天井裏に置かれた気味の悪い遺品

恐怖 0件
no image
一家全員がバタバタと亡くなってしまったAさん宅。
遺品整理に訪れた私が天井裏で見つけてしまった奇妙なものとは───



 よくある事故物件みたいな話だし、死ぬほどかって言われると、疑問はある。
 でも、地域制なんかも考えると、もしかしたらみんなは怖いかもしれない。

 その場所は、元は田舎の漁村だった。
 山間の漁が盛んな町で、若い人でも北枕はだめだとか、夜に口笛を吹かないとか、神棚や仏壇や床の間には背を向けなくて、満潮で赤ちゃんが生まれ干潮で人生を終えるって本気で信じてて、正座も当たり前に身についてて、子供もお寺の幼稚園に通うのが当たり前みたいな場所だということを、あらかじめわかってほしい。
 ようするに地元愛の強い若者も多い、古き良き田舎ってやつ。



 この町には昔川の氾濫で大勢人がなくなったので、ハマグリが豊富に取れるが、地元の人は決して入らない川なんかもあったりする。(港に直結してるので、川だけどほとんど海水らしい)
うちの親戚はみんな本籍がこの町で、両親もこの町の別々の部落が出身。こういうと、年配に思われるかもだけど、自分はまだ20代だ。



 で、たぶん怖いのはうちの親戚の話。姻族だったかもしれないけど、かなり遠い身内の話。田舎なので、6親等外でも身内は身内。
 そんな感覚。仮にAさんとしとくよ。



 で、その家が引っ越したんだ。
 町自体は小さいけど、親戚が使ってたとか、前に住んでた場所から歩いて5分だけど広さがちょうどいいとか、そんな感じに引っ越すっていうのはよくある話。Aさんの叔母が、夫に先立たれて、娘さん夫婦と同居することから、譲り受けた家らしい。



 でそのAさんは女性なんだけど、つい先日亡くなったんだ。
 この人っていうのが、まあ苦労人だったよ。子供は息子が3人で、旦那さんと義母(旦那の母)と一緒に住んでて、まあ引っ越した当時は幸せというか、普通だったと思う。いつもと変わらない感じ。


 で、たぶん30年くらい前(身内が大体30年とか話してた)、義母が亡くなった。
 当時は息子さんたちも中学生一人と小学生二人で、義母も大往生だったらしく、享年とかはわからないけど、惜しまれるって程の年齢ではなかったらしい。



 その2週間後、旦那が亡くなった。
家族思いな人で、母親の看病や世話も熱心だったらしく、過労というか、苦労がたたったというか、そんな感じだったらしい。
 Aさんは、義母の四十九日も過ぎないうちに、旦那を亡くしてかなり疲労困憊だったらしいけど。まあ、息子もいたから限界超えてでも頑張ったんだろうね。
 息子さんたちも自立して、その後は幸せだったろう……。って感じだったらよかったんだけど。
 いや、事実息子さんたちも皆、自立して、子宝に恵まれて一時は幸せだったんだと思うよ。



 問題はそのあとで、10年ほど前に長男さんが亡くなったんだ。計算しても30代だから、かなり早いと思う。
 死因は肺癌。うちの親戚は、癌が多いし、最近は遺伝するって言われてるから、私も死ぬときは癌だろうなって感じ。事故死を除けば、ほとんどが癌だった。だから死因にも不可思議な点はない。



 その2,3年後、三男さんが亡くなった。死因はやっぱり癌で、甲状腺からがリンパに転移していたらしい。甲状腺は腫れればわかりやすく、転移もしにくいことから比較的悪性度は低いらしい、というのはゲームからの情報だけど。
 まあ、本当にうちの親戚の死因は癌が多いから、若い死は惜しまれるけど、「何故癌になった」とはならない感じ。「なぜ○○が……」とか、「なんで死んだ」とかは普通にある。田舎では多い、我慢強い人に限って手遅れなパターンだ。



 三男さんは、お兄さんにからかわれてきたからか、かなり負けず嫌いで、痛みも根性で耐える人だったらしい。だから、比較的危険性の少ない甲状腺の癌で、手遅れになってしまった。



 さらにその1年後、次男さんが亡くなった。死因はすい臓癌。
 私が小6時に母親が甲状腺癌の手術をしていたけど(驚いたことに母もリンパに転移している)、その時にすい臓癌は手術が難しいと聞いたことがある。母の隣室の男性がすい臓癌だったのだ。
 さすがに今がどうはわからないけど、奥にあるから切り取りにくいんだとか。小学生の自分は背中からは切れないのかと考えたくらいだ。



 次男さんが亡くなったのは、三男さんが亡くなって1年前後。さすがに親戚も、2度目と3度目では見え方が変わってくる。
 周りが世話になってる寺(町に寺は一つで、お坊さんはその家の親子二人しかいない)に相談するように勧める。
 ここで、村八分にならないのは、元が小さな村だったからか、身近の人が親戚ということも多く、親戚付き合いも盛んだったので、親身だったかららしい。



 しかし優しい義母が逝き、旦那に先立たれ、苦労しながらも育て上げた三人の息子に先立たれたとあって、Aさんも病気がちになった。親戚中が同情したんだけど、入退院を繰り返して、惜しまれながらも先日息を引き取った。
 私は叔父の付き合いで、家を片付けに行ったんだ。私自身には何の関係もないけど、まあ、叔父は身内だから手伝うのは当たり前だと思う。



 棚から古い絵本や割賦券が出てきたりと、それなりに発見の多い日になったんだけどさ。私も楽しかったよ。
 歴史好きな自分は古いものが好きだし、遺品整理は、個人には失礼かもしれないけど、秘密を除くような高揚感があった。

 ……天井裏を除くまでは。



 田舎だし、ネズミだって多い。四十九日の間に仏壇に挙げた米がすっからかんになってたり、物が移動してたりが当たり前に起こるもんだから、多少の恐怖心は薄れている。
 けれどもこれは、何とも言えなかった。
 親戚が多いので、幼いころから、何度も見たものではあったけど、これがここにあるのは、違和感しか感じなかった。私は見るものではないと言われ、ちらりとしか見えなかったけど、それでもあっておかしいと思った。(親戚にとっては成人しても、私は子供らしい)



 天井裏には、見知らぬ、遺骨が納められていた。



コメント

コメントする

コメントを残す

スポンサーリンク

長編「婚約者1人&彼女2人」

人気記事