覚えている。
健吾さんに、動きはない…そのまま幾分か過ぎた時、健吾さんが此方を向いて右手を上げた…用意の合図…あの手が下に下げられたら、私は街に向かい全力で走る…
あの手が左右に振られたら、次のチャンスを待つ…
合図は…どっちだ…?
健吾さんの手が降り下ろされた!!
キノコを手に取り全力で街に向かった!!
健吾さんは中止の合図を出していない!

 

321 :
私は、街と森の境目に差し掛かり素早く一番外側に生える木に用意したキノコを置いた…
しかし次の瞬間予想していなかった出来事を目の当たりにした…
(キノコが変色してきている…早すぎる…個体により多少の差はあるにしても…)私はその出来事に、一瞬混乱し健吾さんの出す、中止の合図に気づけなかった…
奴等はすぐ後ろの建物の陰まで来ている…不意に大きな声で健吾さんが叫んだ!
健吾「慎二!!逃げろーっ!!」
我に返った私は、間一髪奴等に気付かれることなく森に逃げ込んだ!
健吾「何しているんだ!!こっちにこい!!」
そう言って健吾さんは私を呼んで二人で身を隠し様子を伺った…

 

322 :
私「すみません…キノコが…変色しかけていて…それで混乱して…」
健吾「言い訳はいい!…本当に…無事で良かった…」
健吾さんに申し訳ないと思う気持ちが無かった訳では無い…
ただ…あのキノコがどうなるのか…それが気になってしまった…
キノコの方を見ると…奴等の一人が変色しかけていたのに気にせず食べ出した…
私「健吾さん!食べた!食べましたよ!」
健吾「本当だ…ということは、死滅しても食べるのか?しかしフェロモンの一種なら死滅したあとでも、あのキノコからで続けているのか?」
「それともまだ完全に死滅していなかったから食べたのか?とにかく様子を見よう…」
私も健吾さんも、キノコを食べた奴の動向に集中し観察した…
その横に置いたもう1つのキノコには手をつけず見向きもしなかった…やはりあのキノコが誘っているのに間違い無さそうだ…
キノコそのもの食べた奴は200メートルも進まないうちに変化が見られた…
健吾「あれは…」

 

323 :
奴は急に建物にぶつかったり、涎を垂れ流したり?モノを投げつけたりしだした…
健吾「…麻薬…あのキノコには麻薬のような幻覚を見せる成分が含まれているのか…」
「危険なモノと知りながら、手の届く所にあると食べてしまう…そういうことか…」
健吾さんが納得した瞬間…
私は全身が氷付いた…さっき私達の声に反応したのか別の奴が健吾さんのすぐ後ろに迫って来ていた…
とっさに私は健吾さんの腕を引き走り出した…
かなり森の奥まで逃げた頃、後ろで健吾さんの声がした…
健吾「もう大丈夫…追って来ない…助かったよ…有難う…」
そう言う健吾さんを見て驚愕した…
肩から背中にかけて裂けてあり得ないほど、出血している…
私「健吾さん!」
健吾「…少し…やられたみたいだ…キミに手を引っ張ってもらってなかったら、あの時私は死んでいたよ…」
私はどうしていいかわからなくなっていた…

 

324 :
健吾「とりあえず…出血を止めないと…何かの菌をもっているかもしれないし…川の水で流して…薬草を…それから布で圧迫しけつ…」
私「健吾さん!イヤだ!健吾さん!」
泣いている場合じゃない!健吾さんの行った通りにしないと!
そう思い、意識を失った健吾さんを担ぎ上げ、すぐ近くの川に行きキズの周りの血を洗い流して薬草を探した…
薬草を探しながら…(イヤだ!絶対死なせない!助けるんだ!3人で帰るんだ!)そんなことを重複して考えていた…
(こんな時に何で見つからないんだよ!何でだ!)涙で視界が霞んだが必死に探し回り、ようやく見つけたときには、少し日が傾いていた…
とにかく健吾さんに薬草を!と急いだ!

 

325 :
健吾さんは!?
まだ大丈夫…意識は失ったままだが息をしている…
薬草を磨り潰してキズ口に塗った…
更に布で圧迫するようにきつく縛り付けた…
健吾「くっ!うあああっ!」
圧迫したことにより痛みで目を覚ました…
私「健吾さん!良かった…気が付いたんですね…」
健吾「うっ…すまない…この手当てできたキミが?…」
私「はい!意識を失う前に健吾さんが言った通りにしました。」
健吾「そう…か…」
かなり苦しそう…
健吾「慎二…すまないが先に帰ってくれないか?」
私「無理です!置いてはいけません…」
健吾「カスミちゃんが心配するで彼女の事だ…心配して一人で森に出ないとも限らない…」
私「でも…」

 

326 :
健吾「誰も見捨てろと言っているんじゃない…少しづつ後を追うから、先に帰ってカスミちゃんに無事を伝えてから迎えにきてくれればいい…」
私「…やっぱり出来ません!」
健吾「慎二!キミはカスミちゃんを守るんだ!」
私「だったら…だったら僕が健吾さんをおぶって連れて帰ります!」
健吾「無理だ!ここからだとまだ距離がありすぎる…山道を大人の男をおぶって歩くなんて不可能なんだよ…頼む…理解するんだ…」
私「嫌です!」
そう言って無理矢理、健吾さんをおぶった…
私「必ず、連れて帰ります…必ず…」
健吾さんの抵抗を無視して進んだ…

 

327 :
やっぱ面白いな
なにで斬られたんだろ
外見をメトロイドの宇宙海賊みたいなイメージしてたから腕かと思ったけど普通に考えたら武器か

 

334 :
どれ程の時間、森の中を歩いただろう…
健吾さんの言っていたことは間違いじゃなかった…こんな足場の不安定な道を、栄養が足りなくて痩せた人間といえどおぶって何時間も歩くなんて不可能なんだ…
おぶっている健吾さんは…意識を失ったのか眠っているのか…
そんなこと考える余裕すら無く…私は自身の朦朧とする意識の中、一歩…また一歩…足を前に進めた…
足元はおぼつかず…汗と涙…更には涎を垂れ流しフラフラと歩いていた…
いつ…終わるんだろう…このまま家にたどり着くことはないんじゃないのか…体が…ダルい…このまま眠りたい…
意識を失う寸前に幻を見た…ひょっとしたら意識を失っていたのかもしれない…
遠くにカスミが見えた…健吾さんもいる…母も父も…私は皆の所に歩みよる…もう少しの所で声が聞こえた!
「慎二!!」
…カ…スミ…?…私は意識を完全に失った…

 

335 :
気が付くと見覚えのある場所にいた…
自分の作ったベッドの上だ…
カスミ「慎二!気が付いたの?」
そこには涙でぐちゃぐちゃになった顔に、満面の笑顔で喜ぶ彼女がいた…
私「ここ…」
カスミ「二人があんまりにも帰って来ないから、外に様子を見に出たら、川の向こう側から歩いてくる姿が見えて…」
嗚咽混じりに話す彼女…
カスミ「嬉しくて慌てて近くにかけよったら慎二が健吾さんをおぶってて…」
私「健吾さん!健吾さんは!?」
カスミ「落ち着いて!凄い怪我と出血だけど今は隣の私の部屋に横に寝かせてる…痛みで魘されてたけどさっき落ち着いたみたいで、今はぐっすり寝てる…」
私「そっか…良かった…でもどうやって…」
カスミ「だからね…私が外に出たら川の向こう側から慎二が健吾さんをおぶって歩いてきたの…」
「それで、近づいて声をかけたら慎二が倒れて、おぶさってる健吾さんの服は血まみれで…」
「慌てて二人を家に運んだの…」
私「カスミが!?」
カスミ「そうだよ!…火事場の馬鹿力…」
私「凄いね…有難う…痛ててっ…気付かないうちに、あちこちぶつけたみたいだ…全身痛いや…」
カスミ「…その…謝らないといけないことが…」
私「何?」
カスミ「健吾さんは何とか支えて家に入れたんだけど…健吾さんを運んで体力続かなくて…慎二は引きずって家に運んだし…途中何回もコケちゃって…」
「だから、その怪我…私がさせちゃったんだ…ホントにごめんなさい!!」
私「謝ることないよ…このくらい大したことないし!」
カスミ「でも良かった…二人とも帰って来てくれて…お帰りなさい!」
私「ただいま!」
…その後、二人で少し話しお互いの大切さ…お互いの気持ちを再認識しあった…

 

336 :
落ち着いた頃、二人で健吾さんの様子を見に行った。
眠っている…私も彼女もその日は健吾さんの近くを離れなかった…
いつの間にか眠ってしまったようだ…ふと健吾さんの魘される声に目を覚ました…
私「健吾さん!…大丈夫ですか?」
健吾「うぅっ…ここ…は…?」
私「家です…カスミが、健吾さんが良くなった時に健吾の布団が汚れるてるとイヤだろうからって、カスミの布団に寝かしたんです…」
健吾「そうか…慎二…良く家に着けたね…」
私「実は…僕も途中から記憶が無くて…」
…とたどり着けた経緯を話した…

 

338 :
健吾「そうか…苦労かけたね…」
私「いえ…無事でなによりです!!」
そうしていると、カスミも目を覚ました…
カスミ「あれっ?寝ちゃってた?…健吾さん!!気付いたんですね!…良かった~…」
そう言って彼女は涙を流した…
カスミ「二人とも…ホントに…お帰りなさい!」
健吾「ああ…ただいま…」
カスミ「何か食べないと…私用意してきます!」
そう言って嬉しそうに部屋を出て言った…
健吾「…慎二…今から私が話すことを、よく聞くんだ…」
私「はい」
そう言っておもむろに話し出した…
健吾「…どうやら…今回は持ちそうもない…」
私「そんな!?」
健吾「ちゃんと最後まで聞いてくれ…キズも深い…血も流しすぎた…」
「…奴等に見つかり、キミが私の手を引いて逃げる瞬間…奴は三股の銛を手にしていた…その銛の先端には…私達が見つけたあの刃物が付いていた…」
「…どうやら…奴等の武器のようだ…致命傷になる、すんでのところでキミが手を引き逃げてくれたから…今こうして話せている…」
私は涙を流しながらただただ話を聞いた…

 

339 :
健吾「何度も言ったが本当に感謝している…キミは本当に私の期待を良い意味で裏切ってくれた…もう立派に自立できる…」
私「無理です…僕もカスミも健吾さんがいないと…」
健吾「そんなことは無い…今回の研究も、キミの勘がこれだけ沢山の情報を得る事が出来たんだ…これからも自信を持って行動すれば良い…」
私「そんなこと無い!僕のせいで…僕が言うことを聞かなかったから…健吾さんに怪我をさせてしまった…」
健吾「私はそんな風に思っていない…私が…居なくなっても…キミが私の命を奪ったなんて思わないでくれ…」
「その逆だ…前にも言ったが…キミは私に生きる力を与えてくれた…闇の中から救ってくれた…本当だ!…有難う…」
「…私達は、忙しくて…カスミちゃんに大切なことをしてあげるのを忘れていたね…」
唐突な健吾さんの質問に私の頭はついていけなかった…
健吾「…新年を迎えている…この世界に来てから…年を越すというイベントすら忘れてしまったね…だから、今年からはカスミちゃんが与えてくれた日付をもっと有用にしてあげてくれ…」
私は、何でこんなときに…と思った…
健吾「いつか二人が元の世界に戻れたとき…時代においていかれないためにもね…」
そう言って少し微笑んだ…
「…出来ることなら私も…君たちの晴れ姿を…見たかった…子供も産まれるんだろうな…酒も…一緒に飲みたかったな…」
私「出来ますよ!諦めたりしないで下さい…結婚式…出席して下さいよ…もっともっと沢山の事を貴方から学びたいんです!」
健吾「…有難う…だが…もう私が教えられることなんて無いよ…キミは自慢の息子だ……少し…眠るよ…」
そう言って健吾さんは眠った…
私が泣き崩れていると部屋のドアが開いた…
カスミ「ごはんでき…た…」
私の泣き崩れる姿に彼女も悟ったんだろう…静かに私に近寄り私に抱き付いて…二人で泣いた…
それから数日…健吾さんは意識を戻すことは無かったがキズの痛みで苦しみながら息を引き取った…
2002年1月12日…とても寒い日の朝だった…
私も彼女もこの日を忘れることは無いだろう…

 

340 :
あと少し続きますが、最後まで宜しくお願い致します。

 

341 :
待ってますよ!

 

342 :
ただいまぁ~って・・・えええええ??? 
健吾さんが・・・物語の中盤でこの展開を予想してたけど 
いまはまさかっって感じです 
あれ?頬っぺたになんか汁が付いてる 吹かないと (/;´ヘ`)フキフキ 

 

344 :
健吾さんが無くなり…遺体は前の家の近くに埋葬した…
健吾さんの部屋の片付けをしようと部屋に入った…
特に物も無く部屋には生活感は全く無かった…
それが私とカスミに更に悲しみを与えた…
数日前までそこに確実にいた私達の信頼する大人…それを証明するものの影を二人で必死に探した…
カスミ「ねえ…これ…」
何かを見付けて彼女が言った…見るとそこには、手帳のページをちぎり折り畳まれた紙が三枚…
二人でゆっくり開いて見た…炭で書かれた読みにくい文字は、紛れもなく健吾さんのものだった…
一枚目「カスミちゃんへ…いつも美味しい食事を有難う。キミは紗世に似ているステキな女性だ…慎二のことを頼むよ!」
二枚目「慎二へ…本当に有難う!こんな世界に来たが私は幸せだった。キミのおかげだ…諦めるな!自分を信じろ!キミなら出来る!私の自慢の息子なんだから…」
私もカスミも号泣していた…
三枚目「親愛なる紗世へ…本当にすまなかった…沢山話したい事があるんだ…会いにいくよ…待っていてくれ。」
健吾さんは、自分にいつ何が起こっても良いように書いていたのだろう…
それから更に部屋を探した…インクの切れた万年筆と手帳を見つけた…万年筆は私が、手帳はカスミがそれぞれを形見として貰うことにした。

 

346 :
最初から見てたけどもう物語終盤ぽいね…
最後まで頑張って書いてね!

 

350 :
それからしばらく、私と彼女は二人で一緒に手帳を最初のページから読み出した…
私達の知る前の健吾さんが書き記したこと…
読み取れない程に状態は悪くなっていましたが、それでも所々に健吾さんらしい書き込みを見付けては、二人ではしゃぎました…
健吾さんが亡くなって一月が過ぎたころ…
カスミ「ねえ…慎二…私達もこのままここで終わっちゃうのかな…」
私「そんなことないよ!終わらせない!必ず戻ってカスミを幸せにする!健吾さんとも約束したんだ…」
カスミ「…うん」
私「前に進もう…健吾さんの為にも…悲しんでばかりはいられないよ。必ず幸せにするからね!」
カスミ「まぁ、今も幸せだけどね!アハッ!」
健吾さんが亡くなってから初めての彼女らしさだった…
それから、私は元の世界に戻る方法を考えた…
くる日もくる日も…何の糸口も答えも見いだせないまま月日は流れた…
季節は秋を迎えようとしていた…
カスミ「慎二!今日何の日か分かる?」
私「今日?…10月…何日だっけ?」
カスミ「もう!いつまでたっても日付感覚が身に付かないな~!!そんなことじゃ健吾さんに怒られるよ?」
確かに…と私が反省の表情を見せると、仕方無さそうに彼女が言った…

 

351 :
カスミ「10月10日!今日で私が慎二と出会って1年!!」
私「そうか…もう1年か…色々あったね…」
カスミ「うん…色々あった…」
私「もう忘れないよ…」
カスミ「えっ?」
私「10月10日は僕とカスミの記念日だ…これから先どんな事があっても一緒にいてほしい…僕と結婚して下さい!」
カスミ「…はい!」
本当に嬉しそうに涙ぐんだ彼女…
僕達はこの世界で結婚した…そして二人で健吾さんのお墓に報告に行った…
私「健吾さん!僕達…結婚します!…まだ帰れる方法は見つかっていません…」
「でも、この世界にいても元の世界に戻っても、カスミを幸せにする方法は見つかった気がします。」
そう言って二人で手を合わせた…
冬を迎え、12月31日…今日は大晦日だ…除夜の鐘も鳴らない…夜更かししてカウントダウンするにも時間がわからない…初詣する神社もない…
こんな世界だが、私とカスミは1年の最後の日をちゃんと意識して過ごした…
カスミ「もう新年かな?」
私「ん~…まだじゃないかな?」
カスミ「元の世界では、カウントダウンとかしてるのかな?」
私「してるんじゃない?」
カスミ「ねえ!しようよ!」
私「えっ?」
カスミ「カウントダウン!!」
私「えっ?だって時間なんて分からないよ?」
カスミ「いいじゃん!勝手に新年迎えちゃお!」
彼女のこういう明るいところに救われる気がした…

 

352 :
私「そうだね!しよう!カウントダウン!」
カスミ「じゃあ、10秒前からいくよ?せーの!!」
私、カスミ「10!…9!…8!…7!…」
二人で声を合わせてカウントダウン…よく考えると、この世界に来て初めてのちゃんとした年越しイベント…
私、カスミ「3!…2!…1!…」
私「あけまして…」カスミ「ハッピーニュー…」
声がズレた…笑いだす彼女…
カスミ「普通ハッピーニューイヤーじゃない?」
私「えっ?あけましておめでとうございます…でしょ?」
カスミ「え~!!言わないよ~…でも、とりあえず新年!…」
私、カスミ「あけましておめでとうございます。」
二人とも笑顔で新年を迎えた…

 

355 :
そうして、私達の2003年が始まった…
カスミ「初詣は出来なくても、初日の出は見れないかな?」
私「ん~…そうだね森の中じゃ日の出は難しいね…」
カスミ「そうだよね…」
悲しそうな彼女の顔を見て…何とかしてあげたかった…
私「…そうだ!来年!来年は必ず初日の出見よう!二人で!僕が見せてあげるよ!」
カスミ「…でも…ん~ん…分かった!約束だよ?」
私「もちろん!」
新年らしい事は特にない…毎日がただただ単調に過ぎていく日々が続いた…
畑にはカスミが愛情を込めて育てた植物が、私とカスミの命を繋ぐ為の実りをもたらしていた…
この世界の気候の安定性の良さのおかげか、それとも本来からこの速度で実るのか…
植物学者ではない私達には分からなかった…
カスミ「慎二!ビッグニュース!」
そう言ってはしゃいで私にかけよってきた彼女…
カスミ「オリーブの花が咲いたの!!」
私「本当に!?」
そう言って二人でオリーブの木を見に行った…小さくて白い花が無数に咲いていた…中心部は少し黄緑がかったその花を見て健吾さんの事を思い出していた…

 

356 :
健吾「オリーブオイルは、とにかく鮮度が大切だ…こうやって種をすりつぶして布で濾す…その汁を放置する。」
「しばらくしたらオイルと水分の二層に分かれる…あとは上澄みのオイルだけを抽出すれば、オリーブオイルの出来上がりだよ…」
身振り手振りで私とカスミに説明していた…
カスミ「健吾さん…自分に何かあってもいいように、私達に色々な事教えてくれたね…」
私「うん…」
カスミ「上手くオイルが取れたら健吾さんに炒め物作って持っていってあげようね!」
私「ああ…きっと喜ぶよ!」
ある日、いつものように元の世界に戻る方法を考えていると…
カスミ「ねえ!今日デートしたいな…」
唐突な誘いだったが、別段断る理由などあるはずが無いので…
私「そうだね!行こう!」
カスミ「本当?やった!!」
私「どこに行こうか?」
デートと言っても森の中を散歩するだけなのだが…彼女は嬉しそうにはしゃぐ…

 

357 :
森の中を歩きながら、彼女が話し出した…
カスミ「元の世界に戻れたら…どこに行きたいか考えた?」
私「…ん~…とりあえず今ある約束の場所に行かないとね」
カスミ「ハシゴしたり?」
私「そう!…で、僕の両親に紹介したり…」
カスミ「う~…もう緊張してきた…」
私は、そう言った彼女を見て笑ってしまった…
カスミ「何で笑うのよ!」
私「だって…まだ戻ってもないのに、緊張してきたとか言うから…」
少しふくれる彼女…
私「…結婚式もしないとね…」
カスミ「うん!」
すぐに笑顔を取り戻す彼女…少し無言に…
私「ひとつ思い付いた場所があるんだ…」
カスミ「ん?」
私「二人で…健吾さんの奥さんに、健吾さんの事を話してあげに行かないとね…」
カスミ「うん!それ良い!」
健吾さんは紗世さんが死んでしまったように話したが…それは事故に合い悲観的な観点から出した答えなのかもしれないし…
ひょっとしたら元の世界で生きているかもしれない…
もちろん、私の両親も…カスミの友人のミズキちゃんも…
お互い大切な人の生死も分からなかったが、私達は生きている…
希望をすてないように、イヤな事は考えないようにしていた…

 

359 :
カスミ「紗世さんって…どんな人かな…」
私「ステキな人だよ…きっと…健吾さんが、あんなに好きになる人なんだから…」
カスミ「そうだよね!」
そんなことを話ながら、私達のデートは終わった…
12月の終わり…寒い朝に私は沢山の布を蔦で縛り出掛ける準備をしていた…そこにカスミが起きてきた…
カスミ「おはよ…今日は早いね…どうしたの?」
私「おはよ!カスミも出掛ける用意して!」
カスミ「ん?どこに?」
私「内緒!暖かい格好にしなよ?」
笑顔で言う私に、不思議そうな表情を浮かべながら彼女は従い用意しだした…
準備を済ませて二人で家を出た…
カスミ「ねぇねぇ!どこに行くの?」
私「着いて来ればわかるから…ね!」
笑顔で彼女に言った…
かなり歩いた所で、食事の為に休憩…この頃には彼女は目的地を聞いてこなくなった…ひょっとしたら気付いていたのかもしれない…
更に日が沈む頃まで歩いた…今日はここで野宿だ…
次の日も歩き続けた…そして…彼女が口を開いた…
カスミ「ここって…」
私「そうだよ…海だ…」
そこは、海に続く急斜面の道の入り口…

 

368 :
カスミ「凄い…キレイ…」
健吾さんが塩の塊を見付けてくれたおかげで、すっかりここには来なくなっていた…
私「前回…健吾さんを迎えに来た時は、暗かったし途中で健吾さんに合流できたもんね…」
カスミ「うん…」
眼前の木々の間からのぞく海に見入っている彼女…
私「ここから足下が更に悪くなるから気を付けてね!あと少しだから…」
カスミ「慎二…有難う…私との海に連れてってくれるって約束守るために…」
今にも泣き出しそうな彼女の手を取り二人で崖を慎重に降りて行った…
海岸付近に降り着いた…更にはしゃぐ彼女…
私「カスミ!あんまりそっちに行くと危ないよ!奴等もいるんだ!」
カスミ「ごめん…つい…」
私「とりあえず、洞窟に荷物を置こう!」
そう言って、近くの洞窟に荷物を置いた…そこには、健吾さんが塩を取るために用意された物が、そのままになっていた…
まるで、また健吾さんが塩を取るために、ここを訪れるかのように…
カスミと二人で、私と健吾さんが二人でここを訪れた時の思い出話をしながら海を眺めていた…
その日はそのまま底で野宿した。
翌朝、カスミと私は朝日を浴びながら海岸を散歩した…
そして少し歩いた先に、健吾さんが言っていた塩の結晶が沢山ある場所に着いた…
本当に幻想的でとても美しい場所…
二人とも健吾さんを思ってか、あまりにも美しい光景に感動したのか…言葉を失った…

 

383 :
それから、潮溜まりに居た魚を捕まえて夕食にした…
カスミ「ねぇ…今日も野宿?」
私「イヤ?」
カスミ「イヤじゃないけど…」
私「明日には帰る予定だから…ね」
そうして、夜になり眠りに着いた…私は翌朝まだ薄暗い中カスミを起こした…
私「カスミ!起きて!」
カスミ「どうしたの?…まだ夜でしょ?」
眠い目を擦りながら私に問いかける…
私「いいから!こっち来て!」
私は寝ぼけ眼のカスミの腕を引き洞窟の入り口に立った…
私「カスミ!あけましておめでとうございます!」
カスミ「えっ?あけまして?…あっ!!ホントだ!あけましておめでとう!」
混乱していたが、すぐに理解したみたいで嬉しそうに言った…
私「去年、初日の出見ようって約束したとき健吾さんと、この洞窟から水平線に日の出が昇るのを見たこと思い出したんだ!」
カスミは嬉しそうに泣いた…
私「ほら!見えてきた!」
私達は何も言葉を出さずに水平線を見続けた…
カスミ「慎二…ありがとね…」
私「どういたしまして」
そう言いながら私は凄く幸せな気持ちになった…

 

384 :
カスミ「凄くキレイ…初日の出をキレイに見るの初めて…いつもはマンションとマンションの間とかだし…」
「慎二は…優しいね…私との約束は全部守ってくれる…こんなにステキな人いないよ!ホントに大好き!!」
そう言って日の光に照らされながらキスした…
帰り道の事も考えて、昼前には洞窟を出た…
それから1日半後に家に到着…たった数日家を離れただけなのに、物凄く懐かしく感じた…
新しい年を迎えた事を健吾さんに報告しに行った…もうすぐ健吾さんが亡くなって2年になる…
 その日、私は夢を見た…健吾さんが夢の中で私に話していた。
健吾「研究するっていうのはね…一人じゃ限界がある…」
「誰かが違う可能性を考えて、私が考えた仮定の穴を見つける…」
「慎二…キミにこの世界を考え…私の仮定の穴を探して欲しい…」
「自信を持って行動すれば良い…キミなら…必ず…」
目が覚めた時…涙が出てきた…
私(健吾さんの仮定の穴…?そんなの分かりっこない…今日までだって、ずっと考えてたんだ…これ以上何を…)

 

385 :
ふと、彼女も目を覚ました…
カスミ「どうしたの?イヤな夢でも見た?」
私「イヤ…違うんだ…少し行き詰まってるからかな…夢で健吾さんに昔言われた事をもう一度言われたよ…」
カスミ「…そっか…焦らなくていいよ…慎二はいつも約束守ってくれるし、私は心配してない。ゆっくりでいいよ…一緒に頑張ろ?」
私「…うん…有難う…」
それから、数日…数ヶ月…色々な事を考えた…しかし結局、何の進展もなかった…
夏の暑い日…私は私達がココに来た時、それぞれが飛ばされて来た付近を調べていた…
私が来た場所は前の家から川を挟んで右奥の方に400メートルほど行った辺り…
カスミを発見した場所は、新しい家から川を挟んで少し奥に行った所…
健吾さんが来た場所は、健吾さん自身が飛ばされて来た際に、混乱の最中さ迷って歩き回った為に覚えていないと聞いていた…
だが、健吾さんも川を挟んだどこかだとしたら…
この川を挟んだ先に何かが有るのでは?と仮定した…
しかし、あるのは森とガスの充満した池と使われていない街しか知らない…

 

386 :
使われなくなった街…使われなくなった理由…そこが怪しい…しかし奴等が居るかもしれない…
夕食時、カスミにその事を話した…
カスミ「…私は…もうあの化け物に関わって欲しくない…戻る方法がそこにしか無いなら…戻らなくたっていい…慎二と一緒にいられる方がいい…」
そう言って泣き出してしまった…
私「わかった…違うところから考え直すよ!だから泣かないで?安心して…僕だって臆病者なんだ!あんなのと関わりたくないよ…」
そう言いながら私は、ただ彼女を安心させたいってだけで嘘を着いてしまった…
これまで手掛かりらしい手掛かりがなかったんだ…やっと見付けた可能性…これを調べないといけない…そんな気がした…

 

390 :
次の日、私はカスミに怪しまれないようにいつも通りにふるまった…
私「今日も僕やカスミが飛ばされて来た時にいた場所付近を調べて来るよ」
カスミ「…そう…気を付けてね!」
彼女は何か納得していない様子で返事をした…
それから、他愛無い会話をして家を出ることに…(何もなければ、夜には帰って来れる大丈夫だ…)
そう思って出ようとした瞬間…彼女が後ろから抱き付いて来た…
カスミ「…慎二…うそ…だよね?…」
動揺を隠しきれない私に続けて彼女が言った…
カスミ「今朝は何時もより口数多い…それにそわそわしてる…慎二ウソつきなれてないから隠せてないよ…行くんでしょ?…」
完全にバレている…
私「…ごめん…どうしても調べないといけない気がして…」
カスミ「…わかった…でも必ず帰って来て…それから…もうウソはつかないで…」
私「うん…ごめん…」
カスミ「慎二は分かりやすいから、ウソつかれても分かるけど…やっぱり傷つくじゃん!」
少し笑顔で怒っていたが…傷ついているのは分かった…
私「ホントにごめんなさい…」
カスミ「慎二は女の勘の鋭さが分かってないな…慎二の事なら何でも分かるんだからね!」
私「反省してます…もう嘘はつきません…」
カスミ「よしよし!絶対ね!!…じゃあ…行ってらっしゃい!」
私「行ってきます!」
そう言って家を出た…

 

391 :
川を渡り進んだ先には、やはりガスの充満した池があった…そこを大きく迂回して街を目指した…
街の周辺に着き、警戒心を強めて更に進んだ…
久し振りに来た街は、あの日私と健吾さんが訪れた時のままだった…
不意に違和感を覚えた…
(なんだろう…何かが変だ…奴等の気配は全くしないのに…何でだろう…)
あの時の私とは違い、違和感を気にするようになっていた…しかし、いくら考えたって答えなんて出てこない…
奴等の気配は無い…その勘からか、私は街の中に入って行った…

 

392 :
建物の配置が変わったような感じはしない…
奴等の生活に火を使っているような形跡も、このとき確認した…
寝床としてのスペースもある…草ではなく、砂?を盛ったような場所…
食事は床でとっていたのか、布が無造作に敷かれていて、食べかすだろうか…所々汚れている…
魚や貝の残骸から、それらを主食としていたのだろう…
以前訪れた工場?には、人動的な機械がある、奴等が自らの力を利用して動かしていたのだろう…
私一人では動かせそうに無い…長い紐のような物からみて…おそらく数人がかりで動かしていたのか?
それにしても、特段元の世界に戻るような手掛かりは無い…
建物の素材も何か分からない…よく見ると赤い点々のような物が混じっているようだが…傷も無く、どうやって加工したのかも分からない…
不意に思った…
(傷も無い?素材が分からないし、加工方法も分からない…固い素材なんだろう…)
(だけど…数年間無人で植物などの浸食が無いのはおかしくないか?…だって森の中にあるんだぞ…)
何かがあるはず…森に負けない何かが…

 

393 :
不意に目を斜め前の建物に向けた…
その建物は木の蔦が絡まり明らかに外の建物と違う…森に食われていた…
近づいて見ると、素材は同じようだった…(何でこの建物だけこんなに…何の為の建物なんだ?)答えは見つからなかったが、外の建物とひとつだけ違いが分かった…
(あれ?これって…)
この建物には赤い点々が無い…
(じゃあ…この赤い点々が森に負けない素材?コレは何なんだ?)
とにかく、奴等の建物の素材にはこの赤い粒が混ぜ込まれていて、これが森から奴等を守っている…
建物の側面は冷たい…やっぱり鉄の一種なのだろうか?
しばらく調べたが、結局何一つ分からないままだった…
落胆したが家に戻った…道中、池を迂回して歩いていると不意に遠くでキキィィーーッ!!っと凄い音が聞こえた!
慌てて辺りを見渡したが、何も無い…
普段聞こえる鳥?の声でも奴等の声でも無さそう…
何なんだろうと不安を感じるも、家へと急いで帰った…
やはり、家の前で不安そうに彼女が待っていた…彼女は私を見付けると手を振った…
カスミ「おかえり!」
私「…ただいま。」
カスミ「怪我とかしてない?大丈夫だった?」
私「うん…何とも無いよ…」
カスミ「そっか!良かった!ごはん出来てるから食べよ!」
私「…うん」
食事を取りながら、私は今日の出来事全てを彼女に話した。
カスミ「…そっか…何も手掛かり無し…か…」
私「ゴメンね…」
カスミ「謝ることないよ!!慎二が無事に帰って来れただけで充分だよ!!」
それから、私たちは眠りについた…

 

394 :
案の定、それからも全く進展の無いままに月日は流れた…
カスミも私も、最早元の世界に戻れると思っていなかった…
諦めたわけでは無いのだが…私達は二人でココにいる事の方が現実のような気がしていたのだろう…
2006年8月…この日、私はまた事故の夢を見た…とっさに飛び起きた!!
カスミ「どうしたの?」
慌ててカスミも起き上がる…
私「そうか…違うんだ…」
カスミ「何が?」
私「僕が、街に行った時の事覚えてる?」
カスミ「うん…ウソついて行こうとした日?」
まだ根に持っている様子で言った…
私「…そ…そうです…その日、僕が街から帰りに聞いた音!あれは、この世界の音じゃない!」
私は、話をそらしたかったのと、自分の中での大発見に興奮していた。
カスミ「この世界の音じゃない?」
私「そうだよ!あの音は、車の急ブレーキ音だ!」
カスミ「じゃあ!?森の中で車が急ブレーキしたの?」
まだ寝ぼけているのか、混乱しているのか理解していなかった…
私「違う!車なんてこの世界で見たこと無いだろ?それに森の中に舗装された場所なんて無い…」
「さっき夢の中で事故の日の夢を見たんだ…その時に聞いた音は間違いなく、森の中で聞いた音!」
「あそこに元の世界に繋がる何かがある!帰れるんだよ!僕達!!」
カスミは涙を流した…やはり嬉しかったのだろう…
私「とりあえず、僕はもう一度あの周辺を調べてくる!」
カスミ「待って!…」
私「大丈夫!何か見付けてもすぐに戻ってくる!一人にしないよ!」
カスミ「…分かった…」
そうして私は準備を済ませて家をあとにした…

 

395 :
話が盛り上がってきた!

 

399 :
私は森の中を進みあの音を聞いた場所付近に着いた…(音はどこから聞こえた?)森の中で聞いた音…辺りに反響していたし方角は分からない…
しかし、私は池の方に歩いた…
私が来てから1度も訪れていない場所…それは池だ…そこに何かあるはず…核心的な何かを感じて進んだ…
池が見えてきた…相変わらずガスも充満している…
(これ以上近づくのは不味いな…)と思い、今までに無いくらい池に近付いてその周辺を調べた…やはり何も無い…
(残るは、あのガスの充満する場所だけか…)ふと、健吾さんが昔私にした注意を思い出した…(…周りの木々の落ち葉が湖底で朽ちてガスを発生させている…)
(有毒性なら…アウトかな…やはり一度、カスミに相談しに行こう…)
そうして私は家に戻りカスミに話した。

 

400 :
カスミ「そっか…でもあとはその池だけなんだよね…」
私「うん…」
カスミ「じゃあ、調べようよ!」
予想していなかったカスミの返答…
カスミ「だって、慎二…気になってるんでしょ?またウソついて行かれるよりは、応援した方がいいかな?って…ね?」
何か触れて欲しくない部分もあったが…私も苦笑いで答えた。
私「有難う!頑張ってくるね!」
カスミ「そのかわり!今回は私も着いていく!」
私「へ?…」
物凄く驚いて変な声を出してしまった。
私「何言ってんの?危ないよ!せめてガスが有毒かどうかくらい…」
カスミ「有毒かどうかを、どうやって調べるの?」
私「…それは…」
カスミ「慎二が自らの入って確かめるんでしょ?」
図星だ…それ以外に方法なんて無いんだから…黙っていると…
カスミ「だったら一緒に行く!」
私「でも危険すぎるよ…」
彼女が泣き出してしまった…
カスミ「だって…もし!そのガスが有毒で…もし…即効性があって…慎二に何かあっても、すぐに知れなくて…」
「不安を感じながらずっと待ってるなんて堪えられないよ…一緒にいたいの…」
そう言う彼女の肩を抱き覚悟を決めた…
私「分かった…一緒に行こう…」
カスミ「ホントに?…もうウソじゃないよね?…勝手に一人で行ったりしない?」
私「しないよ!一緒に行こう!」
彼女の表情に笑顔が戻った…

 

401 :
翌朝、食事をしながら色々話した…
ここでの思い出話は尽きなかったが、出発することに…
私「先に寄らないといけない場所があるんだ…」
カスミ「そうだね!」
彼女も分かっているみたいだった…
そうして私達は二人で健吾さんの元を訪れた…
私「健吾さん…僕達は、もうココには来れないかもしれません…戻る可能性を見付けた気がするんです…」
カスミ「今まで有難うございます。」
私「元の世界に戻れたら、奥さんを探して僕達が健吾さんにお世話になったこと話します。」
「それから、二人で形見に戴いてた手帳と万年筆は奥さんに返しておきます。…健吾さんは、死んだように話したけど…」
「僕達は諦めていないので…結婚式も…必ず…」
思わず泣き出しそうな私にカスミが言った…
カスミ「そんな顔してたら健吾さんが心配しちゃうよ?それにまだ戻れるかも分かんないでしょ?」
私「そうだね!…じゃあ…健吾さん、ちょっと…行ってきます!」
カスミ「行ってきます!」
そう言って、堪えきれなかった涙を拭いながら、笑顔で挨拶して池に向かった…
カスミ「ねぇ…もし戻れたら…戻れるとしても…戻っていいのかな…」
私「…イヤなの?」
カスミ「イヤじゃないけど…その…」
何かモジモジと言い切らない彼女を見ていた…
カスミ「だって…ここなら二人きりだけど…戻ったら他にも人がいるから…その…」
私「その…何?」
カスミ「浮気とか…しないよね?」
考えてもなかった…思わず笑い出してしまった私を睨むように彼女が怒った…
カスミ「何で笑うのよ!…真剣に心配してるんだからね!」
私「だって…あまりにもあり得ない事だったから…」
カスミ「あり得ないって…保証ないじゃん…」
私「僕を一番必要として、一番分かっているのは誰?」
カスミ「私に決まってるでしょ!」
私「なら、大丈夫だよ!」
そう言って彼女の手を取り更に進んだ…

 

402 :
池のガスが、目で確認出来る距離まで来た所で足を止めた…
私「やり残した事は?」
カスミ「ん~…畑の植物達が…ちょっと心配…でも、元々ココの植物だもんね…大丈夫だよね…」
私「きっと健吾さんの話し相手になってくれるよ…」
カスミ「あとは…この世界で最後にキスしときたいかな!アハッ」
私「そうだね…」
言うなりキスした…長いキス…戻ってもお互いが近くに飛ばされる保証なんて無い…ましてや無事に戻れる保証も…
お互いに口に出さなかったが、不安を感じてここまで来たのだ…その不安を少しでも和らげるため…
そうして更に池に近付いた…
私「もうガスに手が届きそうな距離なのに…何も臭わないね…」
カスミ「うん…離れた所だとガスに見えたけど…何か霧みたい…」
私は少し躊躇っていた…その時頭の中に健吾さんの声が聞こえた…「慎二!私の仮定を切り崩せ!自分の勘を信じるんだ!」…!!
私「行こう!」
そう言って彼女の手を強く握り霧の中に入って行った…
ホントに霧深くて視界は悪かった…だが二人とも何とも無い…
カスミ「…何とも…無いね…」
私「ああ…視界は悪いけど…何とも無い…」

 

403 :
しかし、霧の外から見えていた池に中々辿り着かない…するとカスミが何かを発見した…
カスミ「アレ何!?」
私が彼女の指差す方を見た…
私「わき水?」
そこには神社何かにあるような、お清めの為の手洗い場?みたいな石造りの物があった…
二人で近づいてみて私は驚いた…水の流れ出るソレは間違いなく、奴等の建物と同じ素材で作られ…点々もある…ただその点々は赤ではなく、新緑のような緑色…
私「飲んでみよう…」
何故か分からない…でもそう言った…彼女も従う…
二人で、同時に手にすくい…同時に口をつけた…
その瞬間!!物凄く喉が焼けるような熱さを感じた…彼女も苦しんでいる…(カスミ!…しっかり…)声が出ない…
だんだん意識が遠のき倒れ込む彼女を見た…私も意識を失いそうだったが、必死に彼女の手を取った…
そこで意識を完全に失った…

 

410 :
目を覚ますと私は森の中にいた…
どれくらいソコにそうしていたのだろう…
頭がガンガンして、喉がまだヒリヒリする…不意に彼女が居ないことに気づいた!
喉の痛みをおして声を出して彼女を探す…
足取りはおぼつかず目が霞む…
涙をこらえようとしても、それは止めどなく溢れてきた…
(カスミ…どこにいる…返事をしてくれ…ここは…どこなんだ…誰か!応えてくれ…)頭の中で何度も繰り返された…そしてまた意識を失った…
夢を見た…それは何も無い空間を歩いているのかも、浮いているのかも分からない私が、必死にもがいている夢…カスミを呼ぶ声や、健吾さんを呼ぶ声だけが響く無の空間…
ふと遠くで声がしたような気がした…そこにも行きたいが進めない…
必死に叫んだ…助けて!!
目が覚めた…目の前には白い天井…人工的な天井…いつぶりだろう…
「気がつかれましたか?」
私はとっさに、目線を向けて安心した…カスミだ…
私「カスミ…無事だったんだ…良かった…ホントに…」
泣き出した私の肩を擦りながら彼女が言う…
「だいぶ魘されてましたけど、どうされました?」
…違う…誰だ?…もう一度彼女の方を見た…
そこには見知らぬ女性がいた…

 

411 :
女性「お名前言えますか?どこか痛んだりしますか?すぐに先生が来ますからね!」
私は何がなんだかサッパリ分からなかった…(先生?何なんだ?この人誰だ?名前?誰の?…)
そうしているうちに、白衣を来た初老の男性が現れた…
初老の男性「気が付いたみたいですね。あなたはY山の登山道付近で倒れている所を、登山者の方に発見されてこの病院に運び込まれたんです」
駄目だ、サッパリ分からない…!!
私「カスミ!カスミは?」
女性「連れの方がいたんですか?」
私「僕と年齢が代わらない女の子!一緒にココに来てないんですか!?」
かなり取り乱す私を、初老の男性が抑え着けて警備の人を呼んだ…押さえ込まれた状態で、初老の男性が話し出した…
初老の男性「落ち着いて聞いて下さい。ここはN病院!貴方は山道で一人で倒れていて、ココに運び込まれた!」
「一人で!わかりますか?私は医師!彼女は看護師!病院なんです!」
「名前は言えますか?…年は?…どこから来たの?…家は?…ご家族は?」
医師と言う男性は次々に質問してくるが、私は終止無言…と言うより頭に入ってこなかった…
看護師「先生…」
医師「うむ…どうやら事故か何かでショックを受けている様子だね…」
(遠くの方で、そんな会話が聞こえた気がした…)

 

412 :
目は開けているのに何も見えない…そんな感覚に取りつかれた…
時折カスミの名を叫んで暴れては押さえ込まれ…暴れては押さえ込まれる…の繰り返し…
そんな日が続いた…
カスミ!…大きな声とともに目が覚めた…どうやら自分の声で目を覚ましたらしい…
また私が叫んだからか、警備の人が駆けつける…しかし私は暴れる気力すらなかった…完全に脱け殻状態…
そうしていると…医師が話しかけてきた…
医師「落ち着いたかい?」
私はまだ無言…
医師「名前は言えるかな?」
私「山下…慎二です…」
医師「そうか…山下くんは、どうしてあそこに居たのかな?ご家族は?」
私「どうして?…家族?」
私は虚ろなまま答えた…
私「異世界で…帰ってこようとして…水を飲んで…カスミと…」
泣き出してしまった…頭が真っ白になった…
医師「異世界?…なんの事かな?」
「カスミって言うのは一緒に居たと言う人のことかい?」
医師の発するカスミと言う名に反応して、私が口を開いた…
私「カスミは…私の妻です…」
直も泣く私に医師がこう言った…
医師「ん~…困ったね…とりあえず警察の方に来てもらうから、詳しく話してカスミさんという方を探してもらおう…私達では力になれない。」
(僕は戻ってきたのか?じゃあカスミも…どこにいるんだ?別の場所に飛ばされたのか?ココはどこなんだ?今、何年の何月だ?)
ひたすらに混乱し続けた…

 

413 :
次の日の午前中に、警察の人が二人来た…
私の名前や生年月日…カスミの名前や生年月日…住所、職業…ココに運ばれるまでの経緯…沢山質問された…
それに、答えられる範囲答えた…住所不定職業無職…遭難時のショックで記憶喪失…それで片付いてしまった…一応話の終わりに警察の人に聞いてみた…
私「今…何年ですか?…」
ため息混じりに答えてくれた…
警察B「2006年9月だよ…」
私「そう…ですか…カスミのこと…見つけてください…お願いします…」
一応、私の発見現場付近で捜索が開始されたらしいが、すぐに打ち切り…
後日、また警察が来た…
警察A「キミ…自分が山下慎二と話したね?」
私「はい…」
警察B「生年月日は昭和57年9月…間違いないかい?」
私「はい…」
そう言うと警察二人は互いに顔を見合わせて頷いた…
警察A「少し事実確認をしたいんだがいいかな?」
(事実確認?何を言っているんだ?)
警察B「キミの言う山下慎二は亡くなっている…」
私「は?…そうか…」
警察A「そうか?」
私は警察の人に自分が事故に合った時のことを話した…そして簡単にではあるが、異世界の事も…
もちろん警察は異世界の話なんて無視…ただ、事故の話は信じてくれた様子で慌ただしくなりだした…
警察A「キミが話す事故は確かに起きている…その事故で男性1名、女性1名が死亡、男の子が行方不明だ…」
(死亡?お父さんとお母さんが?…そんな…)
泣き出した私を見て警察が医師に事情を説明し退院して、また色々調べられた…
一応の事実調査が終わるころ…一人の男性が私の調べを受ける部屋に来た…

 

414 :
男性「慎二…くん…か?」
(誰だ?見たことがあるような…!?)
私「昌二おじさん…?」
昌二「慎二くん!!ホントに慎二くんなんだね?生きていたのか…良かった…ほんとに…」
昌二おじさんは、母の弟で小学生のころよく釣りに連れていってもらった…
どうやら本当に戻ってこれたみたいだ…私は変に冷静になっていた。
警察A「どうやら、キミは本当に山下慎二くんのようだね…無事で良かった…」
それから色々な話があったが正直難しくてあまり何を言われたのか分からない…
簡単に説明すると、とりあえず私は昌二さんに引き取られ、まず私が死んだと言う事実を取り消してもらわなければならないらしい…
その辺りは、昌二さんが色々と手続きなど段取りしてくれた…
昌二「キミが事故で行方不明になってから9年か…失踪宣告と言うのがあってね…簡単に言うと…」
と説明されたが、見つからないから死んだ扱いされた…と言う意味のようだ…
昌二「しかし、慎二くん…9年間もどうやって過ごしてたんだい?」
この人なら…そう思い細かく、私の9年間を話した…
それが間違いだと気付かずに…
昌二「…そうか…それは大変だったね…明日、お母さんとお父さんのお墓に連れていってあげるよ…疲れてるだろうから、ゆっくり休んでくれ…」
人付き合いの経験が浅い私にも分かる軽蔑の眼差し…完全に厄介者扱い…異常者だ…

 

415 :
翌日、現実味の無い私を連れて昌二さんは現実を見せる為に父と母の墓を見せた…
泣きながら手を合わせる私に昌二さんが言った…
昌二「慎二くん…キミは記憶障害を起こしているかもしれない…このまま病院に行こう、色々な手続きは叔父さんが済ませておくから…まずはゆっくりケアしなさい…」
たんに自分の元を追い出す口実だろう…
だが、そんなことよりカスミを探したくて病院になんて入っていられない…!!
すぐに出ないといけない…病院での検査は幸運にも大したことをしなかった…私の嘘でも適当に切り抜けれる程度、二日ほどで退院…
私は昌二さんに言った…
私「もう大丈夫です!お世話になりました。手続きのほうお願いします」
そう言って、昌二さんに病院に行く前に渡されたお金(二万円)を握りしめ、カスミを探しに出た…
出てみたはいいが、この世界は最早私の知る世界では無い…
整備された道も、履き慣れない靴も体を覆う服も全てにストレスを感じた…綺麗に区画された街並みもただの迷路だ…
(カスミ…どこにいるんだ…)悲しみで泣き崩れた…

 

416 :
行く場所も、帰る場所も無い…路頭に迷うのに時間はかからなかった…
情けなくも、私は昌二さんの家に戻った…
昌二「慎二くん…キミは記憶障害なんだよ…手続きが終るまで大人しく病院に行って検査してもらうんだ…との道、手続きも最終的にはキミの確認が必要になる…」
次の日から、私にとっては地獄だった…何度も何度も同じ質問を繰り返され、誰もその話を信じてぐれず…終いには行方不明の少年、山の中で見つかるも記憶喪失…とか言われて新聞記者が来る始末…どうやら面白可笑しく昌二さんが言ったらしい…
私はそれこそ人間不振で頭がおかしくなり殻にこもった…
何も喋らなくてもそれらは続いた…
ただのホームレス嘘つき人間にされる…
もうどうでもいい…カスミに…会いたい…カスミがいないなら生きていても仕方ない…
そう思い、病院の自室から飛び降りた…
だが、死ねなかった…骨折すらせずかすり傷だけ…まぁ2階からだったので後で考えれば当然なんだが…
そんなことすら考えられなくなっていた…

 

417 :
そんなある日、見知らぬ人が病室を訪れた…
男性「初めまして、心理カウンセラーの…」またか…この人も同じだ…
私は殻にこもった…
しかしこの人はしつこく、毎日毎日病室を訪れる…
そんな日が続いたある日…
男性「キミの叔父さんに話を聞いた…異世界に居たんだろ?どんな所だった?」
(またバカにして聞いてるのか?どうせ信じないくせに…)かなり悲観的な物事の考え方をするようになっていた…
男性「その世界のモノ持ってるのかい?」
(ほら信じない…僕のほうが貴方の心理をわかっている…)
男性「どうなんだい?」
(しつこいな…持ってる分けないだろ……イヤ!持ってる!)私は思い出した!あの日着ていた服…それはあっちの世界で手に入れた布だ…
私「持ってる…」
少し間抜けな顔をして男性がはっ?な顔をしている…
私「そうだ!私が着ていた布!ココに戻って来た時に着ていた服は、向こうで手に入れた布で作ったモノだ!」
男性「布?」
私「そうだ!返して貰って下さい!僕の服!」
男性「…あ…あぁ…解ったよ…問い合わせてみる…また来るよ…」
それから数日、男性は来なかった…
男性「こんにちわ!」
私「どうも…僕の服は?」
そう言うと、1つの紙袋を渡してきた…
男性「かなりボロボロだし、ソレがキミの言うように、この世界のモノで無いのか僕には分からない…」
私「別にかまいません、どうせ信じないでしょ…あっ!」
私は紙袋の中に万年筆を見つけた…込み上げる感情を抑えきれずに号泣した…

 

418 :
山下慎二ってフルネームを見るたびに
スクールウォーズの曲がかかっちゃう
字は違うんだけど

 

487 :
そんな私の姿を見て、その男性は口を開いた…
男性「…慎二くん…キミの言うことを100%信じた訳ではないが…1つ提案がある…」
(100%信じていないのに…提案?)
男性「キミは、今100%信じていないと言う私の言葉に疑心の表情を浮かべたね。」
(この人…何で?)
男性「不思議かい?」
男性は少し笑ながら話した…
男性「私は心理カウンセラーと言ったが、その中でも少し特殊でね…」
「人の表情なんかを見て、その人を読む読心術をメインに、何故その人は今そう言ったのか?そう言ったったことは、こう言ってほしいのか?」
「…こんな感じで人の心をケアしてあげる…プロだ」
(プロって…)自然と私の表情が緩んだ…

 

489 :
男性「やっと笑顔になったね!」
私は驚いていた…
男性「私が、この何日間か毎日のように話に来たのは、キミの表情を探るため…」
「…どんな事に反応するのか見ていた…結果、キミは何にも反応せず殻にこもっていて反応無し…」
「前回来たとき異世界の話をした…その時の反応は嘘の反応では無かった…」
「私が混乱したよ…まぁ、とりあえず…100%信じた訳では無い…をキミなりに解釈して…私の提案聞いてみるかい?」
私「…話して下さい。僕も貴方の事を100%信じた訳では有りませんので…」
男性「うん…良い表情だね…」
そう言って、その男性が笑った…
男性「さて…キミは私の名前を知らないよね?」
私「…はい…ごめんなさい…」
男性「やっぱりか…私の名前は明人(以降、明人と記載)!よろしくね!こう見えて、キミとあまり歳は変わらないんだよ」
私「そうなんですか…」
明人「じゃあさっそく本題に入ろう…キミはこれから私のカウンセリングを受ける…私もキミの持つ記憶に興味がある…」

 

490 :
「それから、キミのその服を知り合いの科学者に調べてもらう…もしキミの言うことが本当なら何か手がかりが見つかるかもしれないしね…」
「…本当だったら、キミは凄いことになるぞ…一躍有名人だ!」
私が曇った顔をした…
明人「ん?どうしたんだい?嬉しく無いのかい?」
私「有名人なんて興味ないです…ただカスミに会いたい…」
明人「カスミ?」
私は以外だった…叔父さんか誰かから、話を聞いているんだと思ってたから…
私「…僕の…大切な人です…」
明人「ん~…じゃあ、とりあえずキミの話を聞こうか…私の話はそれからにしよう…」
私は、何度目になるだろう…詳しくあの世界での事を話した…話終わるころには、すっかり日も暮れていた…
明人「どうしたものか…困ったね…疑わしい内容にも、キミの表情仕草からは嘘が読み取れない…」
私「…やっぱり貴方も一緒なんですね…」
明人「おいおいおい!ちょっと待ってくれ!私が嘘を読み取れないってことの意味を理解してほしい…」
「…ただ、信じられない内容に混乱してるんだよ…やはり、この服は預からせてくれないか?」
私「…はい…」
明人「じゃあ、今日はこの辺で失礼するよ!」
そうして、明人さんのカウンセリングが始まった…

 

491 :
カウンセリングと言っても、同じことを繰り返し質問されただけ…
その度に明人さんは、首をかしげる…
明人「ん~…不思議だね…疑っている自分と、信じてしまっている自分が共存し始めたよ…」
「…人はね、嘘をつくとき必ず体からサインがでる…でも慎二くんの体にはそのサインが出ない…」
「…何か話に詰まっても同じ…話が始まるまでの間も、違和感無い…」
そう言った明人さんの携帯が鳴った…
明人「おっと!ごめん!ちょっと待っててくれるかな?」
そう言って部屋を出た…
(携帯電話か…便利なんだろうな…遠くにいてもすぐ声が聴ける…カスミ…)そこに、明人さんが戻ってきた…

 

492 :
明人「良い知らせか、悪い知らせか…キミが持っていた布の服の繊維…少なくとも今は何の繊維か断定できない…」
「化学繊維では無い…何かの植物の繊維を繋げて変わった編みかたで作られている…」
私「じゃあ!?」
明人「それで…言いにくいんだが…あの服を…海外の研究施設に送ってしまったらしい…」
私「そんな…勝手に…」
明人「すまない!!でも必ず返すように言ったから!頼む!許してくれ…」
深々と頭をさげられ、仕方なく必ず返してくれるよう念を押して許した…

 

493 :
明人「しかし…となると、キミはこうしてる場合じゃないね…一刻も早くカスミちゃんを探さないと…」
「キミが、見つかった場所はY山だったね?明日早速、出掛けよう!」
やっと探しに行ける…無事なんだろうか?…そんな事を考えて眠れなかった…
翌朝…
明人「お早う!じゃあさっそく出発しよう!」
そう言って、明人さんの車で二つ隣の県にあるY山へ向かった…
Y山に着いて、色々探し回ったが山に広がる木々には全く見覚えも無く、何の手掛かりも無い…
夜には明人さんが、予約した宿に泊まった…
明人「慎二、1つ疑問なんだが…こっちに来てからの食べ物はどんな感じなんだい?」
私「…正直あまり…複雑で美味しさよりも不思議な感じ…でも懐かしい感じもします…」
明人「…そっか…なるほどね…」
そんな感じで眠りについた…

 

495 :
そうして3日間探したが全く手掛かり無し…
明人「すまない…明日から別の仕事があって同行出来ない…この宿は、このまま泊まってくれていいから、明日から少し一人で頑張れるか?」
私「…はい…でも…明人さんは、何故こんなに良くしてくれるんですか?」
明人「何でだろうね?…キミの話に興味があるから…かな?」
そう言って笑顔で答えた…
次の日から2日間は一人で探した…
でも結果は同じだ…
3日目には明人さんと合流…
明人「手掛かりはあったかい?」
私「いえ…」
明人「そうか…少し行きたい場所があるんだ…いいかな?」
私「…でもまだ…」
見つかっていないし…と言いたかったがやめた…
明人「…じゃあ…出発しようか…」
そう言って車に乗り込んだ…
車を走らせること、実に5時間…
私は長時間の車にかなり酔っていた…

 

496 :
明人「着いたよ…」
私「ここは?」
私が辺りを見ると…畑や古い民家がちらほら見える…
明人「とりあえず降りて…そこの家に用がある…何があっても取り乱すな…いいね?」
私「はい…」
家の前に立ち驚いて…言葉を失った…1度も来たことはない…けど何回も聞いたことのある場所…カスミのお婆さんの家だ…
明人「やはり、キミがカスミちゃんと何らかの繋がりがあるのは解ったよ…こんな言い方ですまないね…」
「私は、2日間別の仕事って言ったのは以前からキミの話に出てくる、健吾さんとカスミちゃんの事を調べて貰っていて見つかったって連絡があったから…」
「その情報を貰うことと、色々な事実確認をね…」
私「…そうだったんですか?」
明人「今から、お婆さんを訪ねる…しかし相手はお年寄りだし、変な事は言うな…異世界とか…あくまでも恋人程度の紹介だぞ!いいな?」
私「はい…」

 

497 :
明人「すみません!」
明人さんが、呼び掛けると…中から凄く感じの良い70手前くらいだろうか…お婆さんが出てきた…
お婆さん「どなたですか?」
明人「私達、カスミさんの友達で…」
お婆さん「あら!カスミの…まぁまぁ汚い家ですが上がって下さい!」
明人「おじゃまします。」
…私が動けずにいると明人さんが手招きした…慌てて着いて入る…
お婆さん「ちょっと待ってて下さいね、今あの子の部屋窓開けて空気入れ換えますから…」
そう言って奥に消えて行った…
古い家ではあったがキレイに片付いた部屋を、カスミが話してくれた事と重ねて見ていた…
(そうそう…確かあそこの戸棚の裏にカスミが空けてしまった穴があるんだよな…)
ふと、部屋の隅の柱に目をやった(そう言えば…)柱に近づく…(あった!)
それは柱に付けられた傷跡…カスミがお婆ちゃんと暮らし始めたころ孫の成長が嬉しくて嫌がるカスミを無理矢理立たせて毎年印を付けたらしい…
ふと気付くとお婆さんが戻ってきて私を見て驚いていた…
私は知らず知らずに泣いていたようだ…
お婆さん「それはね、カスミが家に来た時に成長の証って言って私が付けたんだよ…あの子はこんなのしたくないって騒いでたけどね…」
そう言うと、お婆さんも泣いていた…
私「戸棚の裏に穴を空けてしまったこと…謝ってないんだ…って後悔してました…」
お婆さん「そんなこと…気にしなくていいのにね…優しい子だったんです…」
私「はい…」
お婆さん「アナタ…お名前は?」
私「慎二です…山下慎二…」
お婆さん「そう…良い彼氏見つけたのね…」

 

498 :
私「えっ?」
お婆さん「私だって年は取っても女としての勘は鈍っていませんよ…それにあの子を良く知ってる…あの子が惚れそうな人だ…」
そう言って嬉しそうに涙を拭った…
お婆さん「さぁ…こちらへどうぞ!」
そう言ってカスミの部屋に案内された…ここもカスミから聞いたままの光景…ふと足が止まって私は号泣してしまった…
私の知るカスミよりも若い…だがしかし間違いなく彼女の写真があった…
もう言葉すら出ない…
帰り際…
お婆さん「ちょっと!慎二くん!これを!」
それはアルバムだった…
お婆さん「荷物になるかもしれないけど、老い先短い私が持ってるより大切にしてくれるだろ?」
私「はい!必ず大切だします!また…来ても良いですか?」
お婆さん「いつでもいらっしゃい!楽しい時間を有り難うね!」
帰りの車の中…アルバムを抱き締めてまた泣いた…
明人「キミの話し…もう疑わないよ…」
明人さんがそう一言…言ってくれた…

 

510 :
カスミを探す日は続いた…
明人さんは、連日色々な場所での彼女に繋がりそうな事件や話題がないかをインターネットで…
私は、何も無いかもしれないがY山に…
数日後、また明人さんの携帯電話に連絡が来た…
明人「さて…事故から時間が経ち過ぎていて時間はかかったが、もう一人見つかったよ…行こうか…」
健吾さんだ…
そこは、海の見える丘の上にある霊園…
明人「さて行こうか…」
私達は、霊園の中を進んだ…丁度まん中くらいにあった…
健吾さんのお墓…二人で手を合わせていると、後ろから男性の声がした…
男性「あの~…すみません…どちら様てすか?」
明人さんと二人でビックリして振り返った…
男性「…もしかして…慎二…くん?」
更に二人ともビックリ…
明人「あの…アナタは?」
男性「私は、田中紗世の弟で野本徳二(以降、徳二と記載)です。」
私「紗世さんの?」
徳二「はい…アナタが慎二くん?」
私「はい…でも何で?」
徳二「話すと長くなるので家に来ますか?」
そう言って明人さんと、徳二さんの家に向かった…

 

514 :
家に着き…徳二さんが話し出した…
徳二「慎二さん…アナタの話は姉から聞いていました…」
私、明人「紗世さん…から?」
徳二「順をおって話しますね…」
「まず、姉はアナタも知っていると思いますが、健吾さんの仕事に着いて行った際に事故に合いました…」
「しかし…奇跡的に一命をとりとめ、しばらく生きていました…姉は健吾さんが、事故でいなくなってからおかしな事を言うようになったんです…」
「(今日もあの人は死にたいなんて言うの…怒って帰って来ちゃったわ…)とか…」
「(あの人は生きているの…ここではない世界で…)とか…」
「親族一同、事故で旦那を失ったショックから、頭がおかしくなったんだ…そう思っていました…」
「もちろん、今日…アナタに会うまでは私も信じていませんでした…」
「事故から、何年かたったある日、姉が嬉しそうに…(ひょっとしたらあの人…頑張れるかも…)そう言ったんです」
「でも私は、またか…と適当に聞き流していました…そんなおり姉は病気を患ってしまい入院することに…」

 

515 :
「でも、姉はまだ健吾さんのことを話すの…辞めませんでした…(まだ駄目なの…死んでしまったらあの人が悲しむ…)…」
「正直、生きる糧になっているなら…と聞いていました…するとある日、いつもより上機嫌の姉に、どうしたのか尋ねると…」
「(今日は、あの人笑いながら慎二くんの話をするの…)…と…慎二くんって?と尋ねると」
「(あの人が出会った、私達の息子よ…今、一緒にいるわ)…ますますおかしくなったと思いました…」
「それから数日後…(もう大丈夫そうね…)…と一言残して姉はこの世を去りました…」
「それから、今日まで…姉の狂言は誰もが忘れていました…しかし今朝、私は夢を見ました…」
「夢の中に姉が出てきて言うんです…(今日、初めて息子に会えるの…慎二が会いに来てくれる…)」
「そう言うんです…私は夢の中まで人の気を引こうと出てくる姉に少しイラっとしました…」
「でも、淋しいのか?と思い直して久々にお墓の掃除でも…と思いお墓に向かいました…」
「すると姉と健吾さんの墓の前に、アナタ達がいたのです…どうしたものか…」

 

516 :
明人さんが口を開く…
明人「徳二さん…アナタの話にもまた嘘の行動は見られなかった…彼の話と同じように…」
徳二「アナタは?」
明人「私は慎二くん専属の心理カウンセラーです。」
徳二「心理…カウンセラー?」
明人「はい…慎二、徳二さんに話してあげてくれないか?キミのいた世界かこと…」
私「…でも…」
明人「大丈夫だ…きっと信じてもらえるよ。」
私「わかりました…」
そう言って話し出した…健吾さんの事も…健吾さんが紗世さんの事を想っていた事も…今に至るまで全てを…
徳二「…そんな事が…姉は夢の中で健吾さんからキミの事を聞いていたのか…異世界なんてもの…」
「俄には信じられないが、そう考えるしかない事実がある…」
明人「そうなんです…私も信じられなかった…でも彼の話し方に嘘の動作は見て取れない…」
徳二「慎二くん…今、キミは一人なんだろ?行くあてが無いなら、しばらくここに住んでみないか?」
「もちろん見ず知らずの人間に、いきなりこんなのこと提案されても困るだろうが…」
「姉さんと健吾さんが息子と思って接していたんだ…私の方は問題ないし、どうだろう?」
「キミが居たんだ…きっとカスミさんもいるだろう…かたくならずに気軽にここに居て、ここからカスミさんを探してみては?」
色々考えて、このまま明人さんばかりには頼れない…もちろんこの人にも同じだが…
何よりも…自分の話を信じてくれる人の側にいたい…という気持ちが強くて、徳二さんの提案に甘えることにした…
明人「じゃあ、ここでお世話になるんだね?」
私「はい…ここでカスミを探します」
明人「分かった、私もここに通ってキミの心のケアを続けよう…」

 

517 :
明人さんが帰って行ってから…徳二さんと二人で話をした…説明しきれていない思い出話を…
翌日、もう一度二人で健吾さんと紗世さんのお墓参りに行った…
健吾さんと紗世さんのお墓に私はそっと万年筆を返した…

(…あとは、カスミ…キミが手帖を返すだけだ…キミは…どこにいる?…今何をして…何を思う?…)

 

518 :
明人さんの前のカウンセラーが言った…
カウンセラーC「人の記憶とは…脳が勝手に作り出す幻想だったりする…キミの場合…その最たるものなのかもしれない…」
「あたかも体験して…見てきたかのように作り出しているもの…鮮明に脳に刻み込まれた記憶…」

この私の記憶が?作り出した記憶?…そんなことあるわけない…
私はキミとの約束を守る為にも…キミを探しに行くよ…
それまで待っていてくれるかな…?

…私は、すぅーっと目が覚めた…
そこには私の見知らぬ男性が…
男性「今日のカウンセリングはここまでにしよう」
知ってる…この人は…私のカウンセラーだ…
カウンセラーC「ねえ…今日まで色々な事をキミに聞いた…」
「キミは事故に合い大切な人を失ったことで、ショックのあまり記憶を操作しているだけなんだ…」
私はまたそんな事か…と聞き流す…
「聞いているのかい?カスミちゃんはもういない!キミの記憶に残る人も…」
「キミが事故のあと、何らかの方法で同じ場所付近で事故が起きて亡くなった人達を巻き込んで作り上げただけ…」
(何を言っているんだ?この人…)
「キミが事故を起こして…大切な人を殺してしまったと思っているかもしれない…」
「でもそんなことじゃ、彼女の為にならないぞ?もう自分を責めるのはやめるんだ!ミズキちゃん!」

私は原瑞希…そう…これは私が作り出した物語…
鮮明に思い出される慎二くんも健吾さんも同じ場所で事故により亡くなっている…でもカスミ…
アナタは生きているよね…だって約束したよ?私達はいつまでも一緒だって…
アナタ一人を殺したりなんかしない…

終わり

 

520 :
皆様のご期待に添えないオチとあやふやな返答申し訳ございません。
私のつまらない話に付き合って下さった皆様の有り難うございます。

 

522 :
えーーー
まじかーーー、これでおわりwwww

 

525 :
世にも奇妙な展開だな
書ききってくれてありがとう
お疲れさん

まあ駄作だろうと何だろうと
俺は見事に騙されてやったぞ
次回作に期待できるだけの発想力はあると思う

 

526 :
え?え?
ミズキとカスミがのってた車が事故ってカスミが死んで、異世界の云々と慎二帰還~徳二のくだり全部はショックでミズキが作った妄想ってこと?

急展開で話がつかめないww

 

529 :
本当に駄作で申し訳無いです。
ネタバレすると、このミズキという人は実在します。
この人が運転する車で、事故を起こして同乗者の友人だけが亡くなり、殻にこもり自分の起こした事故を調べているうちに…
同じような場所で事故があり亡くなった方の事を知り、頭の中で友人は生きている…違う世界に行ったんだ…一人じゃ淋しいよね?…とその亡くなった別の方達を登場させたのでしょう…

 

534 :
カスミも慎二も健吾も行方不明じゃなくて死体があがってるの?
官報に載ってたとかも作り話?
それとも同じ場所で事故で行方不明になってる人が何人かいるから思い付いた話?

 

535 :
534さん…ネタバレに書いた通りです。

それから偽物ではありません。
応援して下さった方には申し訳無いですが。
私の文才なんてこんなものです。

長々と有り難うございました。

 

536 :
>>535
見なかったことにするから書き直してほしい
待つからさ
これはないって

 

537 :
こうやって偽者っぽいのを登場させるのも1氏の策略かもしれない。

 

545 :
シンジって、1自信のことじゃなかったのか??
シンジとはミズキが作り上げた、想像上の人物であって、
1が経験したことと、設定では言っていたのに、
意味がわからん

 

548 :
545さん…慎二は私が事故で亡くなった方を借りて、私が殺してしまったカスミと私が記憶の中に生きているカスミと会うための存在です。
私がミズキでカウンセラーの先生が仰るように、私の記憶が作り出した物語なので私の体験…慎二さんが亡くなった所から私の体験と書いたのは、記憶で作り上げた慎二さんが中学三年で亡くなられていて…そこから存在したから…

ミズキは存在します。
偽物は存在しません。

 

549 :
カスミを殺した?( ̄○ ̄;)
うん?

 

553 :
549さん…私の不注意で死なせたのです…周りが何と言おうと、私はカスミを殺してしまったんです。

 

550 :
異世界(私の記憶が作り出した世界)に行けるなら行きたいです…
カスミに謝りたい…

 

554 :
>>550
おいおい
おまえリアルで殺したんか?
女?

 

561 :
554さん…そうですね…私が運転中によそ見をした…だからカスミは死んだんです。

皆様のwktk?は返せません…申し訳ございません。
学力も文才も無いのに書き出してしまって…

私はただ、私のことだけを考えて書き出しました…
私の周りの人は、もはや私を腫れ物でも触るかのように接してきます。
当然と言えば当然なのかもしれません…カスミを殺して自分を責め…果ては異世界があってカスミはそこで生きてる…と言い回るのだから…

そんな時、異世界まとめの話に出会いました…
それで私の記憶の話も書いてみよう…そうすれば何かが分かるような気がしたんです。
でも何も変わりませんでした…私の罪の意識は消えません…作り出された記憶は、より濃く…鮮明なモノになっただけ…
カスミに会いたい…そればかり頭に過るようになりました。

応援して下さる方…叱責して下さる方…期待を込めてここまで読んで下さった方…本当に申し訳ございません
そして、有り難うございました。

 

552 :
初めからこの展開を?
皆に展開読まれて変えた?

 

557 :
552さん…展開と言いますか…このままです。
それから皆様が仰るようなキャラ設定などを決めたり、変にストーリーを考えたりしていません。
私の作り出した記憶のままにお話ししました。
伝わり難い部分も有りますが、作り出された記憶と言われて記憶障害と診断されても、私の中にはこの記憶しかありません…

 

560 :
>>557
それはガチなの?
嘘はなく、全部本当の話かい?
フィクションならフィクションで構わないんだが
どうなの?
ストーリーは書き終えたんだから真実を頼む

 

564 :
560さん…事故も本当…私が助かって事故を起こした現場に原因があるんだ!あそこは呪われてる!などと思い自分の罪から逃げたくて、事故現場を調べたら、別で4件の事故があったのも本当…
そして、この記憶も私の中では現実です。

 

562 :
最初から見てたけど一応完結お疲れ様!

現在はどういう状況なんですか?

 

563 :
アハッはカスミの口癖?
その事故はどこで?
ググればでる?

 

568 :
562さん…今は施設にいます…詳しくは書けませんが…

563さん…文字にしてしまうと、私にはあのようにしか表現できませんでしたが、とにかく照れると良く笑って誤魔化す可愛い素敵な子でした。
事故は調べればちゃんと出てきますよ。
私の本名も、健吾さん、慎二くん、カスミも皆出てきます。

 

567 :
カスミの遺体は事故当時あったんだよね?
全て妄想の記憶だとすると、ここまで人は凄いんだなと
あまり、自分は責めないで未来をみよう
妄想でも現実でもそれは過去なんだから

 

569 :
567さん…事故当時…もちろんありました。
私が意識を回復したときには、もう葬儀も終わりお墓しか見ていませんが…
それで、私の記憶の中でカスミが生きている…と記憶を作り出しているんだと言われました…
過去にとらわれないように生きていく方法が見つかりません。
カスミの未来を奪った私が未来を夢見る事もありません…
お気遣い有り難うございます。

 

573 :
全ては必然の運命だったという考え方もあってだな
あそこでああすりゃ…時間を戻せたら…と思うことは誰しもあっても、仮に時間を戻しても全てが脳内すら全く同じ状況なら同じ結果になるのではないか、と
何らかの原因でよそ見をしてしまったのは必然、それは仕方なかったんだよ
誰が悪いんじゃない、ただそういう人生を体験してきただけさ

 

575 :
うーんこれぞまさにオカルトって感じの話だ
創作としても不思議だし、
不気味な後味の悪さがある
この板にしてこの話って感じだ
完走お疲れ様でした

 

 



コメント

  1. 1
    名無しのオカルター:

    明らかに創作文章なのに最初に予防線張ってるのがきもい

  2. 2
    名無しのオカルター:

    イヒッ

  3. 3
    名無しのオカルター:

    途中まで読んだら結構面白いんだけど、カスミちゃんが出てきたあたりでなんか嫌になってきた。

    暗くて友達も少なくて冴えない「私」が異世界行ってちょっと逞しくなって女の子と恋をする、
    そういう夢を見たいのは分かるけど女の子の気持ちの変化にリアリティが無さすぎる。
    健吾は健吾でも花沢健吾の漫画ならそういう関係になるまでのプロセスが自然で「冴えないおっさん×JK」のカップルでも違和感無くていいんだけど。

コメントする

コメントを残す

スポンサーリンク

人気記事